1%の人しか知らない──トランプがニクソンの道を歩む確率が高いと言える理由
アメリカ政治の歴史を振り返ると、ニクソン政権が崩れていく過程には、いくつかの特徴的な流れがあった。興味深いのは、その流れが現在の政権にも重ねて語られる場面が増えていることだ。ここでは評価ではなく、公開された事実や報道で確認できる“共通点”だけを取り上げる。

まず注目されるのは、支持率の推移だ。ニクソンは就任当初こそ高い支持を得ていたが、ウォーターゲート事件の発覚後に急落し、最終的には24%まで落ち込んだ。一方、現在の政権は長期間にわたり40%前後の低い支持率が続き、最近の調査では30%台に落ち込むケースもある。形は異なるが、どちらも「政権運営の重荷となる支持率」が話題の中心に置かれている点は共通している。
次に、政権内部の人事の不安定さだ。ニクソン政権では、事件が深まるにつれて側近が次々と辞任し、政権の中枢が弱体化した。現在の政権でも、複数の閣僚が短期間で辞任・解任され、「大量の入れ替え」が続く状況が報じられている。重要ポストが落ち着かない状態は、どの政権でも末期に近づくと起こりやすい現象として知られている。
司法との関係も比較される点だ。ニクソンは捜査が進むにつれ司法との対立が深まり、最終的に辞任へ追い込まれた。現在の政権も、複数の司法手続きや訴訟が政治環境に影響を与えており、政権の中心課題として扱われる場面が増えている。司法が政治の中心に浮上すると、政策よりも防御に力を割かざるを得なくなるという点で、両者はよく並べて語られる。
メディアとの関係も似ている。ニクソンは報道機関を敵視し、対立が深まるほどスキャンダル報道が増えた。現在の政権も主要メディアとの衝突が続き、報道が政権の弱点を拡大させる場面が多い。メディアとの対立が激化すると、政権は常に説明責任を求められ、余力を奪われる。
さらに、官僚組織との摩擦も共通点として挙げられる。ニクソン政権ではFBIやCIAとの関係が悪化し、内部告発や情報流出が増えた。現在の政権でも、官僚組織との緊張が報じられ、内部からの情報が外部に出るケースが目立つ。政府機関が政権に距離を置き始めると、統治の安定性は急速に弱まる。
外交上の危機も比較される。ニクソンはベトナム戦争の泥沼化が国内の不安定を加速させた。現在の政権もイランとの緊張が続き、外交上の不安が支持率に影響している。戦争や国際危機が続くと、政権は内政に集中しづらくなる。
こうした共通点が積み重なることで、「ニクソンの道を辿るのではないか」と語られる場面が増えている。ただし、これは評価ではなく、歴史的に確認できる事実の並列にすぎない。それでも、これほど多くの一致点が並ぶ政権はアメリカ史の中でも多くない。だからこそ、一部の専門家が両者を比較し始めているのだろう。
