《ショートショート》コブラ参政権(442字)
「どうかね。環境保全は進んでいるかね?」
沖縄県に、総理大臣が視察に訪れた。
「はい、順調です」
県知事がニコニコと答える。
「コブラが参政権を得たおかげで、日本古来の自然が甦りつつあります。常緑広葉樹の再生、マングースの駆除…すべては、古き良き日本を取り戻すためです」
「うむ。環境破壊と少子化による有権者の減少を解決するために試験的に導入した制度だが、これほど効果があるとはな。今後は、人間と動物が協力して生きていかねばならない」
総理大臣は満足そうに去って行く。
県知事はそれを見送った後、ズルッと脱皮した。
日本で始まった試験的運用だったが、やがて世界各地に広まっていった。
何しろ環境破壊は世界共通の問題である。動物からの視点も加わることで、思いもよらない解決策が見つかることもしばしばだった。
それから長い長い年月が経ち、時の総理大臣はこう呟く。
「少子高齢化、食料問題…課題は山積みだ。これからは、動物との共存が鍵になるに違いない。どうだろう、試しにヒトに参政権を与えるというのは…」
ズルッ。
