江戸の銀行に“新税”をかけたら大混乱になった話②― 話し合いはした。でも、まとまらない - 天明二年(1782) - #57
江戸の両替商に、新たな負担が課された。
幕府は、取引の規模に応じて「役銀」を納めさせようとした。
一見すると、合理的な制度に見える。
しかし実際には、
・申告は信用されず
・話し合いはまとまらず
・やがて商売そのものが揺らぎはじめる
史料に残るのは、混乱という言葉ではなく、
小さな「不具合」の積み重ねだった。
このシリーズでは、
江戸の金融市場に何が起きていたのかを、
当時の記録をもとに読み解いていく。
第2回は――
話し合いは行われた。それでも、なぜまとまらなかったのか。
両替屋に課された「役銀」。
前回見た通り、
これは
👉 通貨の混乱(軽目金の増加)への対応策
として始まったものでした。
では、その負担を誰がどう受けるのか。
ここで出てくるのが――
👉 両替屋と金座の“交渉”です。
■ まず、幕府はこう動いた
金座江申談候様可致候

👉 金座と話し合いをさせるよう指示
■ ポイント
いきなり徴収ではなく
👉 まず「申談(協議)」させる
つまりこの段階では
👉 制度はまだ“確定していない”
■ そして実際に話し合うが…
…後藤庄三郎方江度々差遣追々對談為仕候得共
兎角申談之趣行届不申…
■ 現代語
👉 何度も交渉したが
👉 話がまとまらない
■ ここが核心
この一文、かなり重要です。
「対談為仕候」=交渉はしている
「行届不申」=しかし決着しない
👉 完全に膠着状態
■ なぜまとまらないのか
その理由も、ちゃんと書いてあります。
両替之増歩御免被成下役銀差出候儀ニ候間 右
増歩ハ両替屋共銘々身分ゟ差出候旨申道理二無之…
■ 読み解くと
両替屋の主張はこうです👇
👉 手数料(増歩)を緩和するなら役銀を出す
👉 しかし今のままでは道理がない

■ さらに決定的な一文
…可相済様無之処難儀之趣申之…
👉 支出のあてが立たず、難しいと申し立てている

■ ここが江戸っぽい
面白いのはここです。
👉 「払わない」とは言わない
代わりに
難儀
出処がない
道理が立たない
👉 “できない理由”を積み上げる
■ つまり何が起きているか
整理するとこう👇
幕府両替屋役銀を取る前提負担は重い金座と調整させる条件次第なら可制度を進めたい現状では無理
👉 交渉はしているが、合意できない
■ 幕府側の判断
このままでは進まないため、
両替屋共呼出、利害申聞吟味詰役銀高相極…
👉 幕府が直接介入し
👉 金額を決めに行く

■ ここでフェーズが変わる
👉 協議 → 決定へ
つまり
👉 “話し合いの段階は終わった”
■ そして次に起きること
ここで幕府は、次の一手に出ます。
役銀高相極次第私御役所江取立…
👉 金額を決めて徴収へ

ただし――
👉 ここで新たな問題が発生します。
■ 次回予告
徴収のために必要なのは
👉 「どれくらい稼いでいるか」
つまり
👉 両替高(取扱高)の申告
ですがここで
👉
少なく申告する
実態が見えない
疑惑が出る
👉 “ごまかし”が始まります
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