水戸ホーリーホック 戦術チェック
2週間連続での戦術チェックです。
大学も新年度になり授業が始まりました。
生活リズムが安定してきそうなので、それに合わせてnoteの方での戦術チェックも継続して毎週更新していきたいです。
2025明治安田J2リーグは第9節を迎えようというところ。
札幌は前節劇的な勝利でホーム初勝利を飾った。その勢いそのままに再び連勝し、上昇していきたい大事なアウェイ戦となる今節。
水戸は前節千葉に敗戦を喫したものの首位相手に善戦(というか勝てた?)。直近5試合では1勝2分2敗と負け越しはあるものの勝ち点は着実に積み重ねている。
では、対戦前に水戸の戦術チェックに入っていきます。
今回も直近3試合を参考にしています。
メンバー



ここまでの直近3試合の水戸のスタメン。
ベースは4-4-2で、最終ラインは右から飯田・板倉・知念・大森の4枚が安定的になってきている。また、GKは西川がスタートでくると予想される。フィード(キック)の質が高いこともありルヴァンカップからスタートが続いている。古巣対戦の松原はベンチスタートとみる。
CHは前田・山﨑でくると予想される。長尾・山﨑のコンビがスタートになることも今シーズンは多いが、この後出てくる話のように前田のビルドのサポートなどを見るとそちらのコンビでやりたいよう。
SHは津久井・山本の両サイドが今のベストな選択なのではと思われる。どちらか一方をベンチスタートにし、後半からのオプションにするならば、津久井をスタートで山本がベンチスタートとなる可能性が高い。
FWは大分からの新加入渡邉新太は確実にスタートだろう。相方では奥田や多田といるがここ2試合は奥田がスタートで出ているのでそのままか。
4-4-2の中で可変があるので、一筋縄ではいかせないというような策も打ってくるので警戒はもちろん必要になる。
保持~攻撃
コンセプトとしては、ビルドの部分では割と保持しながらタイミングを見計らって前線やサイドに当てていく形が多い。繋ぐ意識は結構高いので保持する時間は多めで、支配率もリーグ内でも上から5番目。
[第6節 vs.大宮]

大宮戦から。
ビルドの入り口は4-4-2のうち、4バックを下げ切っての入り口で2CHがサポートする。後方4枚残すのは、パスコースの確保と最終的に出口=攻撃の入り口にしたいSH のところに相手DFのリソースを割かさせないためである。なるべくSHのところは1v1の状態にしたい。水戸はSBとSHが同サイドで距離を取ることで相手のDF(マーク)の距離も広げられる。これはマンツーでハマっている時などには有効的。
また、ビルドでのミスがあってロストした後のリスク管理で4枚+2枚残して枚数担保しているという見方もある。
2トップはどちらも前線に張り付いているわけではなく、どちらかがウラへの動きも見せながら相手のDFラインを押し上げさせない。一方で、もう片方はライン間に下りて引き出しながら。

SHは右の津久井が仕掛けることができる力強いアタッカータイプなので、ここまでもっていって仕掛けさせたい。津久井をチャンスメイクの起点にしたい。なので、必ずサイドに張らせている。逆に左はインサイドに入るなど崩しや侵入に関わる。
サイドアタックでは中の枚数やアタックそのものに枚数がかかっているので、クロスからの得点やその可能性を高めることができている。攻撃時の枚数はかけるという約束事があると思われる。その意思が強い。

他に、大宮の5-2-3での守備を掻い潜るための工夫も見られた。
5-2-3の相手の2の脇にそれぞれ1枚ずつ入れてブロック攻略しようとする。CHの1枚はアンカー的になり下りて、もう1枚のCHはハーフスペースをとる。そして、トップから下りてきていたFWもハーフスペースに入る。
これで、相手のpressingの2-3に対して、最終ラインは4枚で中盤は3枚と枚数的に+1の状況をそれぞれのエリアで作り出せる。こういうところでの工夫というか、枚数ずれからビルドのスムーズさを促進しているように見える。

そして、そのハーフスペースでフリーぎみになっているプレイヤーが受ければ、そこに大宮のCBが飛び出してくることもある。それを利用して、そのCBの背後をSHがインサイドに入ってとっていく。そういう仕組み・現象を作り出しながら攻撃の糸口を掴んでいく。
サイドの1v1だけに限らず繋いでいる中で穴を作り出して、そこを突いていくという手法も兼ね備えている。
相手の陣形や守り方などを受けてやり方を最適化しているような印象が強い。この後出てくる試合でもそんなシーンがある。
[第7節 vs.いわき]

いわき戦。
ビルド時の形を整理すると、入り口のところは最終ライン4枚下ろしながらアンカーを設置。前線はトップどちらか下すのは大宮戦と変わらず。ワイドは津久井・山本がスタートになり、どちらのサイドもフィジカルもあるし推進力もあるので活かしていきたい。


しかし、いわきはpressingのところで活力出してかけてくるので、水戸が入りに4-4-2崩さずに入ってしまってはまってしまっていた印象。中央からサイドに逃がしてもそこにも数をかけてくるので窮屈さがある。
入り口のところで4+1とアンカーを設置してフリーっぽく浮かせたかったが、いわきの枚数かけてくる守備に対応されて活かせない。

pressingをかけるうちに、いわきはベースの3-1-4-2から完全に4-4-2に代えてマンツーではめ込む形にしてくる。
水戸は工夫をかけていく前にいわきに枚数・やり方を合わせられてしまった。

という中でも相手の陣形・やり方を見て、この試合でも繋ぎ方や形を変えていく。
CHから前田が下りて3枚でのスタートになる。
入り口のところで3v2になるので+1の状況を作れる。後方(自陣)は枚数過多になっている感じはあるが、相手のpressingや守備枚数を引き付けるには枚数をかけながらボールを確実に持てる・回せるようにしないといけない。そして、そこからpressingをウラ返すようなボールをSHなどに送り込んでいくのが水戸の狙い。SHを出口・脱出口にしながら。

ビルドやポゼのところで相手を引き付けてウラ返すのは手法としてあるが、GKの西川のフィードも活かすシーンも多くある。
西川から直接SHまで届けてサイドアタックへ繋げるシーンもあった。いわき戦の2点目はその形そのものであった。
相手からすると、せっかくpressingに出ている中でGKに戻させてもそこから一発でウラ返されることになるので守備は無効化されてしまう。それだけ水戸は攻撃に関わるストロングを持っていると認識できる。
[第8節 vs.千葉]

千葉戦。
千葉の4-4-2に対して、入りは形変えずにそのままの配置。
CHは相手の2トップの背後や脇に立つことでトップのpressingへの圧力を下げさせる(=相手のトップに存在を認識させて意識させる)。
またSHは右の津久井を張らせておくことは変わらないが、左の山本はインサイドに入りながらの動きを見せる。左右での役割を変えながら。押し込んでいる時はどちらのサイドも仕掛けることができるというオプションも持っている。
ただし、構造的に4-4-2ではめられてしまっている。

と、はまってしまっている状態から脱するために可変する。
左SBはワイドに押し出してDFラインは左に向かってスライド。これで入り口は3枚になる。+2CHにする。守る千葉はその3枚の入り口に対応するため、左SHを押し上げて2トップ+片SHの3枚で合わせる。
こうなると、水戸の右サイドはSHの津久井のところが常時1v1状態になるので、ここまで持っていければ預けて仕掛けさせることができる。ストロングをサイドに持っている状態でそこをより明確に活かせられる構図にするための工夫である。左サイドはオーバーロードの密集で、右サイドは1v1のアイソレーションの作り出しである。
千葉もそこに引っかかったというと言い方が悪いが、水戸の術中にはまった。

また、中盤~トップ周辺でのポジションチェンジも多く、上図のようにトップから奥田が下りてきてハーフスペースにin。左SHがインサイドのポジショニングからトップの一角に入るようになる。中盤のところは千葉の2CHに対し、水戸が3枚いる状態で+1になる。数的優位さを生み出している。
というように、ここまでの試合通りに相手のpressingの形などを観察し(事前にスカウティングを通して保持時の形は決めていると思うが)、可変を施してズレを生むことで前進~アタックのスムーズさを促進している。
この千葉戦もフリーぎみな選手が生まれることでうまくパスが通り、アタックする機会が多くあった。チャンス数も水戸の方が多かったのではという印象だった。
[データで見てみると]

水戸はロングボールの数はそこまで多くない。
J2の中でも下の方で長めのボールを使わずに繋ぐことや、奪ってカウンターというスタイルであるという印象。

APTにおけるロングの使用数を見てみる。
これは、APT内(支配率分の時間内)で何秒につきロング1本蹴っているかという指標。
水戸は34秒に1本くらいというデータ。J2でも遅めな方だが札幌とはあまり変わらず、やり方的には似てる部分も多くありそう。しかも、ロングを入れる先もウラ(DFラインの背後)というよりはSHのところに届けるなど。中央から攻めるよりサイドから攻めるというスタイルか。
データとしてはこんなところです。
↓以上のデータは以下の記事内で紹介してます。こちらもよろしく。
守備
守備はHigh-pressing中心でかけていき、高い位置での回収を試みる。守備の時間を敵陣で長めに過ごしたいのかな?という感じ。自陣でこもって守るのは避けたいのか。
[第6節 vs.大宮]

まずは大宮戦。
大宮の3-4-2-1の対してベースの4-4-2での構え。序盤5~10分程度はHigh-pressingかけながら相手の前進を阻止する。

大宮の拙さが見えるビルドに対して、pressingを強くかけながら蹴らせるでも良い水戸だったが、穴を生んでしまうこともしばしば。
大宮が自陣内のサイドに振ってボールを保持している時、トップがプレッシャーとしてホルダーに出る。それに連動してその次のプレッシャーになるであろうSHも前に出てくる。
すると、大宮はそれをウラ返すように背後にボールを供給する。送る先は大宮のシャドー vs. 水戸のSBの局面。状況的には1v1で、ここで収める・ウラに抜けるなら一気にチャンスになる。
水戸は連動する守備ができていはいるが、SHなどを繰り出して圧力をかけるとその背後を取られる機会が多くある印象。ボールホルダーに出てはいるがそこで「自由に蹴らせない状態にできているか」「サイドでプレーを切れるか」というところではpressingの効力が最大限発揮されているのか?と思ってしまう。
どのチームもpressingは限定して奪い取ることが目標だが、それができずに自陣にボールを送り込まれると危険なシーンに展開する場面もある。そこでのカバーリングや競り合いでの強さがあれば良いのだが、水戸はその強さはあまり見られない。=札幌としてはウラ返して前線で起点を作れる可能性が高い。

自陣でブロックを敷くこともあるが、4-4-2でシンプルに構えることあれば5-4-1に可変して構える場面もある。
この場合は、左SH、左FWをそれぞれ1枚ずつおろして5-4のラインを形成する。この大宮戦では、大宮が最前線に5枚配置していることもありそれに対応するための手法と考えられる。大宮の各選手に高い技術や武器があるので、4バックで構えると1v1で対応する場面も多くあり1v1で対応しきれないこともある。なので、5枚設置してチャレカバの体制を作れるようにしている。

とはいえ、5バックで構えていてもpressingの時同様にワイドのDFが飛び出してその背後を取られるシーンもある。
先ほどと同じような仕組みで取られてしまう。図的には対応できそうだと思うが、この形が一瞬にして起きてしまうのですぐには対応しきれない。そして、そこで深くまで侵入されてクロスやさらにポケットまで取られることもあったり…。
この手の崩され方は水戸のみならず他チームでもよく見られる形。
↓以下のポストで説明してます。
対ブロックのDFライン攻略で最近多いと感じるのは、サイドで持った時に相手WB(SB)を引き出して、その背後にインサイドからシャドーやトップが流れて深い位置にin。そこへパス流す形。5バックに対してもこれで侵入可能。ただし、相手がpressingでライン高い時のみに有効?
— 鵜外 (@engjpn_ugai) April 8, 2025
J2ざっとみての印象ですが。
先週の徳島なんかは、5バックだけどpressingの流れから最終ライン押し上げたいからWB(5バックの大外)が前に出てくる。それは札幌戦に限らず他の試合でも。下図は大宮戦。
— 鵜外 (@engjpn_ugai) April 8, 2025
また、守備目線からして4バックでこれやっちまうと残り3枚なので結構危ない。4でも5でもスライドせねば。=チャレカバの重要性。 pic.twitter.com/ALzHlcjKkG
ただ、大宮戦は終盤まで枚数かける守備でなんとか堅く守り切っていたが、pressingの中からひっくり返されあっさり失点。それで集中きれたのか、その数分後のCKからも失点をし0-2で敗戦となった。最後までの集中という意味では課題があるかもしれない。特に緊迫している・均衡しているゲームではよりそうなのかもしれない。
[第7節 vs.いわき]

いわき戦。
いわき戦も序盤から強度の高いpressingを見せながら、枚数的にははめている状態なのでより前に圧力をかけることができる。
相手のビルドでアンカーがいる場合には2トップで役割分担することで対応する。中盤での枚数対応もしっかりしている。
と、いわき戦の守備はそれなりにpressingはできていた。しかし、その中でDFラインを押し上げられないシーンもあって、ライン間の間延びを利用されることもあった。何かしらエラーは毎節見られるのでウィークポイントはあったりする。
いわき戦の守備時間自体は少なかったが失点はあった。
センターラインの処理ミスや集中力切れる瞬間から失点が生まれた。
この試合はこれくらいかなあ。
[第8節 vs.千葉]

千葉戦。
千葉戦もマンツーではめてHigh-pressingのコンセプトは変わらず。
上図のようにいわき戦に引き続きアンカーケアはできている。そのケアも相まって、枚数的には相当はまっているのでより自信を持ってpressing可能。+千葉はそこまでビルドは上手くない印象。しかも、あまり蹴れるタイミングを得られていなかった。それもあって水戸は守備から高い位置での回収・奪取しショートカウンターに展開するシーンも何度かあった。コンセプトや狙い通りの守備はできていた印象。
サッカーの守備の仕方的にはだいたいそうなのだが、相手保持時は枚数ははめておきたいし-1の局面は避けたい。そこで、水戸も枚数合わせられればあとはpressingをかけていくだけになるので、それを実行して自分らの守備ができる。
逆に、pressing時の形がはまらなければ崩れてしまう。相手の前進がうまく運ばれてしまうのでpressingが無効化されてしまう。

そのズレが起きたシーンもあった。
千葉はトップのカルリーニョスジュニオが下りてきて引き出す形が多くあった。ビルドの中でそのカルリーニョスにボールを預けて、ドリブルで運んで前進するのが多かった。というか、それが千葉の唯一ともいえる地上で繋いでからの前進方法。
水戸としてはこのカルリーニョスが下りてきたところで、誰が着くべきなのかがわからなかったのか、カルリーニョスの受け方・運び方がうまかったのか、そこでエラーが起きてしまった印象。
”形を変えてこない””サイドを走らせるだけ”といえる千葉に対して、うまく守備ははまっていたが予想外か、カルリーニョスが下りて受けて運んでというのをやってきたので対応しきれなかった。
良いpressingができていても、何か例外的なことが起きるとpressing・守備が機能しなくなる。その例外的なことというのは、このカルリーニョスのような動きや個の力を見せられた時など。特にJ2では個の力が必要になることも多く、どのチームも個を持っている。それにどう対応するかが焦点だろう。
千葉戦はそれなりに守れている時間は長くあり、後半になってもボールを持つ時間が多くあった。しかし、決めきれない中から相手にワンチャンスを沈められての敗戦。ぽろっとやられるのは特徴になっているか。
戦いの目安
直近3試合を見てみると、走力や球際など戦える選手はそろっている。攻撃のところでは工夫や狙い、そしてそれを発揮する力、SHのストロング…などそれなりに力のあるチームだなと思う。過去の対戦の時のような水戸よりは確実に変わっているし、難しい相手であることは間違いない。門番といわれますしねぇ。というか、J2で”まじで弱い”チームはいないと思う。
守備面はpressingの強度は保てているようで、ブロックを敷いて構える時もあり使い分けはできている。特に序盤5~10分のpressing強度は高く、そこで相手にペースを持たせない狙いがある。入りの守備はしっかり取り組んでいる印象。
札幌としては、その入りの序盤5~10分で保持する時はリスク負わずにまずは前線に供給する手法で良いと思う。水戸がpressingを初っ端からかけてくる思われるので、それをウラ返す形で今までの試合通りの前進方法。
今節はよりそのロングを前線に入れていくタイミングや頻度を早めていきたい。自陣で引っかかる前に敵陣のスペースに入れたり。それで、水戸のラインが下がって構えてくるなら手前でボールを持ちながら、揺さぶりやブロックに穴を開けていくなど自由な攻撃を展開したい。
pressingで高い位置から奪取を試みる水戸に対して、その奥(=敵陣)でプレーする時間を増やしていきたい。押し込んでからはサイドアタックや崩しでゴールへ迫っていきたい。水戸の自陣での守備は4バックになったり5バックになったりで、どうなるかはわからないが自信持って殴り続けたい。
守備ではいつものようにpressingが効力を発揮するとみる。割とボールを保持してポゼッションする時間も長い水戸なので、保持に自由を与えないそして奪う・プレーを切る という形で圧力を強めたい。
枚数的に2CBかその間にCHが下りたりするが、3枚でのビルドの入り口なら前節同様に2トップと片SH(恐らく近藤)の3枚で枚数合わせてかけていきたい。
しかし、pressingをかけている中でGKが西川であればそこからフィードで一発にSHにつけてくるのでその形は警戒。なので、時にはGKまでpressingをかけつつ限定もするという風にして、水戸の前進方法を全て無くすつもりで前線から守備をしていきたい。
ただ、水戸のSHにまでボールが渡る場面も出てくるのでそこでの1v1ではしっかり対応したい。フィジカルもあり推進力もあるのでそれを抑えられるかというところ。水戸の攻撃のキーはここなのでそこでのデュエルで制圧できるか。
簡単にはいかないJ2リーグ。
水戸も厄介な相手で軽くやって勝てるわけではない。それはどの試合でもそうだが。
しかし、取り組んできたことの質を上げることとサッカーのベース部分をどれだけ強度を上げられるか。慌てずまずはこれまでの試合で良い流れを掴めたやり方で戦っていきたい。
リーグ中盤に差し掛かるこの時期で一気に勢いに乗っていきたい。絶対に勝ちましょう。
