#575_散文詩_きみは救わない
人の弱さと、揺らぎと、影に。
心で 歌を贈る朝。
きみではない 誰かを救うための、
心の中に残る 痛みや願いを、
そっと形にして手放すのだから──
誰かに心を動かされた夜と、
自分を生きる未来を選ぶ決意。
きみはまさにその 途中 にいる人だった。
まっすぐで、不器用で、誠実で、期待されていて
でもどこか疲れていて、
それでも前に進もうとしていた。
頑張るきみの姿は、忘れられない夜を抱えたまま、
それでも未来を選ぼうとしている誰かと、
同じ匂いがした。
きみは原子炉でも、太陽でもない、ひとりの人間。
優秀で、真面目で、努力家で、でも壊れやすくて、
誰かに縋りつきたくて、足を取られたきみに。
それでも、歌を贈りたい。
きみを救うためではない、祈りのようなもの。
きみの生きる道のどこかにも、
きっと同じようなことがあったはず。
誰かに心を動かされた日
帰りたくなかった日
自分を選びたかった日
でも選べなかった日
そのすべてに、音が、声が、そっと触れていく。
贈る──
所有でも、救いでも、同情でもない。
きみの生き方は、確かに美しかったと、
誰にも言われないまま、
消えていくかもしれないきみへの歌。
歌は、未来を変えることはできないかもしれない。
でも、どこかの夜に寄り添うことはできる。
それで十分なんだと思う。
あなたの生き方に、祝福を。
その優しさが、その人に届きますように──
<了, 約 560 字>

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