江戸の金融当局、「相場を増やせ」で市場を作り直した話①― すべては“銭が集まらない”ことから始まった ― 嘉永七年(1854年) #61
江戸の市場は、うまく回っていなかった。
理由は単純で、しかし致命的だった。
👉 銭が集まらない。
■ 原文はこう書いている
まず、問題ははっきりしている。
「市中江銭集り兼候故」
👉 市中に銭が集まらない。

さらに、
「相場所壱ケ所ニ而者、無仕法難行届候」
👉 一つの相場では、どうにもならない。
そして結論はシンプルだ。
「五ケ所相増」
👉 相場を増やす。

■ 何が起きているのか
これは単なる“お金が足りない話”ではない。
銭が特定の場所に偏る
取引が成立しない
価格が安定しない
👉 市場そのものが機能していない。
当時の取引は「相場立所」という拠点で行われていた。
しかし、
👉 拠点が少なすぎた。
その結果、
人と銭が一箇所に集中する
あるいは、まったく集まらない場所が出る
これは現代風に言えば、
👉 流動性が偏在している状態
である。
■ なぜ“一箇所”ではダメだったのか
前掲の史料で、はっきり言っている。
「壱ケ所ニ而者、無仕法難行届候」
👉 一箇所では、どうにもならない。
これは重要な認識で、
👉 市場は“自然に均一化しない”
ということを意味する。
人は偏る
銭も偏る
価格も歪む
だから、
👉 構造を変えるしかない。
■ 解決策はシンプルだった
「五ケ所相増」
👉 相場を増やす。
一見すると単純だが、
これは実質的には
👉 市場設計の変更
である。
拠点を分散させる
銭の流れを分ける
取引を成立させる
つまり、
👉 “場所”を変えて市場を立て直す
という発想だ。
■ もう一つ重要な点
この施策は、
単なる商売の工夫ではない。
同じ史料にはこうある。
「御奉公筋与相心得」
👉 これは“役目”として行われている。

つまり、
両替屋は自由に動いているのではなく
制度の一部として機能している
ここに、
江戸の金融の特徴がある。
■ まとめ
この時点で見えているのは、シンプルだ。
銭は集まらない
一箇所では回らない
だから増やす
👉 市場は自然には成立しない。
だからこそ、
👉 設計する必要がある。
このあと江戸の市場は、
さらに一歩進む。
👉 相場が複数になったとき、
👉 「どの価格を使うのか」という問題に直面する。
■ 次回予告
相場は増えた。
だが今度は、
👉 価格がバラバラになる。
参考資料
画像から読み解きをサポートしてくれるツール
「ふみのは」
例文が豊富です。典型的な言い回しに慣れるには良いと思います
最初の頃は不要ですが、解読に慣れてきたら辞書が必要です。まだ辞書の力をいかせていない気がします・・
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