《ショートショート》わかるか
レシートに似せたトイレットペーパーが発売された。
紙を出していくと、色々な商品の名前と値段が印字されているらしい。
俺は何が面白いのかさっぱりわからなかったが、好奇心旺盛なカミさんが買ってきた。
「ご近所で話題なのよ。普通のトイレットペーパーと同じくらいの値段だったし」
「お前はすぐ流行りに乗りたがるから」
半ば呆れてそう言ったが、いざ家にあるとなると興味が湧いてきて、カミさんがいない間にそっとロールを一つ取り出した。
最初に書いてある文字を見て、俺は思わず「おっ」と声を上げた。
「ビックリマンチョコ 30円」
子供の頃、夢中になって集めたシールが脳裏に浮かんだ。そう。昔はこの値段で買えたのだ。
今もあるのだろうか。たとえあるとしても、とんでもない値段になっていそうだ。
紙を出していくと、また懐かしいものを見つけた。
「ツインクル 120円」
そうそう。子供のお小遣いではなかなか買えないから、遠足の時に買ってもらって、友達に見せびらかしたものだ。
こんな感じで、時々昔を思い出すようなものが書いてあるので、ついつい紙をたくさん出していたら、カミさんが来たことにも気づかなかった。
「ちょっと、赤ちゃんじゃないんだから。ちゃんと戻しといてよ」
最初は面白かったが、いざトイレで使うとなるとたまにチラ見する程度だった。まあ、みんなそうだろう。
ある日、トイレットペーパーが残り僅かになっていた。
最後には何が書いてあるのだろうと出してみて、俺はずっこける。
「全部でいくらでしょう」
