「衛星制御系」って何を制御してるの?衛星全体を管理する「頭脳」の話
〜8月23日 07:30
第3回では、衛星の仕組みを人体の仕組みに例えてお話しました。
この中で、僕が設計に携わったことがある「衛星制御系」についてディープなお話をしようと思います。
「衛星制御系」は、人体に例えると「脳」や「神経系」であるとお話しました。
これは決して大袈裟な比喩ではなく、実際に「衛星制御系」は下記のような機能を持ち、衛星全体を管理する、非常に重要な役割を果たしています。
衛星と地上のコミュニケーションを管理する
衛星の各部との通信を制御する
衛星自身の生存に必要な戦略を考えて実行する
これから衛星制御系が孤独な宇宙空間でどんな仕事をこなしているのか、一つひとつ紐解いていきましょう。
衛星と地上のコミュニケーションを管理する
衛星は、地上からの指令(コマンド)無くしては動くことができません。
また、自分の健康状態(テレメトリ)を地上にいる技術者に伝える必要があります。
この「コマンドを受け取る」や「テレメトリを送る」という物理的なパイプ役は、TTC(通信系)の役目です。
ただし、「受け取ったコマンドをどう解釈するか」や「無数のデータから何をどの順番でテレメトリとして送るか」を考えるのは衛星制御系の役目となります。
そのため、衛星制御系は「受け取ったコマンドを衛星の各部に転送」したり、「機器から受け取ったテレメトリを整頓して地上に送信」したりします。
また、地上との通信の帯域(送れるデータ量)には限りがあるため、テレメトリは優先順位付けをして大事なもの(衛星の生死に関わるもの)を優先して送信するように制御しています。
衛星の各部との通信を制御する
このように、衛星制御系はすべての機器とデータをやり取りするため、必然的に衛星の各部を結ぶ通信網の「中心」に位置しています。
そして、衛星制御系が衛星各部との通信を制御(交通整理)しています。
なぜかというと、「衛星全体の動作を止めない」ためです。
組み込みソフトウェアの領域に馴染みがある方ならピンとくるかもしれませんが、衛星は毎秒、信じられないほどのタスクを同時にこなしています。
姿勢の制御(衛星姿勢の推定と制御)
衛星各部の通信(双方向)
地上からのコマンドの実行
テレメトリの収集と送信
次にご紹介する「生存に必要な戦略」の立案と実行
これらを遅延なく毎秒やり切るために、衛星は衛星制御系が中心となり決まったスケジュールで動いています。
組み込み制御の世界で言うところの「リアルタイムOS(RTOS)による定周期タスク管理」です。
この最たる例が、衛星内部の通信で使用される「MIL-STD-1553B」という通信規格です。
これは軍用機や戦闘ヘリなどでも使われる、信頼性の高い通信規格です。
この「MIL-STD-1553B」は、ネットワークトポロジとしては「バス型」に属します。
一つのデータバス(データの流れる場所)に通信する機器みんなが繋がっている形です。
また、MIL-STD-1553Bは衛星制御系がマスター、その他機器がスレーブとして構成されます。
データバスの上にデータを流す順番や、どの機器といつ通信するかは、すべてマスターである衛星制御系が1対1で指名してコントロールしています。
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7月24日 07:30 〜 8月23日 07:30
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