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環境省が詳細なPFAS説明資料を公表しました

環境省が詳細なPFAS説明資料を公表しました(本文5,881文字)
 
 
環境省は、令和7年3月31日付にて環境省が詳細なPFAS説明資料を公表しました。
環境省のPFASハンドブック(令和6年3月改訂)は、本文と参考資料から構成されています。有機フッ素化合物PFASに関する基礎情報、健康や環境への影響、関連法制度、リスク管理の方針をわかりやすく整理した資料であり、地方自治体や関係者による対応の参考として提供されています。
ここではハンドブックの概要をまとめます。さらに詳しい情報は、<一次情報>他からご確認ください。
 
 
<PFASとは>
PFAS(有機フッ素化合物)は撥水性・撥油性が高く、難分解性で蓄積しやすい化学物質です。OECDによると4,730種、EPAによると12,000種以上存在します。日本ではPFOS、PFOA、PFHxSの製造及び輸入が原則禁止されています。
食品安全委員会はPFASの評価を行い、令和6年6月の結果公表において、PFOSとPFOAの耐容一日摂取量(TDI)を20 ng/kg体重/日と設定しました。
 
環境省では、PFASについて次のように説明しています;

有機フッ素化合物(PFAS)とは、
 有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。
 PFASの中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されてきました。これらの物質は、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、国内で規制やリスク管理に関する取り組みが進められています。

【環境省】有機フッ素化合物(PFAS)について
https://www.env.go.jp/water/pfas.html


<ハンドブック概要>
第1章 PFAS(PFOS・PFOA 等)の基礎知識
1.1 PFASとは
PFAS(有機フッ素化合物)は炭素とフッ素の結合を持つ化学物質の総称であり、撥水性・撥油性・耐熱性などに優れることから、多岐にわたる産業製品や日用品に利用されてきた。しかし、極めて分解されにくく、生体内や環境中に長期間残留する性質を持つことから、国際的に環境汚染物質として注目されている。
 
1.2 PFOS・PFOAとは
PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)およびPFOA(パーフルオロオクタン酸)はPFASの代表的な物質であり、かつて消火剤、表面処理剤、半導体製造などに広く使用されていた。だが、その残留性、生物蓄積性、有害性が問題視され、国際的に規制対象となった。とくにPFOSは2009年に、PFOAは2019年にストックホルム条約により製造・使用が原則禁止された。
 
1.3 ストックホルム条約(POPs条約)とは
ストックホルム条約は、残留性有機汚染物質(POPs)の排除を目的とした国際条約である。これらの物質は分解されにくく、長距離移動が可能で、食物連鎖により人や動植物に悪影響を及ぼす。PFOSおよびPFOAは、この条約の附属書に追加され、製造、使用、輸出入などが厳しく制限されている。
 
1.4 日本国内での規制(化審法)
日本では、化学物質審査規制法(化審法)に基づき、PFOSおよびPFOAは「第一種特定化学物質」に指定されている。これにより、原則として国内での製造および輸入は禁止されており、限定的な使用に際しては環境への排出防止措置や報告義務が課される。環境省は、これらの物質の使用状況を把握し、代替物質の導入を促進している。
 
 
第2章 環境及び身の回りのPFOS・PFOA等
2.1 環境・身の回りのPFOS・PFOA等の調査
環境省や自治体は、全国各地の公共用水域・地下水・水道水・食品・生活製品などを対象に、PFOS・PFOAの含有実態を継続的に調査している。これにより、ばく露経路や地域ごとの汚染状況の把握が進んでいる。
 
2.2 環境中のPFOS・PFOA等 (1)存在状況の経年変化
大気、水質、底質などの環境モニタリングの結果から、PFOS・PFOA濃度は全体としては減少傾向にあるものの、依然として一部地域では高濃度が確認されている。また、使用規制後も環境中から長期間検出されており、残留性の高さが示されている。
 
2.3 環境中のPFOS・PFOA等 (2)公共用水域・地下水
公共用水域および地下水における調査では、地域によってPFOS・PFOAの濃度にばらつきがあり、工場や基地の周辺で高濃度が観測される例もある。これらの情報は水道水源の安全確保や対策の参考として活用されている。
 
2.4 水・食品中のPFOS・PFOA等 (1)水道水
水道水については、厚生労働省が設定した暫定目標値(PFOSおよびPFOA合計で50ng/L)を基に、全国的な調査が行われている。多くの地点で基準内に収まっているが、一部では超過例が報告され、地方自治体が対応にあたっている。
 
2.5 水・食品中のPFOS・PFOA等 (2)ミネラルウォーター類
市販のミネラルウォーターに関する調査では、PFOS・PFOAは検出限界未満または極めて低濃度であることが多く、飲用におけるリスクは現在のところ低いとされている。
 
2.6 水・食品中のPFOS・PFOA等 (3)食品
食品中のPFOS・PFOAについては、魚介類・肉類・乳製品などからの摂取が主な経路とされ、摂取量推定のためのモニタリングが行われている。現在までの知見では、一般的な食生活を送る限り、健康影響のリスクは比較的低いとされている。
 
2.7 PFOS・PFOA等を含む製品 (1)フッ素加工品
撥水・撥油加工された調理器具や衣類、紙製品などにPFASが使用されてきた。現在では代替物質への転換が進んでいるものの、既存製品中にPFOS・PFOAが残存している可能性もあり、廃棄・管理の際には注意が必要である。
 
2.8 PFOS・PFOA等を含む製品 (2)消火設備
PFOS・PFOAは泡消火剤として使用されてきた。特に空港や軍事施設などでの使用例が多く、既存設備やストック品については在庫の把握と代替の促進が求められている。また、使用時や事故時の環境排出に対する適正な管理が重要である。
 
 
第3章 人の健康への影響(リスク評価)
3.1 PFASに関する健康影響評価(リスク評価)
PFASの健康リスク評価は、動物実験・疫学調査・ばく露実態などに基づき、科学的知見を整理しつつ進められている。特にPFOSとPFOAは多くの研究対象となっており、複数の健康影響が指摘されている。
 
3.2 リスク評価のステップ
健康リスク評価は、「有害性の確認」「用量反応評価」「ばく露評価」「リスクの特徴付け」という4ステップから成る。これらを通じて、科学的に根拠あるリスク管理方針が策定される。
 
3.3 評価の対象とした健康影響
PFOS・PFOAについては、特に肝機能、脂質代謝、内分泌系、生殖・発生への影響が中心に評価されている。その他、がんリスクや免疫系への影響も検討対象とされている。
 
3.4 個別の健康影響に関する評価(生殖・発生毒性)
動物実験では、PFOAによる胎児発育の遅延や出生児の体重減少などの影響が報告されている。また、疫学調査でも早産・妊娠高血圧などとの関連が示唆されており、生殖・発生毒性は重要な評価項目とされている。
 
3.5 個別の健康影響に関する評価(発がん性)
ラット等の動物実験で腫瘍の発生増加が認められているが、ヒトにおける発がん性の証拠は限定的である。疫学研究では、腎がんや精巣がんとの関連が一部で指摘されている。
 
3.6 国際がん研究機関(IARC)による発がん性分類
IARCはPFOAを「ヒトに対しておそらく発がん性がある(グループ2B)」と分類している。一方、PFOSについては分類がなされていない。これは入手可能な疫学的・毒性学的知見に基づいた判定である。
 
3.7 個別の健康影響に関する評価(その他)
PFASは免疫機能の抑制、肝酵素の上昇、甲状腺ホルモンの変化、血中コレステロールの上昇など、多様な生理的影響を引き起こす可能性があるとされている。ただし、ヒトでの確実な因果関係はなお議論の余地がある。
 
3.8 耐容一日摂取量(TDI)
EFSA(欧州食品安全機関)は、PFOS・PFOA等4物質の合計に対するTDIを「4.4 ng/kg体重/日」と設定している。これはヒトの血中濃度と健康影響との関連に基づいて導出された値である。
 
3.9 ばく露評価 (1) 摂取経路
PFOS・PFOAの主要なばく露経路は、飲料水や食品の摂取である。特に水道水や魚介類、乳製品などからの経口摂取が大きな割合を占める。その他、空気やハウスダスト、製品との接触などもばく露源となり得る。
 
3.10 ばく露評価 (2) 日本における食事等からの摂取量
日本国内の調査では、一般的な食生活におけるPFOS・PFOAの摂取量は、欧米諸国に比べて比較的低い傾向にある。しかし、地域や食習慣によって差があり、今後も継続的なモニタリングが必要である。
 
3.11 ばく露評価 (3) 血中濃度
血中濃度はPFASへの長期ばく露の指標とされており、日本人の平均的な血中濃度は国際的に見て中程度である。特定地域では高値が報告されており、局所的なばく露リスクが懸念されている。
 
3.12 今後の課題
今後の課題として、リスク評価に必要なデータの整備、PFASの代謝動態や複数物質の相互作用の把握、低濃度長期ばく露の影響評価などが挙げられる。また、住民向けのリスクコミュニケーションの強化も重要である。
 
 
第4章 PFASへの対応
4.1 PFAS対策の基本的方向性
PFAS対策の基本的な方向性は、予防的管理とリスク評価に基づく措置の実施にある。発生源の特定と適切な処理技術の導入が、環境や人の健康へのリスク低減のために重要である。これにより、将来的な汚染の拡大を防ぎ、持続可能な対応が可能となる。
 
4.2 PFASに関する今後の対応の方向性
今後のPFAS対策の方向性としては、基準設定とモニタリング体制の強化が求められる。また、新たな技術や規制に対応するため、研究開発と国際的な連携が進められることが重要である。PFASの全体的なリスク評価を進めるとともに、業界全体での削減目標を設定することが必要である。
 
4.3 PFOS等含有泡消火薬剤の在庫量の把握と代替促進
PFOS等を含む泡消火薬剤の在庫量の把握は、重要な管理措置である。使用されている泡消火薬剤の代替促進が求められ、環境に配慮した消火薬剤の開発と普及を進めることが急務である。これにより、PFOS等の使用による新たな汚染を防止することができる。
 
4.4 PFOS等含有泡消火薬剤の適正な管理
PFOS等を含有する泡消火薬剤は、適切に管理されなければならない。使用時には、環境への漏れを防ぐため、厳格な管理基準を設ける必要がある。また、消火活動終了後の廃棄や処理も、環境保護の観点から慎重に行われるべきである。
 
4.5 事故等に伴うPFOS等の排出時の対応
PFOS等が事故により環境に排出された場合、即座に排出を抑制する対策を実施し、汚染拡大を防ぐ必要がある。排出源を特定し、浄化技術を迅速に適用することが求められる。また、事故後の監視体制を強化し、関係機関が連携して対応することが必要である。
 
4.6 水道水中のPFOS・PFOA等への対応
水道水中に含まれるPFOS・PFOA等に対する対応として、浄水技術の改良と厳格な基準の設定が必要である。水道水におけるPFAS濃度の監視と、基準値を超過した場合には、迅速な対応策を講じることが重要である。
 
4.7 水道水におけるPFOS・PFOAの暫定目標値
水道水におけるPFOS・PFOAの暫定目標値は、50 ng/Lを超えないように設定されており、これを超過した場合には、浄水技術の見直しや新たな浄水方法の導入が必要となる。適切な基準の設定は、住民の健康保護に直結する重要な施策である。
 
4.8 諸外国等における飲料水基準等
諸外国では、PFOS・PFOAの基準値が非常に厳格に設定されており、日本でもこれに準じた基準の導入が求められている。特に欧州や米国では、飲料水中のPFASに関する基準が整備されており、これを参考にした基準設定が進められるべきである。
 
4.9 水道水のPFOS・PFOAの暫定目標値超過時の対応
水道水中でPFOS・PFOAの暫定目標値を超過した場合、直ちに浄水設備の改良や、適切な代替手段を講じる必要がある。住民への通知と安全確保のための措置が求められ、急速な対応が重要である。
 
4.10 リスクコミュニケーションの実施
PFASに関するリスクコミュニケーションは、住民への情報提供を強化し、リスクを正確に伝えることが重要である。科学的根拠に基づいた情報を提供し、住民が理解できる形での説明が求められる。これにより、健康リスクの低減と不安の解消が期待される。
 
4.11 統計データを用いた地方公共団体による健康状態の把握
地方公共団体は、PFASへのばく露に関する統計データを活用し、地域住民の健康状態を把握することが求められる。これにより、健康影響の早期発見と適切な対応が可能となる。
 
4.12 水環境中のPFOS・PFOA等への対応
水環境中のPFOS・PFOA等への対応は、監視体制を強化し、汚染源の特定と浄化を進めることが求められる。特に、河川や湖沼などの水源に対して、定期的な調査と対策が必要である。
 
4.13 水環境中のPFOS・PFOAの指針値超過時の対応
水環境中でPFOS・PFOAが指針値を超過した場合、即座に対策を講じる必要がある。浄化技術の導入や新たな除去方法の開発を進めるとともに、汚染拡大の防止策が求められる。
 
4.14 国内外のPFAS対策技術
国内外では、PFASを効果的に除去するための技術開発が進んでいる。逆浸透膜や活性炭吸着法、化学的分解技術などが有望な方法として挙げられ、今後の技術革新が期待される。
 
4.15 PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する対応
PFOS及びPFOAを含む廃棄物は、焼却処理などの方法で適切に処理されなければならない。処理後の残留物も含めて、環境負荷を最小限に抑える管理が求められる。
 
4.16 PFOS・PFOAを含有する使用済み活性炭の適切な管理
使用済み活性炭は、PFOS・PFOAを含有する場合があるため、その管理が重要である。適切な保管と処理方法を講じ、環境への影響を防ぐことが必要である。
 
4.17 土壌中のPFASについて
土壌中に存在するPFASについては、定期的なモニタリングと浄化技術の導入が求められる。農地での拡散を防ぐための対策が必要であり、土壌汚染の早期発見と対応が重要である。
 
4.18 農作物への移行に関する知見の収集
農作物にPFASが移行する可能性があるため、その影響を調査し、データを収集することが必要である。農作物の安全性を確保するために、移行メカニズムを解明することが重要である。
 
4.19 PFOS・PFOA・PFHxS以外のPFASへの対応
PFOS、PFOA、PFHxS以外のPFASについても、引き続き規制と監視が進められるべきであり、総合的な対策が求められる。新たなPFASに関する情報収集と評価を進め、適切な対応を行うことが重要である。
 
 
<まとめ>
PFAS(有機フッ素化合物)は撥水性・撥油性に優れ、耐熱性も高いことから広く利用されてきましたが、分解されにくく環境中に長期間残留するため、国際的に規制されています。特にPFOSとPFOAはその有害性から製造・使用が禁止されています。日本でもこれらの物質は厳しく規制されており、環境省は代替物質の導入を促進しています。今後の課題としては、PFASのリスク評価に必要なデータの整備や低濃度長期ばく露の影響評価が挙げられます。また、住民向けのリスクコミュニケーションの強化も重要です。技術開発や国際的な連携を進めることで、PFASの全体的なリスク評価を進め、業界全体での削減目標を設定することが求められます。
 
さらに詳しい情報は、<一次情報>他からご確認ください。
 
 
 
<一次情報>
PFASハンドブック
https://www.env.go.jp/content/000305650.pdf
PFAS参考資料
https://www.env.go.jp/content/000305651.pdf
有機フッ素化合物(PFAS)について
https://www.env.go.jp/water/pfas.html
 
<関連情報>
PFASの食品健康影響評価書(令和6年6月)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kya20240625001&fileId=201
有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループ
https://www.fsc.go.jp/senmon/sonota/pfas.html
【食品安全委員会】用語集:有機フッ素化合物(PFAS) PFAS:Per- and Polyfluoroalkyl Substances【最終更新日 2024年9月】
https://www.fsc.go.jp/yougoshu/kensaku_kagaku.html#item530

 

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