江戸の銀行に“新税”をかけたら大混乱になった話① ― そもそも、なぜ税を取ることになったのか - 天明元年(1781) - #56
江戸の両替商に、新たな負担が課された。
それは、取引に応じて税を取るという、
一見もっともらしい仕組みだった。
だがその制度は、
数字を歪め、
交渉を壊し、
やがて市場そのものを静かに変えていく。
史料は多くを語らない。
だが、断片をつなぐと見えてくるものがある。
このシリーズでは、
江戸の金融に起きた“見えない混乱”を追う。
第1回は―― なぜこの制度が導入されたのか、その背景を見ていく。
江戸で、両替屋に“新しい負担”が課されたことがある。
いまで言えば、銀行や両替所に対する新税のようなものだ。
発端は、「軽目金」の増加だった。
史料にはこうある。
「追年縦金軽目金多相成候由世上差支ニも及候」
年々、軽い金が増え、社会に支障が出ている――という認識である。

そこで幕府は、
👉 両替屋に金を集めさせ
👉 金座で処理する
という仕組みを作る。
だが問題はコストだった。
そこでこうなる。
「両替屋共ゟ金座江役銀為差出」
両替屋に「役銀」を出させる。

さらに同時に、
「是迄両替之歩金…以来銀は壱分、銭は拾文迄を限」
手数料(増歩)を制限する。

つまり、
👉 手数料を抑える代わりに
👉 固定負担を課す
という設計だった。
だが、ここで当然の疑問が出る。
👉 「その負担、誰が払うのか?」
次回へ続く
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