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【創作童話】あなあきホロとひびわれココ② すれ違いと痛み

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出会ったホロとココは、少しずつ心を通わせていきます。
けれど、初めての“すれ違い”が、ホロとココの“カタチ”を変えていきました。
――これは、痛みを知ることで近づいていく、やさしいお話です。



翌日。天気は雨でした。
ホロは雨に打たれながら、野原にいました。
しばらく濡れていましたが、

「日向ぼっこできないもんな」

そうつぶやいて、ホロは家へ帰りました。



次の晴れた日。

ホロは朝から楽しみにしていましたが、
あえていつもより少し遅い時間に野原へ行きました。

野原には、すでにココがいました。
「もう、遅いじゃない!」

ココの横には、ホロの知らない“カタチ”がいました。

「はじめまして、オトだよ」
“ホシ”の“カタチ”のオトが挨拶をしました。

ホロは“ホシ”を見るのは初めてでしたが、オトに合わせて、
「……ホロだよ」
体をくにゃっと曲げて、ぺこりと頭を下げました。

少しの間をおいて、ココが言いました。
「オトは幼なじみで、トモダチなの」
「……そうなんだね」
「よろしくね」
紹介されてオトが言うと、
「……うん、よろしく」
と、ホロは少し歯切れ悪く答えました。

ホロ、ココ、オトは、ココを挟んで並んで座り、日向ぼっこをしました。
けれど、その日ホロはほとんど話しませんでした。
ココとオトの会話を、ただ静かに聞いていました。
たまにココが話を振っても、
「ああ」とか「うん」としか答えませんでした。

ココもオトも、ホロの穴や"カタチ"については何も言わず、明るく話していました。
その日は、前より短い日向ぼっこだったのに、
ホロにはずいぶん長く感じました。

帰り道、
「オトはいいやつだな……」
ホロは小さくつぶやきました。



しばらく、ホロはなんとなく外に出る気になれませんでした。
時々、家の窓から外を見て、
「いい天気だな」とつぶやきました。
そうして一日が、ゆっくりと過ぎていくのでした。



数日後。

ホロは久しぶりに日向ぼっこをしました。
やわらかい日差しに体をあずけ、のんびりと過ごしました。

「いい日だったな」と、家に帰りましたが、
その夜は、なかなか眠れませんでした。

「いつも通り。もとどおり」
そう言い聞かせて、眠りました。



ある日、ホロは気分を変えて、川の土手に来ました。

川の流れと風が、水面をキラキラ輝かせていました。
「太陽が元気いっぱいだな」なんて思っていると──

「あ! いた!」

突然、ココの大声が響きました。
ホロはビックリして振り向きました。

ココが勢いよく走ってきます。
「わわ! 危ないよ!」

体を震わせて驚いているホロの目の前まで、ココは駆け寄ると――

「どこ行ってたの? 探したじゃない!」
「探す?」

「毎日、野原に行ったのにいないから! 場所変えたなら言ってよ!」

ココは強い口調で怒っていましたが、
「探してくれたの?」
ホロは少し嬉しそうに言いました。

当然のように、ココはホロの横に座りました。
ホロとココは会えなかった間の話をしました。

ホロは、なんとなく外に出ていなかったことを隠して、
オトと会った翌日から、この土手に場所を変えたことにしました。

「毎日じゃないけど、オトも来てたんだよ」
「オトはいいやつだね」
「そうなの!オトはとてもいい"カタチ"なんだよ」

ホロは気になったことを聞きました。
「なんで、オトを連れてきたの?」
「なんでって……友達が増えたら、みんなのところに行っても平気になるかと思って」

「そんなことは頼んでいない!」

ホロは、自分でもびっくりするくらい大きな声を出しました。
ココは驚いて、ホロを見つめました。

「え? なんでそんなに怒るの?」
「みんなのところに行きたいなんて言ったことはないし、
 そんなこと、頼んでないじゃないか……」

ホロの声は最後には聞き取れないほど、小さくなっていました。

「ホロのためにと思って……」
ココがそう言うと、ホロは立ち上がり、
「もういいよ。帰るね」

ホロが立ち去ったあと、ココは丸い影が長くなるまで、川を眺めていました。



それからホロは、
野原や、たまに川の土手に行きました。
ひとつで、独りで。

ずっとココに謝りたいと思いましたが、
会うことはありませんでした。
ただ、時間が流れて、日々が過ぎていきました。



その日も、ホロは野原で日向ぼっこをしていました。
そこへ――

「ああ、ホロ。さがしたよ」

めったに呼ばれることのないホロは、ビクッとして振り向きました。
そこには、オトが立っていました。

「ココが大ケガをした」
「大ケガを!?」
「転がり競争で、相手を避けようとして……壁に」

ホロは勢いよく立ち上がりました。

「ココは? ココのケガはどんな?」
「それは……うん。ココが、ホロを呼んでる」

詳しく答えないオトの肩を、ホロは掴みます。
「どこ?」
「町の集会所の前だ」

ホロはすぐに走り出しました。
体をたゆんたゆんと揺らしながら。

オトもあとを追いかけ、そしてすぐに追い越しました。

「ついてきて」
それだけ言うと、オトは前を向いたまま進みます。

ホロは必死でついていきましたが、
揺れる体が邪魔して、なかなか速く走れません。

オトが手を差し出しました。
「……」
ホロは迷わず、その手を取りました。

ホロとオトは言葉もなく、町の集会所へ向かいました。

【つづく】

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🕊️ 作者プロフィール  
心の余白に、物語を。  
少し昔の話、どこにもない国の話を紡いでいます。  

物語の見やすさや挿絵には、AIの力を少し借りています。  
言葉の奥にある“やさしさ”を、ひとつずつ形に。  

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