短編小説|1話完結|Someday...Somebody...|空の旅
空の旅
空の旅が、小さい頃からの夢だった。
今、足先ギリギリに断崖絶壁。眼下には海原が、頭上には清々しい青空が広がる。
大人になったら飛行機のパイロットになる——
無邪気に夢想していた少年は、もういない。
飛行機のパイロットになどなれないことは、小学校の高学年でもう悟っていた。両親ともに頭の出来が良くないことを恨めしく思ったこともあるにはあったが、高校生の頃には既に、人は生まれながらに不平等だということは理解していた。システムがどれだけ平等に作られていたとしても、結局、そのシステムを有効に使えるかどうかは、個人のスペックがものをいう。そしてそのスペックの多くは、生まれる家のランク、両親のスペックの高低で決まる。努力でどうにかなる範囲などは、たかが知れていた。
教科書を端から端まで1回読めばテストで70点がとれる人間と、俺のような、教科書を何回繰り返し読んでも赤点をとる人間は、スタート地点からまず違うのだ。しかも、大抵の場合、70点をとれる人間の家は毎月学習塾に通えるだけの財力があり、俺のような赤点をとる人間の家に、そんな財力はない——
これはハッピーエンド。
さあ、楽しい旅の始まりだ。
この世は輝きに満ちている。
ハッピーエンドの訳がなかろう、という声が聞こえてきそうです。
『パンズ・ラビリンス』という映画がハッピーエンドだという方なら、ハッピーエンド認定して下さるかもしれません(もし万が一、『パンズ・ラビリンス』をご覧になる際は、心が元気なときにご覧になるのをお勧めします)。
↓参加させていただきました。
ありがとうございます。
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