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第49話|誕生日ケーキ|手を合わせたあとが早い

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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日

https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245 

ホールケーキを持ったパピコが
ゆっくりと二階に上がる。

中央の部屋に入ると、
仏壇の前にそれを置いた。

妻の命日には何もせんが、
誕生日だけは、毎年こうしとる。

仏壇のろうそくに火をつける。

部屋は静かで、
火だけが揺れる。

3人で並んで座ると、
パピコがお鈴を鳴らす。

凛とした音が、部屋の中に広がって、
そのまま残る。

手を合わせ、
目をつむって、
何も言わん。

火が揺れ、
お鈴の音が細くなっていく。

音が、止む。

娘2人は、
サッと顔を上げ、

「じゃ、食べるね🎵」

と言った。

パピコが素早く、
手でろうそくの火を消す。

そのままケーキを持って立ち上がり、
階段をドタドタ降りる。

「待って待って!」
「落としんさんなよ!」
「気ぃつけとるって!」

一気に声が増える。

1階に降りると、
既に取り皿とフォークの準備されたテーブルに
ケーキを置く。

「はい、手合わせて」

パチンッ

「お母さん、
 お誕生日おめでとう!」
「「おめでとう!!」」

よういドンを終えると、
切らずに、そのまま
3人同時でケーキを襲う。

一気に崩れる。

笑い声と、皿の音と、
フォークの当たる音が混ざる。

「あ!取られた!」
「お姉ちゃん大きい!」
「こぼすなよ!」

気づいたら、
ホールの形は残っとらん。

2階には、
そのままの仏壇がある。

ケーキだけ、無い。

----とっちゃレコ----

命日は、
あの日をそのまま思い出す日になる。

子供たちには、
そこまで残さんでええかと思って、
特に何もせんままにしとる。

その代わり、
誕生日だけは毎年やることにした。

始めは区切りのつもりだったが、
気がついたら、
この形のまま続いとる。

同じ行為でも、
どう使うかで意味が変わる。

手を合わせることが、
誕生日を祝うことと、
いつの間にか一緒になっとった。

儀式のつもりが、
日常になっとる。

子供らは、
たぶん命日を知らん。

これが正解なんかは分からん。
それでも毎年の恒例行事にはなった。

----とっちゃレコ----

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