脱毛するならVIOよりヒゲ。介護されたいなら痩せてくれ
介護VIO脱毛をしないと介護現場に嫌われる。
現場を無視したマーケティングが展開されるとは、思ってもいなかった。
介護現場は困惑したまんまだ。
介護士歴20年のわたしにしても「お股の毛があるから介護したくない」と思うことはほぼなかった。
ずっと介護士をしているわたしにとって「介護脱毛」はモヤモヤポイントのひとつだった。
さとゆみさんへのアンサーとして、この機会に「介護脱毛」に対するモヤモヤを言語化したいと一念発起して、書いている。
ライターの佐藤友美(さとゆみ)さんが介護脱毛についてのコラムを書いてくださった。
50代に差し掛かったご自分の体の変化について書かれているなかで、毛が白くなる前に脱毛するべきかというところから、介護脱毛の話題に発展していく。
めっちゃ面白いから全編読んでほしい。
実際、現場は脱毛を求めている?
VIO(陰部周り)の脱毛というところでは、明確にNOといえる。
別にやらんでもいい。
ただし、これは男女で明確に見解が異なる。
体の構造がそもそも違うからだ。
まず女性の場合ね。
女性はホルモン分泌が減っていくことで、ほぼ陰毛がなくなる。
70代なら結構残っているけど、80代後半ならだいぶ少ない。
90代に至っては、無だ。
人体の構造的に、女性の性器周り全体が陰毛で覆われている。
つまり尿道口の上にも横にも、長めの陰毛があるのだ。
毛がもっさりしていると、毛をかき分けて尿道口を拭かなければいけない。
毛の上から拭いたところで綺麗にはならないからだ。
このへんは世の中の男性諸氏のほうが、分かってくれるのではないだろうか。
「女性の下着を脱がせてみたら毛が多くてかき分けるのが大変だった」というような下ネタは、よくある笑いの種のひとつだからだ。
ま、でも。
べつにあっていいよ。
かき分けりゃ済むし。
陰部洗浄をきちんとできる施設なら、ベッドの上でも綺麗に洗えるしさ。
自分で清潔を保つのが不安なら、今からウォシュレットで陰部を洗うくせをつけておくといいかも。
男性の場合はどうだろうね?
男性は年齢を重ねても陰毛が減らないので、90代でも完全に陰毛がないというひとは少ない。
男性ホルモンが頑張っているようだ。
ただ、男性は尿道口の周りに陰毛がない。
根本にはあるけどね!
だから、拭くのが楽だ。
だがしかし。
男性の陰毛は肛門周りでも衰えずに健気に生えている。
しかも男性の毛は太くて長い。
便をすると、もれなく絡みつく。
たまに硬い便が肛門周りの毛にくっついて取れなくなって、仕方なくちぎるときがある。
陰部洗浄しても取り切れないときがね、あるのよ……
めっちゃ痛そうだからほんとごめんって思うんだ……
ケツ毛むしられたくない剛毛系男子は、肛門周りだけ脱毛してもいいかも。
いや、めったにないよ!?
ケツ毛はわたしだってむしりたくないし、むしらない努力はこれからもしていくつもりだ。
じゃあ介護脱毛って、いらんのかい?
わたし個人としてはケツ毛なんてどうでもいい。
それより脱毛しといてほしいところがある。
ヒゲだああああああああああああ!!
これには明確に言語化できた理由がいくつかあるから聞いてほしい。
ただし異論は認める。
1.電動ひげ剃りがないと介護士はヒゲを剃れない
生きている限り、男性のヒゲは伸びる。
陰毛と同じで、男性ホルモンがあるから髭の量は減らない。
でも介護士は理容師じゃないので、カミソリの使用を認められていない。
T字カミソリでさえ、わたしたち介護士には許されない。
ご家族がやる分にはいいのよ。
でも仕事の領域外だから、使っちゃダメなの。
唯一ヒゲに立ち向かう手段は、電動ひげ剃り。
問題はご家族が電動ひげ剃りを購入してくれないこと。
安くて五千円ほど。高いと五万円くらい?
使ううちに切れ味は落ちるから、替刃か新しい電動ひげ剃りが定期的に必要になる。
実はご家族の経済的な負担が大きい。
介護する側としても高価なものを現場で管理するのは、嫌だ。
充電するか電池を替えるかしないと使えないのも不便だ。
しかも認知症の利用者は、他人のものを自分のものだと思って使ってしまったり、防水じゃない電動ひげ剃りを洗面所の水に浮かべて微笑んでいたりする。
結果怒られるのは現場だ。
できれば高くて壊れるものなんか触りたくない(恨みが深い)
あと単純に女性が多いので、職員でもヒゲ剃りをしたくない(できない)というひとは多い。
男性職員がいればいいんだけどねぇ……
衛生面から、施設で電動ひげ剃りを備品として、利用者に使う回すのは現実的ではない。
2.ひげ剃りを嫌がる利用者が多い
アルツハイマー型認知症の利用者は男女問わず、人格が残り、介護への拒否も少ない(ただし元の性格による)
ほかの認知症や高次脳機能障害、は言語での説明や状況の把握が難しく、感情をコントロールすることが難しい。
たとえば自分に理解ができないことが起きた場合「馬鹿野郎」と怒鳴りつけたり。
うまく言葉が出てこないもどかしさから、暴れたり。
これで電動ひげ剃りを使うとどうなるかわかりますかね?
音が出るものが急に肌に押し付けられる恐怖で、暴れるんですよ。
現場の地獄のチャート作ったから見てもらっていいです?
自分でヒゲを剃る必要があると認識できない
↓
家族や介護者は
清潔を保ちたいからヒゲを剃りたい
↓
説明しても理解ができない
↓
無理やりヒゲを剃るしかない
↓
本人は怖いから暴れる
↓
介護者も人手と労力がとられる
(ひどいときは3人がかり)
↓
ヒゲは綺麗になるが
利用者も介護者も疲れ果てる
誰も幸せになれないひげ剃り。
毎日男性が無意識にこなせているひげ剃りが、要介護状態になると途端にオペレーション遂行困難になる。
しかも寝たきりでも、全身拘縮してても、意識がなくても、100歳でも。
ヒゲ、伸びるからね。
ヒゲを剃らないと口周りに食べ物のカスがついて不潔。
しかも拭き取りづらくて、ゴシゴシやると嫌がられる。
無精髭は人相が悪く見えるし、介護をちゃんとしてもらえてない感が出てしまう。
本人が嫌がってるだけで、ネグレクトなんかしてないのに!
3.ヒゲを剃らなくていいってだれも言ってくれない
これはもう完全恨み節になるんだけど、ここまできたら聞いてくれ。
「うちのお父さんちゃんと世話されてない」っていただくクレームの8割がヒゲが伸びていることに由来している。
残り2割は爪と衣服の乱れ。
でも、本人拒否するんですよね。
ひげ剃りがないんですよね。
怖がっちゃって暴れるんですよね。
これは現場の言い訳だといわれる。
じゃあひげ剃り要員として、理容師さんひとり雇ってもらってもいいですか?ってレベルで無理です。
現場に常時暴れるひとを押さえつけて、電動ひげ剃りを充電して、替刃や電池を補充して、ヒゲを剃り続けられる余力はもうない。
これから更に需要に対して、介護職は足りなくなると言われている。
わたしだってもう介護士なんか辞めたい。
国民に大事にしてもらえないのに、きっつい仕事をやり続ける意味なんか、もうない。
たかがヒゲだけど、されどヒゲ。
脱毛するなら
ヒゲ一択。
ケツ毛くらいわたしが愛してあげる(ちぎったらごめん)
あとまじで痩せて。痩せないやつは介護受けないで。
・車椅子の横幅と腹囲が同じくらいで、車椅子に乗ったら抜けなくなった。
・下肢麻痺で全介助なのに180cm90kg。誰が持てるんだ。
・厚みがありすぎて、腕が回せない。どこ掴んだらええねん。
・自分が重すぎてリハビリにならない。自重トレの失敗パターン。
残念ながら、今も介護現場で働くのは女性のほうが多い。
看護師も以下略。
つまり小柄で非力なひとたちによって、支えられている現場だ。
男性もだいぶ増えたけどね。
全介助の人は2人がかりで持ち上げるし。
人手がなければ、未だにお姫様だっこで持ち上げざるを得ないところある(やっちゃだめだよ)
お風呂に入れば衣類を脱ぐから、掴むところがない。
素肌は衣類を着ているより摩擦が減るから、持ち上げるためにも力が必要だ。
重ければ重いほど立たせたり、湯船にいれたりすのも苦労する。
重いから湯船に入れられなくて、シャワーだけで諦めてもらっている利用者が何人いるか。
介護用のパワースーツやリフトは、多くの介護施設では高価すぎて導入できない。
つまり、自分の手で持つしかない。
まあ、無理やろ。
自分より重いんやぞ。
腰が壊れる。
持てない。
介護が成立しない。
ありがとうって言ってほしいし。
怒らないでほしいし。
衣類も洗いやすくて着やすいのをいっぱい持ってきてほしいし。
集団生活ができるマインドでいてほしいし。
生活習慣病にならない生活をしてほしい。
言い出したらきりがない。
でも全部目をつぶるから、頼むから痩せてくれ。
もう、持てない。
介護士として楽しんでいるのはブラックな職場環境
自己紹介的に過去記事をまとめたら、自分の変人っぷりに気づいたよね。
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