「『I am』で、私の心がまた、動き出した。」美神依華さん④
(前回からの続き)
⑪FANKSになったことでの人生の変化を教えてください。
美神:でも、その言葉で勇気を出して。
「もう、『コムギ』のためだから。命を救うためには。」って思って。
で、市役所に相談したら、ものすごい理解があって。結局は「どうしたいのか?」っていうのを聞かれて。「いや、もう捨てて逃げたい。この犬を守るためには、逃げないとこの子が死んじゃう。だから、私は逃げる道を選びたい。」って。
私は、常に「いつか私は殺されるんだな。こいつの暴力によって。それが数時間後か、数日後か?」「でも、私の命より『コムギ』の命が最優先。」「だって、犬は飼い主を選べないんだから。」って思っていて。
そうしたら、その意思を分かってくれて、シェルターに入るって(いうことになって)。計画的に全部まっさらにして逃げ出す。予定の日、予定の時間に、綺麗に(家にある自分の)物は空っぽにして、計画的に去るっていうことをして。「コムギ」と必要な書類だけ。あと、「コムギ」に必要な物だけを片手に持って。
その時に、TMのCDとかDVDとかは全部捨てて。持ってこられなかったので、全部手放して、シェルターに入った。
もちろん犬はシェルターには入れないから、(かかりつけの動物)病院だと(加害者に)探されちゃうと困るから、まったく知らない土地の動物病院に「ちょっと今かかりつけ医がいなくて、私ひとりで、1ヶ月ぐらい入院して手術をしなきゃいけない。」と言って、預かってもらったんです。
シェルターに入ってからは、もうすぐに家探しを始めて。いろいろと相談して最終的に決めたのが、今住んでいるところ。
引っ越してきて、新しくスタートしてからもシェルターに入る決意をした時からずっと気を張った状態が続いていて。
3ヶ月後ぐらいから、またちょっと体調が崩れてきて。「これは、おかしいぞ。」って。
それまでは気を張っていて、新しい環境に慣れるまでっていうか。支援してくれる人もついてくれたんだけれども。
それで、クリニックに行ったら、「PTSD(心的外傷ストレス障害)です。」って言われて。以前、「うつ病と診断された時も、おそらくPTSDだったと思う。」と言われましたね。
シェルターにいた時には、もう既に加害者はストーカーになっていたから、SNSはもちろん、携帯の位置情報もオンにしてはいけないって言われていて。
でも、TMが聴きたい。でも、聴ける物も持っていない。何も聴けないっていう状況でずっと過ごしていて。
で、シェルターを出て引っ越してきて、1年後に(今住んでいる場所に)住民票を移して。(住民票の)閲覧制限っていうのをかけたんです。で、それを毎年更新するために、警察に行って、こういう被害があるとかないとかいろいろ報告して、「継続」「継続」ってかけていくんだけれども。
(そのうち、あるタイミングで)ガラケーが壊れて、一旦。で、スマートフォンになりました。そうしたら、真っ先にTMの曲を探した。そこに何の考えもない。TMに飢えていたというか。いつも心のどこかに「Nights of The Knife」が流れている自分がいて。「とにかくTMが聴きたい.。」の一心で、そのスマートフォンからTMが復活していく。
そのうちに、こんな縛られた生活は嫌だな、って思うようになって。自由に情報を得られない。とにかくTMが聴きたい。TMの情報が知りたい。で、探して見つけたのがfacebookで。
本当はやっちゃいけないんだけど、自分の位置情報が分からなければ良いんじゃないかなって。そんなにもう、縛られているのが嫌だからちょっと解放しよう、と思って。すでにシェルターを出て3、4年経っていたかな。そこで出会ったのが、金谷さんがやっていた(FANKSのfacebook)グループ。
金谷:ありがとうございます。そうだったんですね。
美神:(その時には)「QUIT30」とかも終わっていたし、20周年のCDボックス(「TM NETWORK WORLD HERITAGE~DOUBLE DECADE COMPLETE BOX」)なんかも、かなり前に出ていたみたいで。
「こんなの出てたんだ。」って。
全部捨ててしまった分を、このボックスを買ったらお高いけど、一気にドーンと手元に戻ってくる、みたいな感覚。お金をちょっとずつ貯めて。
これを機に、どんどん、どんどんTMに復活していく。そんなこんなでTMの(facebook)コミュニティを通じて、お友達が増えていき、「世の中ってこんなにみんないい人ばっかりなんだ。」って。その時点でも、洗脳っていうのは完全に溶けてはいなかったんだけど。
ちょうど10年なんですよ。(今の場所に引っ越してから) 今年で10年目なんですけど。
自分の中でFANKSの友達が増えていったじゃないですか、コミュニティを通じて。オフ会にも誘っていただいたりとかして。TM繋がりで世の中に復帰していった。本当にTMの繋がりだけで外に飛び出したって感じ。
金谷:でも、すごい。その力。ちゃんと出られたっていうのは本当にすごいです。
美神:本当に、この出られたのは、FANKSのお陰。っていうのは思うし、今もやっぱりFANKSの友達から教わることが多い。(出るという選択に)気づけたのも、TMが新曲を出したお陰。藁にもすがるじゃないけれど、なんかそんな感じで。
(次回へ続く)
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