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資産運用で築く「豊かな将来」 〜FP技能士が贈る未来へのヒント2〜 16/20

16/20 NISAについて 〜口座の種類〜

「まず、NISAってなんだろう。麻緒さんはどのくらい理解してる?」
「ええと……国が勧めていて、税金面で優遇される。……そのくらいです」
「うん、麻緒さん正解だよ。アウトラインはそれで合っていて、今日はもう少し掘り下げた話をしていこうと思う」
 元永はパソコンの画面をこちらに向けながら、微笑んでいた。

「まず、最初の注意点。『NISA口座』なんて言い方をするけど、実際には独立した口座じゃない。証券口座の中にいくつか取引方法の違いによる口座がいくつかあると思って欲しい。つまり1つの証券口座の中に『一般口座』『特定口座』がある。その種類の1つが、『NISA口座』なんだ」
「え……そうなんですか? じゃあ他にも取引方法があるってことですか?」
「うん、先にそれを説明していこう。取引方法の違いによる口座は、以下の3種類がある」

  • 一般口座:課税口座。年間の譲渡損益の計算は自身で行って確定申告をする必要がある

  • 特定口座:課税口座。年間取引報告書を作成してくれるため確定申告が容易になる

  • NISA口座:非課税口座。売却益や配当などの利益が非課税になる

『一般口座』というのは、もっとも一般的な口座だね。証券口座の開設時、特になにもしなければ一般口座のみが開設される。この口座のメリットは『未公開株』の取引が可能なことで、個人投資家にはメリットがある。反面、年間取引報告書を全部自分で計算しなければいけないので、一般人にはメリットが薄い」
「はい。確かにいまの私には、未公開株とかよく分からないです」

「だから実際には、『特定口座』をメインに使うことになると思う。特定口座の一番のメリットは、『年間取引報告書』を証券会社が作成してくれること。それと『特定口座』には『源泉徴収あり』『源泉徴収なし』を選択することができるけど、特に理由がなければ『源泉徴収あり』を選んでおくといい。源泉徴収と還付を証券会社が行ってくれるから、確定申告が不要になる」
「そっか、確定申告も関わってくるんですね……できるかなあ」
「納税は義務だから、いつかできるようになるといいよね」
 麻緒は頷いてメモに書き込んでから、もう一度大きく頷いた。

「そしてお待ちかねの『NISA口座』。この口座で取引をすると、金融商品の売却時の利益や、配当金から徴収する税金が非課税になる」
「税金ってどのくらいなんですか?」
『所得税15.315パーセント(復興特別所得税含む) + 住民税5パーセント』。つまり合計で20.315パーセントの税金がかかる」
「うげ……じゃあ、1万円儲かったとして、2千円も引かれるんですか? それは大きい……」
 麻緒は眉をひそめて、ものすごく嫌そうな顔を見せた。それに元永は笑う。

「そう、それがもし1万円じゃなくて100万円だったら? 20万円というとても大きな金額になるよね。NISA口座の凄さ、ちょっと分かってきたんじゃないかな?」
「そう言われると……非課税って本当に大切なんですね……」
「そうなんだ。だからNISA口座を有効活用して欲しい」

参考:NISA口座と課税口座(特定・一般)を徹底比較! あなたはどっちが合っている?(カブヨム)

「そしてNISA口座には上限額がある。『つみたて投資枠』『成長投資枠』の2種類があって、それぞれ600万円と、1,200万円で、合計1,800万円まで使うことができる。注意点としては、口座を開設していきなり全ての枠が使えるわけじゃない。毎年の限度額が、120万円と240万円ということには注意して欲しい」
「なるほど……ちなみに『つみたて投資枠』と『成長投資枠』ってどう違うんですか?」
 麻緒は不思議そうな顔をして、素直な疑問を口にした。

「さすが麻緒さんは鋭いね。違うのは、購入できる方法と、購入できる商品が違うこと。『つみたて投資枠』は、積立でしか購入できない。購入できる商品も、『長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託』と定められている。つまり、定められた商品の中から選ばなければならない」
「なるほど……でも、いまの私にはいいかな。たくさんありすぎると、なに選んでいいか分からなくなりそうだから」
「そうそう、麻緒さんの言うとおり。これから資産運用を始める人に配慮した制度なんだ。小さな積立金額から始められるから、お手軽に触れられるのが良いところだ」

「続けて『成長投資枠』だけど、こちらは積立でも一括でも自由に購入できる。商品も一部は除外されているけど、『つみたて投資枠』の商品に加えて、『上場株式』「投資信託等』が購入できる」
「なるほど、同じNISA口座でも目的に応じて使い分けられるようになっているんですね……」
 麻緒は深く頷いて、手元のメモに書きこんでいる。

「うん。NISAの目的は『長期・積立・分散投資』だからね。リスクの高い商品はNISA口座では購入できなくなっているんだ」
「初心者でも間違いにくいってことですね?」
「そう。だから購入できる商品の制限は、ポジティブに捉えて大丈夫」
 元永は頷きながらコーヒーを一口飲んでから、続けた。

「最後に魅力をもう少し説明するよ。NISAは、無期限で利用できる。しかも、NISA枠の商品を売却すると年始にNISA枠が復活するという、至れり尽くせりな制度だ。この点は旧NISA制度から改善されたところで、良い改正だなと個人的に思う。NISAをうまく活用してね」

参考:NISAを利用する皆さまへ(金融庁)

「注意点として、NISA口座にはひとつだけデメリットがある」
 その言葉に麻緒は思わず顔を上げてしまう。
「それは、『損益通算ができない』ということ。一般口座や特定口座は、損益通算ができる。例えば一般口座で3万円の利益を出して、特定口座で1万円の損失を出したとする。そういう場合は損益通算して、3万円-1万円=2万円となり、利益の2万円にだけ税金がかかる」
「じゃあ、NISA口座で損失を出したとしても、一般口座や特定口座の利益と相殺することはないんですね?」
「うん、麻緒さんの言う通り。非課税口座なのでそれはそうだよねという話なんだけどね」

「最後に、注意点。NISA口座は1人で1つしか開設できない。複数の証券口座を開設していても、NISA口座はどこか1つしか開設できないのでそれには注意してね。ただし、年単位で変更や移管はできるから、それは安心して欲しい」
 その言葉に麻緒は大きく頷いた。
参考:NISA口座の金融機関変更・移管(SBI証券)


注記
この物語は筆者の想像に基づいたフィクションであり、登場する人物、団体、および物語上の設定はすべて架空のものです。作中に登場する名称は物語を彩るための舞台装置として用いており、現実の出来事や人物とは関係がありません。

免責事項
・資産運用には元本割れなどのリスクが伴います。投資判断はご自身の判断と責任で行ってください。
・本記事は、執筆時点において公開されている情報をもとに構成したものであり、その正確性や有用性について、一切の保証をするものではありません。
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また次の作品でお会いできることを楽しみにしております。

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