【創作大賞感想】『課金戦争』影山さくらさん
※この話は影山さくらさんの『課金戦争』の話を読んで感じたことを、私なりに表現した二次創作となります。
創作大賞2026 ミステリー小説部門 応募作品
作者やファンの方との解釈が違う部分もあるかとは思います。
下記の私の記事にて、応募して頂いた作品となっております。
中毒性や依存。
現代社会において居場所を探す者たちの側にある落とし穴なのか、辿り着く場所なのか──
✕✕✕✕年✕✕月✕✕日をもちまして
────はサービス終了とさせていただきました
画面が切り替わり、サービス終了の案内だけが表示されるトップ画面へと変わった。
ひとつため息をつき、休憩室の机に突っ伏す。
人気声優、人気タイトルを使って、そこそこ知名度のある企業がリリースしても、このザマだ。
アニメの番外編と銘打ってリリースされたこのシミュレーションRPGも、リリース1年ほどでサ終になってしまった。
……好きなアニメの、続編、どころか、アニメのわかりにくかった所が補完されているストーリーを、サ終の波に漂わせるのはもったいないと思う。
……しかも、好きな声優のキャラクターだし。
「はーーーーー」
休憩室の机に突っ伏し、脱力した。
入れ込んでいた場所がなくなると、やはり虚しい。
課金こそしていないものの、時間は相当に注ぎ込んでいた。
エプロンを締め直し、フロアへ出る。
サービス終了したゲームは一旦忘れて、今は戦場へ向かわなきゃ。
「お待たせいたしました〜。生二つと、枝豆で〜す」
スーツに身を包んだ男性二人の前に置いてテーブルを去ろうとした時だった。
「なんだっけ……『英雄の逆襲』か」
耳が大きくなる。
「そうそう、それそれ。ったく、ほんとにあの時の楢谷さんは……」
いかんいかん。お客様の話は聞かない聞かない。
振り返って、半年ほど前に突然サ終した『英雄の逆襲』についてなのかなんなのか、熱く語っている男性をまじまじと見る。
『英雄の逆襲』は私とは別界隈なのであまりSNSで回ってこなかったけど……それでも、ユーザーが阿鼻叫喚だったのは知っている。
それにしても、あの男性、なんか小型犬っぽい。
どうしてだろ。一般的な男性としてはガタイは良くて、なにかスポーツでもやっているのかとも思うのに、彼の話す身振りなんだろうか。小型犬っぽくて可愛い。
「お待たせいたしました〜」
その小型犬っぽい男性の元へ、焼き鳥を運んだ時。
「たかがゲームに大人が居場所だのやりがいだの、意味わからないすよ。城ヶ崎さんにしても、やっぱ楢谷さんの心理がわかる位だからよっぽど」
「焼き鳥二人前です!」
たかがという部分に過剰に反応してしまった。
焼き鳥を乱暴に置いて去っていく店員を批判する投稿をSNSにしないでおくれと心で思いながらも、自分の行動を謝罪することもなく踵を返して去る。
……ゲームに充実さを感じないのなら、小型犬みたいな人、SNSもやってないかもしれないな……
そう考えると、ゲームでのあの充足感はなんなんだろうかとふと我に返る。
中毒性。
といった言葉が脳裏によぎるが、ゲームやSNSだけにあるものではないことは、この居酒屋の配膳をしていて感じている。
呑みながら愚痴りたくなるのも、立派な中毒性ではないのかな。
誰もが、中毒性や依存と、承認欲求の波に揉まれながら現代社会を生きている。
結局はみんな、中毒や依存や承認欲求や居場所への安心感に溺れそうになりながら生きているのかもしれない。
──なんて。またひとつ、居酒屋の一店員がする考察が、今日のSNSのネタとして消費されていく。
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