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「遠隔でドアが開く」という安心 ― 車椅子の母の玄関に設置したスマートロック

はじめに

介護が必要な親を遠隔で見守るって、本当に難しいですよね。

私の母は骨折をきっかけに車椅子生活になりました。それまでは独居で、足腰が悪いながらもシルバーカーで生活していました。玄関のカギも、手すりを伝って歩けば、なんとか手動で開閉できていました。

しかし車椅子になると、その日常が一変します。

玄関に階段がある。かがむことができない。両手で操作する余裕がない。

別居する私は、ヘルパーさんの力なくして、母の生活は成り立たないという現実に直面しました。

鍵が特殊だったので、色々調べてたどり着いたのが、**スマートロック「SESAME 5 Pro」**です。

リビングから、遠隔で、スマホで、玄関のカギが開く。

こんな単純なことが、これほどまでに生活を変えるものなのか。その試行錯誤の過程と、今の満足度について、記録しておきたいと思います。



母の状況と、なぜスマートロックが必要だったのか

骨折前の独居生活

母は腰の骨折前、独居でシルバーカーを使いながら生活していました。足腰は悪くても、工夫しながら日常の動作はこなしていました。

玄関までシルバーカーを支えに歩き、上がり框(かまち)は手すりを伝い、手すりを支えに片手でカギの開閉ができていました。不便ながらも、独立した生活を保つことができていたのです。

車椅子生活への転換

腰の骨折で入院し、退院後は車椅子生活になりました。

頑張って上がり框(かまち)は横歩きできても、そこから鍵まではだいぶ距離がありました。玄関にスロープをつけることもできますが、スロープは降りることはできても、80代の母には車椅子でスロープを登る腕力はなく現実的ではないことがわかりました。また、ドアが通常より大きく、改装は莫大な費用がかかることが分かっていました。

選択肢の検討の前提

  • 毎日ヘルパーさんが来てくれる

  • 当面、デイサービスにも行かず、家にこもりきりの状態

  • 大規模な工事をするより、「リビングから自動操作できる」方が現実的

つまり、外出時の自動ドア機能よりも、室内からの遠隔操作機能の方が、現在の母に必要だったのです。

そして、万が一の事態にも対応できる。

もし、ヘルパーさんから「玄関が開かない」という連絡が来たら、遠隔でドアを開けられる。物理的にドアを壊される必要がない。

この「保険」的な安心感も、大きかったのです。


カギの構造把握に、予想外の手間

「スマートロックを付けたいので、商品を選びたい」

そう思った私の前に立ちはだかったのは、予想外の課題でした。

うちのカギが、特殊すぎる・・・

カギが上下に2つあります。

上のカギを見ると、「鼓のような形」です。真ん中が狭く、上下が広い。サムターン(回転部分)の形状がムダにエレガントww(モデルルームだったからだと思います)

下のカギには、「ガードアームロック機能」が付いています。これは、カギを回すと、金属の腕が出てきて、ドアを固定するという構造です。

スマートロックがつけられる形状か問い合わせしようにも、
「えーと、この部分はなんて言えば伝わる?」

何度も、そう思いながらスマートフォンで検索しました。

防犯知識が少し役立った

若干救われたのは、私が元警察官で、防犯設備士の資格を持っていたことです。

カギの基本構造について、最低限の知識はありました。

「サムターン」「ガードアーム」といった用語を知らなかったら、もっと時間がかかっていただろうと思います。

サムターンの寸法を測る

母が退院したら導入できるように、入院中にサムターンの寸法を測定して、写真を撮って、資料を作成し、問合せを始めました。

  • サムターンの厚さ(最も薄い部分:●mm、最も厚い部分:●mm)

  • サムターンの直径(●mm)

  • 土台からサムターンの頂点までの高さ(●mm)

  • 土台の高さ(●mm)

  • サムターン中心軸からドア枠までの距離(●mm)

写真も撮りました。上のカギ、下のカギ、全体の配置。

こうした資料を整えて、初めて「どのメーカーの製品が対応できるのか」という問い合わせができる状態になったのです。


製品比較:複数メーカーの検討

ホームページ、ブログ、YouTubeで情報収集

この時点で、複数のスマートロックメーカーが存在することがわかりました。

  • セサミ(SESAME)

  • Qrio Lock(キュリオロック)

  • SwitchBot(スイッチボット)シリーズ

各メーカーのホームページで、対応鍵の条件を確認しました。

「一般的な円形サムターン」「対応直径:28mm~40mm」といった記載は多いのですが、「鼓型で厚さが10mmを超える場合」という条件は、ほぼ記載されていませんでした。

SwitchBot(スイッチボット)シリーズについては、外から中に入るニーズはなかったので、顔認証やら指紋認証やらは不要で、手触り感のないシステムは高齢者の一人暮らしには不向きだと思いました。

Qrio Lock(キュリオロック)はサイズがどうやら非対応のようでした。

セサミ導入が濃厚になりましたが、鍵は大事なのですぐに壊れては困ります。色々と不安でした。そこで、参考にしたのが、ユーザーの生の声です。

民泊やairbnbを運営している方のブログ、YouTubeもかなり観ました(仕事と子育てもしてるんで、結構しんどかった)

こうした情報から、「セサミは、特殊なカギにも対応する傾向がある」「アダプターが豊富」という情報を得ました。


セサミへの問い合わせ:親切な対応

問い合わせメール送付

希望の綱であるセサミに、詳細な問い合わせメールを送りました。

以下の内容を盛り込みました。(結構長いです。)
1)対応鍵・アダプターの確認

  • 寸法を記載し、この条件でSESAME 5 Proの設置は可能か?

  • アダプターをつければ大丈夫か?

  • ガードロック付きの下の鍵にも設置可能か?

2)購入すべきアイテムの確認

使用シーン:高齢者の一人暮らしの家の玄関ドアにセサミを設置。家主は足腰が悪く、インターホン確認後にドアの開閉をリモコンで操作。機械操作は簡単なボタンならできるが、手の感覚は鈍い。家族が遠隔でカギの開閉を確認・操作したい。

購入予定のアイテム:

  • SESAME 5 Pro(上下のカギに設置できる場合は2台、上だけ可能なら1台)

  • CANDY HOUSE Remote(1台)

  • Hub 3(1台)

  • Hub 3 コネクタ(1個)

3)その他の要望

  • 対応カギの説明ページを、分かりやすい場所に置いてほしい

  • 使用シーンごとに必要なアイテムがわかる説明が欲しい

  • リモコンはユニバーサルデザインにしてほしい(高齢者や障がいがある方にもわかりやすく)


セサミからの丁寧な返答

返信は、詳細で、親切でした。

質問① 上記のような条件でSESAME 5 Proの設置は可能か?

→ アダプター不要でセサミに付属している金属土台アダプターを併用して、上の鍵・下の鍵へのセサミ 5 Pro の設置が可能。(セサミの向きは、横向きでの設置となります)

質問② ガードロック付きの下の鍵にも設置可能か?

→ 下の鍵(ガードアームロック機能付き)の場合、サムターンが重い、またはガードが固いタイプでなければ、セサミ 5 Pro のご利用が可能。

ただし、木製素材のドアの場合、付属の3M両面テープの特性上、設置面に木製の凹凸があると粘着力が発揮できない可能性がある。その場合、市販の木製用強力両面テープを試すことをお勧めするとのこと。

購入アイテムについて

→ ご記載のアイテムで対応可能。ただし、セサミを設置しても従来通り手動や物理鍵での解施錠が可能。締め出しに関する保証はしないので、必ず物理鍵は持参してほしいとのこと。

その他の要望について

→ ご指摘の「対応カギの説明ページの充実」「使用シーン別の説明」「リモコンのユニバーサルデザイン化」について、貴重なご意見をいただいたので、社内で共有させていただき、今後の参考にさせていただくとのこと。

また、各セサミ商品の仕様や設定方法は、CANDY HOUSE サポートページで案内しているとのこと。

返答の質の高さに感動

率直に、この返答には感動しました。

セサミは、HPにも「お客様の鍵にそのままセサミ5 Proを付けられない場合、弊社の3Dプリンターでカスタマイズアダプターの作成も可能ですので諦めないでください。」とあり、色々な鍵に可能な限り対応する道を模索しているという姿勢が伝わってきました。


購入から到着まで:数営業日

購入したアイテム

購入画面:2026/1/8注文

購入時の工夫:リモコンの「見える化」

電池装入が困難

セサミが届きました。
説明書がイケアの家具っぽいww絵だけ。わかりやすいような、わかりにくいようなww
それにしても、電池が入れにくい。
私が不器用だからなのか?千枚通しを持ってきてこじ開けるという作業をおっかなびっくりやりました。

千枚通しって案外便利ww

リモコンの表示がわかりにくい

さらに問題がありました。リモコンの表示が、カギのマークで示されているだけです。

「あける」と「しめる」の区別が、老眼の目で見たらわかりにくいのです。

セサミの要望欄で「リモコンのユニバーサルデザイン化」を求めたのは、まさにこの課題を感じたからです。

黒いマジックで「ひらがな表記」

そこで、私がとった対策は、シンプルでした。

黒いマジックで、リモコンに「あける」「しめる」とひらがなを直接書き込む。

昔からビデオデッキすら操作できなかった機械オンチの80代の母が、このリモコンの操作をできるのか、やや不安でしたが、「あける」と「しめる」なら、十分操作可能です。


設置から3か月:両面テープの課題

ある日の電話:「カギが反応しない」

セサミを設置してから、3か月ほど経った頃のことです。

母から電話がありました。

「リモコンを押しても、下の鍵が開かなくなった」

遠隔では何が起こっているのかわかりません。母はガラケーでカメラ操作できないし、鍵の近くにも寄れないため、詳しい状況の把握が難しい。

ヘルパーさんのご協力

ヘルパーさんにお願いして見ていただいたところ、下の鍵のセサミの両面テープが浮いていたらしい。
セサミ本体が、ほんの少し浮いた状態になっており、磁気センサーが正常に作動していなかったようです。

ヘルパーさんには感謝です。快く協力してくださいました。こういう小さなことの積み重ねで、介護は成り立っているんだと思います。

原因の推測

なぜ、浮いたのか?は推測の域を出ません。

  • 室内外の温度や湿気の差による膨張・収縮

  • ドア開閉時の微細な振動が、長期間蓄積

  • ドア表面の塗装が、わずかに凹凸があり、3Mの両面テープの粘着力が完全に発揮されなかった

セサミのサポートページでも、「木製ドアの場合、凹凸があると粘着力が減少する可能性がある」と記載されていました。

上から押した後はどうやらちゃんと密着して、センサーが正常に作動するようになりました。

改善案:最初から屋外用強力両面テープを使うべきだった

セサミには、付属の両面テープが付いてきます。確かに、一般的には十分な粘着力です。

でも、もし同じような状況にある人がいたら、最初から「屋外用の最強両面テープ」を使った方がいいのでは?と、今は思っています。


導入後の満足度:「控えめに言って最高」

セサミ導入のメリット

総合的な評価は、控えめに言って最高です(笑)。

  1.  緊急時の対応が可能
    もし、ヘルパーさんから「玄関が開かない」という連絡が来たら、私は遠隔でドアを開けられます。
    これまでは、そんなトラブルが発生したら、窓やドアを物理的に壊すという選択肢しかありませんでした。
    セサミがあれば、その必要がありません。遠隔で解錠できる。母も、ヘルパーさんも、安心です。

  2.  開閉履歴が記録される
    スマートフォンのアプリで、いつカギを開けたか、記録が残ります。
    「母が今日、ドアを開けた」という情報は、生存確認としても機能します。
    遠隔介護の親を持つ人なら、わかると思いますが、このような小さな「生きている証拠」が、どれほど心強いか。
    毎日、母がセサミを操作しているということは、「今日も、母は生きていて、行動している」という確認になるのです。

  3. 物理鍵も使える
    セサミはあくまで「カバー」です。付属の両面テープで、サムターンの上に貼り付けるだけなので、従来の物理鍵も使えます。
    つまり、セサミが故障したり、電池がなくなったりしても、鍵を持っていれば、手動で開閉できるのです。
    「締め出され」のリスクがないというのは、本当に安心です。
    セサミのサポートページでも、「セサミを付けていても、物理鍵は必ず持参してください」と書かれているのは、このためです。

  4. リモコンで簡単操作
    80代で、ビデオデッキも操作できない母が、リモコンの「あける」「しめる」ボタンを押すだけで、ドアが開く。
    この簡潔性が、何より重要です。
    複雑なスマートフォンアプリは不要。ボタンを押すだけ。
    リモコンは後から1つ追加で購入して、ベットサイドにも置いてあります。

  5. 合鍵をデジタル共有できる
    複数の家族で、スマートロックの「開閉権限」を共有できます。スマートフォンから「ドアを開けられる」という権限を共有できるので精神的にも救われます。

  6. 自宅での活用も検討
     導入の満足度が高いので、現在は自宅での導入も検討しています。
     スマートロックがあれば、「外出後、カギが閉まっているかどうか」を、遠隔で確認できます。
    「あ、閉め忘れた」という時は、スマートフォンから「遠隔でロック」することもできるのです。


振り返って思うこと

遠隔介護の「保険」

セサミを付けて思うのは、これが一種の「保険」だということです。毎日、何も起こらなければ、セサミは静かに機能しているだけです。

でも、何か起こった時に、このセサミがあるとないとで、対応の大きさが変わるのです。

「玄関が開かない」「カギが反応しない」というトラブルが起こっても、遠隔で対応できる。

これほどの安心はありません。

介護用品選びの難しさ

セサミの導入を通じて、高齢者がからむ商品・サービス選びの難しさを改めて感じました。

  • 一人ひとりの環境が異なる

  • 「一般的な解決策」が通用しないことが多い

  • 試行錯誤が避けられない

若い人、健常者には便利でも、複雑な機能は高齢者が混乱する。デザインがシンプルで美しいのは素晴らしいが、手指がうまく動かせない、目が見えなかったり視野が狭いと色や手触りではっきりと操作できるもののほうがありがたい。

介護用品は、「最新で高機能なことが、必ずしも良いわけではない」ということです。

むしろ、「本人が理解でき、操作できる」ことが、最優先事項なのだと思います。


最後に

セサミで「遠隔でドアが開く」という、シンプルで確実な機能は、別居介護における「安心」を、確実に高めてくれました。

この記事が、同じような状況にある誰かの参考になれば、幸いです。


※この記事は個人の体験に基づくものです。スマートロック導入にあたっては、自宅の環境に合わせて、必ずメーカーのサポート等に相談してください。

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