スマートグラスが一堂に会した夜—LODGE XR Talk Vol.38 スマートグラス特集回レポート
東京・紀尾井町のオープンコラボレーションハブ「LODGE」で開催された「LODGE XR Talk Vol.38 スマートグラス特集回」に現地参加してきました。
イベント情報
イベント名:LODGE XR Talk Vol.38 スマートグラス特集回
日時:2026年4月22日(水)19:00〜21:00
会場:オープンコラボレーションハブ LODGE(ヤフー紀尾井町オフィス17F)
主催:LODGE(LINEヤフー株式会社)
登壇者:齋藤 瑛史(@kinnikujst)
モデレーター:市川 大翔(@xenon_taisho)
現地チケットは当初50枚の販売でしたが即完売、急遽20枚を追加して70枚にしてもそれも即完売。会場はほぼ満員の約70名でした。普段からeven G2を愛用していてAIメガネ界隈の動向は追っているつもりでしたが、これほど多くのスマートグラスが一堂に会した国内イベントはおそらく初めてなのではないでしょうか。トークパートも体験会も、情報量が多すぎて頭がパンクしそうになりながら楽しんできました。
▼後編記事も作成しました
1. トークパート
登壇者:齋藤 瑛史さん(@kinnikujst)
株式会社palan 代表取締役 / 株式会社STYLY AIエンジニア。XR業界歴約10年のスマートグラス・AR専門家。

2. スマートグラスの現在地
まずXR・スマートグラスの概念整理からスタート。このイベントでは「スマートグラス=眼鏡型ウェアラブルデバイス」という括りで話が進みました。機能別の分類(オーディオ系・カメラ系・ディスプレイ系)や利用シーン別の分類マップも紹介され、「スマートグラスといっても種類がある」という整理がされました。
3. ユースケース
翻訳・撮影・ナビゲーションといったメインユースケースのほか、「その他のユースケース」として以下が紹介されていました。
通知 / ニュース閲覧 / AI対話 / 対話の字幕や要約 / 原稿表示
ヘルスケア連動 / 写真や動画閲覧 / メールなど情報表示
作業現場のマニュアル表示 / LLMへの作業指示
個人的には「LLMへの作業指示」が刺さりました。音声でAIに指示を出しながら両手を使って作業する、という世界観がもうすぐ手の届くところに来ている感じがします。
4. 市場としての成長性:1年で4倍以上
トークの中で一番インパクトがあったのがこのスライドでした。
2024年:約200万台
2025年:約900万台
わずか1年で4倍以上の成長。しかもその大半はMetaの出荷(約700万台)によるもので、Ray-Ban Metaがいかにこのカテゴリをドライブしているかが数字で明確になりました。

ガジェット好きが買うジャンルではなくなってきているようです
5. 2025〜2026年の主要参入メーカー
米国・中国・日本・台湾の地域別で、直近1〜2年に発売・参入した主要スマートグラスが紹介されました。
注目ポイントは中国メーカーの台頭。Xiaomi、Baidu、HUAWEI、Alibaba、Meizu、TCL、XREALなど10製品が並んでおり、これには政府補助金が背景にあるとのこと。
日本でも2025年から眼鏡業界(オンデーズ・眼鏡市場・jig.jp)が本格参入しており、身近な眼鏡ブランドとスマートグラスの境界が溶けつつあることを実感しました。

6. なぜ「今」なのか
スマートグラスが盛り上がっている理由として4点が挙げられました:
ハードウェアの進化:バッテリー・重量・処理性能が実用レベルに到達
AIとの融合:「スマートグラス」より「AIグラス」と謳うほうが売れやすい、という話が妙にリアルでした
Big Techの参入:GoogleがAndroid XRで正式参入表明。Appleはまだ噂レベル
日常使いできるデザイン:even G2のように普通の眼鏡と変わらないデザインや、Ray-Banのようなファッションブランドとのコラボが、一般層への入り口を広げている
7. エコシステムの構築が次の課題
今後の発展には、開発者キット・マーケットプレイスなどのエコシステム構築が不可欠という話が印象的でした。iPhoneにとってのApp Store、AndroidにとってのPlay Storeのような環境ができたとき、スマートグラスは次のステージに進む——どのプレイヤーがそこを取りにいくか、今まさに競争が始まっているフェーズだと感じます。
8. 最後に:スマートグラス表示シミュレーター
トークの締めとして、齋藤さんが手がけるスマートグラス表示シミュレーターのURLが紹介されました。
機器を持っていなくても、スマートグラスの表示イメージを体験できるWebツールです。気になる方はぜひ。
9/ 体験会パート
トーク後はいよいよ展示・体験コーナーへ。参加10社のご協力で持ち寄っていただいた大量のスマートグラスが一堂に集結するという、いわゆる展示会ではないイベント以外では類を見ない規模の体験会でした。
今日体験できたデバイスはこちら:

特に印象に残ったのは「GUIDE01」
数ある機種の中で個人的に一番気になったのが、HappyLifeCreatorsさんのGUIDE01でした。

通常の眼鏡のテンプル(つる)部分に装着して、目の前にカラー画面を追加できるという超小型デバイスです。
超小型なのに視界内にくっきりと情報が表示されて、ARグラスというよりは「眼鏡に画面が生えた」という感覚。通常は右側に装着する仕様ですが、試しに確認してみたら反転させて左側にも装着可能とのこと。利き目や用途によって選べるのは地味にありがたいポイントです。
担当の方によると、聴覚障害者向けのイベントでも出展したことがあり、そちら方面での需要も大いに可能性があるとのこと。字幕や情報をリアルタイムで視界に表示するという使い方は、確かに聴覚サポートとの相性が抜群で、福祉・ユニバーサルデザインの文脈でも注目していきたいと思いました。
価格もスマートグラスとしてはお安いので、入門用としても良いかもしれません。ちょうど隣で体験されていた方がその場でオンラインで購入されていたのも印象的な機種です。
その他の機種の体験レポートは改めて別の記事で書く予定です。
スマートグラス集合写真
体験会の終わりには、この日集まったスマートグラスを全部並べて謎の集合写真が撮られました。ずらっと並んだスマートグラスたちは圧巻で、「これだけの種類が実際に手元に存在する時代なんだ」と改めて実感した瞬間でした。

参加してみて
チケットが70枚即完売というのも頷ける、密度の高いイベントでした。
「2024→2025年で市場が4倍超」という数字は予想以上のインパクトで、スマートグラスへの関心がじわじわ高まっているのは感じていましたが、これほど急激な成長だったとは。even G2を使い始めてからこのカテゴリへの解像度が上がっていたつもりでしたが、まだまだ全体像を掴めていなかったなと感じました。
エコシステムの話が特に印象に残っていて、どこかが「スマートグラス版App Store」を確立した瞬間に一気に普及が加速するはず。それがいつ、どこから来るのか——引き続き注目していきたいと思います。

