【デジタル時代のリスキリングの大本命】水平思考その2 視座を変える
前回、うまく発散するための水平思考には3つの方法があるという話をした。
㋐視座を変える
㋑アナロジーを使う
㋒前提をアップデートする
今回はまず、その中の ㋐視座を変える について説明する。
㋐視座を変える
視座とは、物事を見る姿勢や立場である。「お客さまの立場に立って物事を考えよう」と言われることがよくあるが、これは視座を「売り手の自分から、買い手のお客さまに変える」という意味になる。
視座を変える取り組みとしては、次の3つにチャレンジしていただきたい。
①上に登る、下に降りる
②この人の立場だったら自分はどうする
③この人だったら、自分の立場のときにどう考える
①は、まずは自分のボスの視座で考えることである。ただ、直属のボスだとあまり変わらないし、上すぎると現実性がない。2つ上の階層あたりが対象としてはよい。あなたが係長なら、課長の上の部長の視座で考える。あなたが部長なら、本部長の上の執行役員の視座で考える。
階層が上がると、視野が拡がる。今の視座から見るよりも、自然と全体最適の視点がより入ってくる。
また、普通は上に行けば行くほど、その立場が大変になっていくので、その苦労もわかるだろう。あくまで発想力を得たうえでのオマケであるが、ボスのボスに対して「お立場、ご察しいたします」と、さらっと言えるのは悪くはない。
次は、逆に自分の部下の視座で考えることである。視野は狭くなるが、解像度は増す。降りるほうは通常、過去の自分の実経験があるからやりやすいだろう。
ただ、「あのころはよかった。今は大変だな」に代表されるように、自分がやっていたときと環境が違うと感じることも異なるので、今部下が置かれている環境の中に、具体的に降りていくことが重要である。
また、「昔はあんなにとがっていたのに、最近丸くなったね」と言われる人は、下に降りてみて、昔とがっていたときに、どういう視座から見ていたかを思い出すのもよい。
②は、思いきり振り切った誰かになりきることである。たとえば、自分の会社の社長とか、自分の国の首相とかである。
これは思いきり、リアルにやってみるのがいい。次の取締役会で、自分が社長として会社の方向性を株主に対して話すことを想定して、実際にやってみるとかである。
「ただいまご紹介いただきました、代表取締役社長の〇〇です。これから我が社は大きく方向転換をして、5年間で売上を10倍にします。具体的には、3つの戦略があります。1つ目は……」こういったことをワクワクしながらやっていると、発想する力が必ずついてくる。
③は、自分がすごく困ったときに、この人ならこの場合どうするかを、その人の視座で考えることである。みんなそれぞれ、自分にとってのヒーローがいると思う。そのヒーローになりきることである。ここでポイントは、そのヒーローになりきってセリフを言ってみることだ。
たとえば私の場合は、仕事がすごく大変なときに限って、いろいろな人からさらなる仕事の依頼があり、「もうやばい、このままいくと死んじゃう」と思ったときに、いつも思い出すセリフがある。それは、サッカー漫画『GIANT KILLING』に出てくる天才ストライカーの持田選手が、次々に相手の選手に囲まれたときに言うセリフ、「みんな、俺のこと好きだねー」である。こう言いながら、すべてのディフェンダーを抜いて点を取る。それが持田選手である。
私も「みんな、俺のこと好きだねー」と言うと、なんだか点が取れる気がしてくる。
