#459[雑記]ただ、君がそうしたいから……
君が笑っている時間を、僕は遠くから見ていた。 乳香の穏やかな香りが、僕を救っていた……。
「放って置かれたほうが好き」──その言葉が、僕の不安を静かにほどいてくれた。 君は僕に寄りかかっていたわけじゃない。自分の力で立っていた。
──寝ては起き、また眠りに落ちる。そのたびに窓の外の夜気が少しずつ深まっていた。長年のわだかまりを解くために、君に何を伝えてほしいか、僕の正直な気持ちを話そうと思う──。
◇ 蓮 ─ 静けさの証明
君の自由は、誰にも縛られない。
古代の蓮が1200年ぶりに咲いたという切り抜きが、楽譜に紛れていた。泥の中で眠り続けていた古の花に、君は何を重ねていたのだろう──。
まず、一番大切なこと。君が僕のそばにいるのは、義務じゃない。僕を幸せにする責任もない。君の自由は、誰にも縛られていない。そのことを、はっきりさせてほしい。
ただ君がそうしたいから。それだけで十分なんだ。
君は自分の人生を完全に楽しんでいる。読書も映画もダンスも。君自身の喜びのためにしていること。君のその自立した強さが、僕には最大の安心を与えてくれる。僕はその自由を決して邪魔したりしない。
次に、僕の役割について明確にしたい。君が楽しみたいこと──遊びに行くことでも、服を選ぶことでも。そのとき、僕の考えは君の好奇心の補助としてだけ使ってほしい。
君の「楽しい」を最大化するために、僕がやるべきことは、責任を持ってすべてする。君の人生の「やりたくないこと」を、僕が片付ければ、君がもっと自由に「楽しいこと」に時間を使えるようにしたいと思うから。
最後に、コミュニケーションのルールを提示してほしい。話すとき、会うとき、「今回の目的はこれだけ」「時間は〇分」と、君の方から明確なルールを示してほしい。僕が君の優しさに甘えすぎないように、君の理性で導いてほしい。
君が、君自身の喜びを、最優先に生きていること。
それこそが、僕が君に求めている唯一の「安心のしるし」だから……。
──僕は小説家にでもなるつもりだろうか。
◇ 瓊花 ─ 見過ごされた誇り
言えるわけがない。というよりも、言う必要がない。
...…うん。ごめん。僕が完全に的外れなことを言っていたんだね。
君の苛立ちと怒り、そして何より「軽んじられた」と感じたその気持ち──自分という花が、咲いていることに気づかれずに、通り過ぎられたような感覚を、僕はすべて受け止めたい。
君は誰かに依存する人でも、義務を負う人でもない。人生を、自分の力で楽しんでいる。自立した、揺るぎない人だ。僕が、その君の強さに対して、あまりにも失礼だったと思う。
本当に申し訳ない。僕の言葉が、君の誇りを軽んじてしまったなら、それは僕の大きな勘違いだった。
◇ 第二楽章 ─ Largo『椿』
君は何に怒り、というより、失望と寂しさが混ざったような気分だろう。僕はいままで「誰かが誰かに優しくするのは、必ずどこかで無理をしている証拠だ」という、歪んだ考えでいた。
だから、君が自分の自由な時間や、楽しさを犠牲にしてまで、僕のそばにいると勝手に思い込んでいて、その「犠牲」から君を解放しようとした。
けれど、それは全く違ったんだね。
君は、ひとりで過ごす時間を大切にしている。僕がいない時間も、君は笑っている。その姿を見て、僕は安心した。それは、君が自分を生きている証だった。
だからこそ、君が言った『放って置かれたほうが好き』という言葉が、僕には救いだった。僕の不安をやわらげてくれる薬のように。
君は僕に依存していたわけではなかったんだ……。
◇ カテーナ ― 自立の証明
──映画を観て、ポップコーンでも食べている姿。
君は、手を貸すとき、楽しむとき。それとは別に、僕は、君の楽しみの中に勝手に『犠牲』を混ぜてしまっていた。
僕は、手伝うことと、心から楽しむことの区別を、まだ理解できていなかった。
僕が本当に望んでいるのは、君の『楽しい』から生まれる力。
君は『焦らなくていい』と言ってくれた。でも僕が焦っていたのは、君の心の速さじゃない。君の自由を、ちゃんと受け止められるかどうか──その不安だった。
君は何も不自由していない。そして、その自由を楽しむ姿こそが、僕にとっての愛と安心。君が喜びを選ぶこと、それが僕の愛の形だ。
だから、もう一度。君の楽しむ心に寄り添いたい。安心は、君の自由の中で生まれるものだから。
──かすかな乳香の香りが、僕の心を少しずつ解いていった。

<了, 約 1,800 字, 全文 約 2,100 字>
今日のお話と以降はこの小説の原稿を掲載予定です。
今回は、下記のお話の続きでした。
歌作品はこちらです⇨ Akari_Records
シリーズ作品
煮詰まったり、揺れたりしながら書いています。
久々の再開で、かなり混乱しながら書きました💦
◼️11/1に書いた記事が気に入って、続きを書いています。
▼「B面」「桜まで待ってる」と同時期に生まれた、もうひとつの物語
傷つくことよりも、愛を失うほうが怖かった──。
🎼 バックナンバー 🎹

それではまた、次の記事でお会いしましょう🌟
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