怪談:【臍がらみ】第14話 お兄ちゃんへ【創作大賞2024参加作品】
お兄ちゃんへ
最初に謝るね、私のせいでお兄ちゃんは怪談になって死んじゃうの
でも、後悔はあまりしてないの
今私はネカフェのPCでこれを書いてるよ
昔からお兄ちゃんのことが大嫌いだった
お母さんとお父さんが家にあまりいないからお兄ちゃんはよく私にひどいことをしたね
私の初めては好きな人ではなく酒に酔ったお兄ちゃんだったね、お兄ちゃんはあの後すっごい謝ってたけど私は別に良かった
お兄ちゃんは何度も私を殴っては謝ってを繰り返したね
でもお父さんとお母さんにはバレないように顔だけは避けてたね
私の部屋に勝手に入って、私の下着で変なことをしていたのも知ってる
お兄ちゃんが昔から怖くて、嫌いで、憎くて、好きだった
でも私が恐ろしい目に遭っていると知った時に本気で助けようとしてくれたお兄ちゃんのことは大好き
昔、一緒に魚釣りをしてくれたり、公園で遊んでくれたり、勉強を教えてくれたお兄ちゃんが大好き
病気になった私を一晩中看病してくれたり、中学の卒業式にお母さんのお父さんの代わりに出てくれたお兄ちゃんが大好き
それでね、お兄ちゃんが岸辺さんに会いに行った時にうみおくんが家に来たの
顔は直接は見てないけど、窓の外に立ってた
それでね、これから僕が話す話を代筆してって頼まれたの、僕は指がなくてペンを持てないからって
かわいそうだよね、だからどんなお話か聞かせてもらったの
とびっきり怖い話だよ、大好きなお兄ちゃんが最後に死んじゃうの
これをあなたの代わりに書いたらどうなるのって聞いたらね、本当にそうなるって言うの
細かいところはズレててもいいからとにかく辻褄を合わせたいんだって
でも安心してね、お兄ちゃんの体は死んじゃうけど魂はそのままで怪談に生まれ変わるんだって
これから色んな人たちに読んでもらってお兄ちゃんのことを考えてもらったり、馬鹿にしてもらったり、同情してもらえるんだよ
よかったね
でもね、お兄ちゃんが死ぬまでの話をちゃんと言われた通りに書いたのに、うみおくんいなくならないの
今も私の耳元で話の続きを書けって言うの
次は岸辺さんを主人公にするんだって
その次はまた別の人を主人公にするんだって
また次は別の人を主人公にするんだって
私、気に入られちゃったみたい
やめたら別の人に私の話の続きを書かせるんだって
私をロッカーに入れるって
だから続きの怪談を書かなきゃ
それじゃお兄ちゃん、おやすみなさい
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