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SpO2が正常なのに、なぜあの患者は苦しそうだったのか

SpO2が正常なのに、なぜあの患者は苦しそうだったのか


新人の頃、担当患者のリハビリ中にパルスオキシメータを見て「SpO2 96%、問題なし」とカルテに書いたことがある。その数分後、先輩から「呼吸数、数えた?」と聞かれて答えられなかった。患者は会話が単語でしか続かず、肩を使って呼吸していた。数字だけ見て、体は見ていなかった。


SpO2という数字は便利すぎる。指に挟むだけで数秒後に出る。だから「これさえ見ておけば安全」という錯覚を起こしやすい。でも実際には、SpO2が正常範囲に踏みとどまっている間、体は別の場所で先に悲鳴を上げていることがある。呼吸数が上がる。呼吸補助筋を使い始める。会話が短くなる。これらはすべて、SpO2という数字がまだ動いていない段階で起きる変化だ。


理由は単純で、パルスオキシメータは光の吸収比から酸素飽和度という「割合」を計算しているだけで、換気の状態も、血液が実際にどれだけの酸素を運べているかも見ていない。後になって、SpO2が「量」ではなく「割合」を示す数字だと知った。同じ数字でも、体の中に運べる酸素の量は人によって全然違う。この差に気づかず数字だけを追いかけていた自分を思い出すと、今でも少し冷や汗が出る。


COPDの患者では、目標とするSpO2の範囲自体が通常の患者と違うことも知らないと、良かれと思って酸素を増やした判断が裏目に出ることもある。正直、この違いを最初から理解していたわけではない。先輩に指摘されて、酸素解離曲線という言葉を調べて、ようやく「SpO2 90%が意味するもの」がどれだけ際どいラインかわかった。数字が90%を切ってから慌てるのでは遅い。


呼吸数、努力呼吸のサイン、会話の様子。この順番で見てから、最後にSpO2で答え合わせをする。この順番を体に入れるまでの具体的な思考の型と、疾患ごとにSpO2がどう「裏切る」のかの整理、CO2ナルコーシスが起きる機序までは、資料側にまとめてある。


プロフィールから、編集可能なPowerPoint形式でスピーカーノート付きの資料を見られます。



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