てくてくnote 鎌倉 大蔵山杉本寺 坂東三十三観音第一番(後篇)
坂東三十三観音霊場の第一番札所である鎌倉の杉本寺の後編です。
神奈川県鎌倉市二階堂
天台宗 大蔵山 杉本寺
拝観料 300円(大人)
杉本寺は茅葺きの本堂内部にあがることができます。杉本寺のご本尊は三体の十一面観世音菩薩像。
三体は、天平六年(734)行基作
仁寿元年(851)慈覚大師円仁作
寛和二年(986)恵心僧都源信作

杉本寺は天平六年に行基により創建されたと伝えるので、御本尊のうち一体は創建時のものと思われます。
礼を欠いて馬にまたがったまま門前を通ると落馬するということがあったので、建長寺の大覚禅師が自らの袈裟で行基作の十一面観音像の顔を隠したら、そのようなこともなくなったそうで覆面観音などとも呼ばれるそうです。
三体の観音像が本堂の奥の方に安置されていて、直接お姿を拝見することは叶わないのも、そういった経緯からかもしれません。

ちなみに円仁作と伝える十一面観音像と、源信作と伝える十一面観音像の二体はともに鎌倉期の作品として国の重要文化財に指定されています。
また秘仏のご本尊のかわりにドーンとお姿を見せてくれているのが源頼朝公寄進の十一面観世音菩薩像です。頼朝公は観音さまへの信仰が篤かったのでしょうか。
建久三年五月八日、頼朝は鎌倉で後白河法皇の四十九日法要を行っている。その際に鎌倉はじめ相模国を中心に僧を招いている。そのなかに大倉観音堂もある。大倉観音堂は、いまの杉本寺である。
ちなみに武蔵の国の浅草寺もこの時に招かれているので、鎌倉初期にはそれなりの寺院だったことが察せられる。
本堂の内部には観音像のほかに地蔵菩薩像や毘沙門天像がある。本堂の中で御朱印をいただける。
坂東三十三観音霊場のほかに鎌倉三十三観音の第一番札所でもあります。

杉本寺は山の斜面を拓いて建てられている格好なので、境内はそれほど広くはない。本堂の正面に鐘楼堂があり、五輪塔や地蔵尊が並ぶ。本堂右手奥へ廻ると権現堂があり白山・熊野権現が祀られている。
本堂の裏手は崖になっていて、崖をくり抜いた鎌倉でよくみられる「やぐら」のようなものが見受けられる。やぐらは横穴式墳墓だったと言われるが、この観音堂のあったところも葬送の地だったかもしれない。

坂東三十三観音を巡ろうと思い立ちて第一番札所の杉本寺へ参拝にきたわけだが、実は平成二十九年九月二十日に坂東三十三観音霊場納経帳を買い求めて発願の印をいただいている。このときは第四番長谷寺で巡拝が止まった。
八年ぶりの発心は、一度スタートからやり直してどこまで先を延ばせるか無理せず取り組んでまいろうという次第。10年かかるか20年かかるか。そんな時間も観音さまにしてみたら刹那でしょうね。

