短編小説|1話完結|Someday...Somebody...|夕焼けの車内
夕焼けは、明日を連れてくる。
そんな風に思うようになったのがどうしてなのかは、もう思い出せない。多分、日曜日の夕方、国民的アニメを見て、なんとかシンドロームになるのと似たような理屈なのだろうと思う。
実家から自宅マンションへ帰る電車の車内。立った状態で電車に揺られながら、私は暮れていく街並みをぼーっと見ていた。この景色に、特に思い入れがある訳ではない。ただ何となくセンチメンタルな気分になるのは、私が何の面白みもない、ステレオタイプの人間だからだろう。
そんなことを考えていると、ふと、本の表紙が目に入る。隣に立った学生が読んでいる本だ。夏らしい、瑞々しさを思わせる色使いに、中身が気になるタイトル。万が一画面を見られたら、なかなかキモいなと思いながら、スマホでその本を検索する。今、若者に人気の本らしかった。
本なんて読んだのは、いつが最後だろう。本を読まなくなったのを、仕事で散々活字を読むせいだとするのは、きっとただの言い訳だ。実際には、SNSのつまらない記事を読むことや、下らないメッセージのやりとりに追われて、読まないでいるだけ。こうしている間も刻々と残りが減っていく自分の命を、何も残らない方法で消費しているだけだ。ただ、明日が来ることに怯えながら。
そういえば、職場の知り合いが、オーディオブックの利用を始めたと言っていた。慣れるとながら聴きが出来ていいらしい。どうせ、本を買ったはいいが、面倒で読まないくらいなら、試してみてもいいかもしれない。
さっそく、オーディオブックの無料体験に登録する。購入するのは勿論、隣で学生が読んでいる本。
なんでもない日の夕方。でも、明日がちょっといい日でありますように。
↓いただいたお題で書きました。
案の定、探偵小説のほうは、書いている途中で疲れて寝ました。書き終わると日を跨いでいました。
まあ書けたから良しとします(無駄にポジティブ)。
↓別のお話はこちら
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