AI:ソムニウムファイルが超面白いのにマイナーな理由【ゲームレビュー】
AI:ソムニウムファイルのクリアレビューになります。ストーリーのネタバレはありません。
また本記事では18歳以上対象の作品を扱います。ご了承下さい。
はじめに
AI:ソムニウムファイルという作品をクリアした。
今更このゲームを遊んだのは7月にシリーズ最新作、"伊達鍵は眠らない"が発売されたからという訳ではない。
今年非常に刺さったタイトルであるEver17の打越鋼太郎氏がシナリオを手がけているのがこの"AI:ソムニウムファイル"だったからである。
このゲームを終えての感想を一言で表すと、
何故もっと売れないんだ⁉︎
どうしてもっとメジャーにならないの⁉︎
となるのだが、冷静に考えるとそれもある意味当たり前なのかもしれないとも考えられる、その2つの感情がある意味同居する複雑なタイトルになっている。その理由を本記事で解説しよう。
ただ、そうは言っても間違いなくこの程度の器に収まる作品ではないはずである。そんなシリーズの第一作目を布教も兼ねて紹介したい。
ゲーム概要
あらすじ
東京。
11月のとある金曜日の夜。
降りしきる雨の中、
ひとりの女性の遺体が発見された。
場所は廃墟と化した遊園地のメリーゴーランド…。
その遺体の顔には左目がなかった。
どうやら犯人にくり抜かれ、奪われたらしい。
一報を聞きつけ事件現場に訪れた刑事、伊達。
彼は遺体の顔に見覚えがあった。
なぜ、彼女が――
――これは、夢と現実を捜査し、
失った記憶と因縁の殺人犯を追う、
ある刑事と相棒の物語。
プレイ概要
クリア時間:約33時間(アルバムコンプリート)

良かった点
ストーリー
ADVの肝であるストーリーは最高だった。
終盤の怒涛の展開は前述した打越氏のEver17に匹敵する、いや、上回っているかもしれないレベル。

連続殺人事件を追うというありがちな展開から、記憶を失った主人公、伊達鍵(だてかなめ)の正体にまで迫っていくそのシナリオは、是非多くのADVファンに触れていただきたいものである。

キャラクター
ストーリーに付随してキャラクターも存在感を示している。物語は基本的に片目を失った主人公である伊達と、伊達の左目の眼窩に入っているAIのアイボゥを中心として展開される。このコンビのやり取りがこのゲームの大きな魅力だ。
主要キャラに存在する個別ルートのエンディング内容も中々良かった。



豊富なパロディとミーム
今作には多くのパロディネタやネットミームがネタとして挿入されている。正直私も全てには反応できないというか、全く知らないネタも多かったレベルである。このようなノリを好む方には是非注視して遊んでほしい。



この点に関しては近い内容を後に述べる。
丁寧な設計と作り込みの深さの共存
今作は初心者でも気軽に遊べるユーザーフレンドリーな設計も魅力である。
例えばいつでもルート変更及びやり直しが可能であったり、

結構丁寧に場面場面を小窓にムービー付きで振り返ったりしてくれるので、それってなんだったっけ?と忘れることが少ない。基本的にフルボイスなのも高得点だ。
因みにSwitchのタッチ操作に対応した珍しいタイトルでもある。
そしてその丁寧なゲーム設計と作り込みの深さが共存しているのも嬉しいポイント。
特に補記という語句解説では、恐らく打越氏本人が書いたであろう文章が載っているのだが、その物量は圧巻だ。

この作り込みと豊富なネタのおかげで今作はADVにおける根本作業である色んなところをタッチするという行為がとても楽しい。

操作と全く関係なさそうな場所をタッチすると面白い反応が見られる。

ストーリー的に切羽詰まった状況であっても反応が返ってくることもある。RPGで世界崩壊の危機なのに呑気にサブクエこなしてる時の気分。
悪かった点
ソムニウムパートの問題点
ざっくり言うと事件解決の手がかりを求め、対象者の夢の中に入るというパート。

このソムニウムパートに今作の癖の強さと問題点が詰まっている。
というのも、このゲームの醍醐味の一つは伊達とアイボウの掛け合いにある。前述したパロディは半分くらいがこのソムニウムパート中の掛け合いになる。

であるにも関わらず、時間制限のせいでふざけた選択肢が選びにくい。このパート中は何かしらの行動をする、若しくはキャラクター(アイボゥ)を動かすことによって時間が経過してしまうのだが、これが結構シビア。隠しアイテムを見つけ、一秒以上残してクリアするとおまけ要素を解放できるのだが、それに必要な時間を考慮すると尚更だ。


前述したようにスキップを活用すれば一瞬であり、やり直しはとても簡単にできるが、面倒なことに変わりない。
そしてこのソムニウム世界では常識が通用しないということになっており、一見正しい選択肢に思えても、それで道が開けるとは限らない。そのため最後は総当たりの様な形になる事もしばしばで理論もへったくれもない。ここの操作性が若干悪いのもマイナスポイントだ。
賛否を分ける要因
以下に関して私は悪いとは思っていない。しかし世間一般的に見たらウケが悪いであろう要素だ。
ギャグパート
何度か言及しているが、まず大前提としてここが合わなければ今作は受け入れられないだろう。

例えばこちらは一見カッコ良い銃撃戦のシーンに見えるが、いざ蓋を開けてみると...



こんなバカみたいな展開で終わる。
勿論常にこのノリという訳ではなく、緊張感のあるシーンも多い。しかし一見シリアスに見える場面でのギャグ挿入も多く、それを寒いと感じる人もいるだろう。

お察しの方も多いだろうが、私は好きだ。
対象年齢
実はこのゲーム、CERO:Zである。続編は二作ともCERO:Cに抑えているので、現状今作だけだ。
ceroレーティングが上がるデメリットに関して、例えば、
家電量販店大手の「ノジマ」は、全店舗でCERO「Z」のゲームソフトの取り扱いを中止することを発表。ネットショップ「ノジマオンライン」でも順次中止されます。
店舗でゲームソフトを取り扱う210店舗が対象となり、2023年4月1日より購入・予約ができなくなるとのこと。
CERO「Z」は、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)が定めたレーティングのなかで18才以上のみ対象とし、18才未満者に対して販売したり頒布したりしないことを前提とする区分です。
販売中止の理由について「来店されるすべてのお客様に、より安心・安全にお買い物をしていただく環境を提供するため」と説明しています。
CERO:Zだというだけで一部発売をしない小売店も存在する。
しかし、バイオハザードのようなゲームでさえ表現に気を遣えばCERO:Dに留められるのに敢えてそこを貫いた姿勢は称賛されるべきなのかもしれない。そうでなければ表現できない何かがあったのだろう。直接的な性描写は無いが、前述の通り下ネタはしょっちゅう飛び交うし、グロシーンもそれなりにある。この点はご注意いただきたい。
おわりに
とてもではないが万人受けするゲームでは無い。
下ネタもグロ要素も多いゲームなので、今作を好きだと大手を振って言える気がしないし、ゲーム付きの知人に今作のことを紹介するのも正直憚られる。
しかし面白いのだ。非常にレベルが高い。
月並みな表現になるが、刺さる人には果てしなく刺さるタイトルである。
実は今作、セール中には1000円以下で購入可能で、体験版も配信されている。
気になった方は是非手に取っていただきたい。続編にあたるニルヴァーナイニシアチブも既にプレイ中だ。こちらも終わり次第感想記事を書きたいと思う。
記事完成しました。
最後までご覧いただきありがとうございました。

