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28歳シングルマザー | 親族間売買に挑戦した話

こんにちは。ichiです。
3歳息子と6歳愛犬と暮らしているシングルマザーです。

離婚、介護、看取り、墓じまい、永代供養、実家じまい、戸建て購入などいくつもの大きな出来事を1年間で経験した私が、その時何を考え、どう決断したのかを、一つずつ振り返りながら整理しています。

今回は、「親族間売買」に挑戦した時の話です。



親族間売買に挑戦したきっかけ


前回の記事で、祖母が亡くなったことをきっかけに家族のお金と向き合った話を書きました。

※前回の記事はこちら👇

・祖父の借金が4桁万円も残っていたこと
・祖父の特養の費用が払えなくなってくること
・母の生活を支える必要があること

様々な問題がある中で、どうするのが最適なのか。

家を売ればお金の問題は解決する。
でも、私にはどうしても「売ろう」とはすぐに思えない理由がありました。


守りたかったもの

母は音楽家だったので、実家にはピアノが3台もありました。

母が一番長い時間を共にしてきたグランドピアノ。
作曲をするために一番使用していた電子ピアノ。
母が仕事中でも私がリビングで弾けるようにと買ってくれたアップライト。

実家を売って新しい住まいを決めるには、ピアノのことも考える必要がありました。母は、ピアノはもういいよと、私に負担をかけないようにそう言っていましたが、私にはピアノを手放す選択肢なんてありませんでした。

ピアノを弾くことで、音楽を作ることで、たくさんの人たちを笑顔にしてきた母にとってピアノはなくてはならない存在だと思っていたし、私自身もピアノを弾くことが好きだったので、ピアノがない生活は考えられませんでした。

さすがに3台も持っていくことは難しいけど、ピアノは母の相棒だったので私にとっては家族同然。
そして、闘病中の母には、音楽に触れ続けることが元気の源になると思っていました。だから私は、ピアノも守りたかった。

ピアノを、母の生活を、守るために。
実家に住み続けられる方法はないかと色々考えた時に、まずすぐにできそうなこととして、ひとまずは毎月の返済額を減らさせてもらえないか銀行に相談に行ってみました。
回答はNO。そんな中教えていただいたのが、「親族間売買」という方法でした。

「これなら家もお金も、家族も守れる…?」

そう思ったのが、ことの始まりです。


現実的な問題

当時の私は離婚に向けて協議を進めていたところでした。
母の生活やピアノのこともあるので、実家に戻ってきて一緒に暮らせるのが1番いい…と、最初は思っていたのですが。

実家は築45年以上。あちこちにガタがきていました。
それに加え、物も多く、片付いているとは言えない状態の実家で、当時1歳の息子と4歳の愛犬、ゆくゆくは介護が必要になるかもしれない闘病中の母にとっては危険が多く、私一人では手が回らないと思ったのです。

ありがたいことに私も母も友人には恵まれていて、頼れる人はたくさんいましたが、とてもじゃないけど人を呼べるような環境ではない。

できることなら実家を残したいけど、現実問題、そのまま住み続けることは難しいのも分かっていました。


新しい選択肢

だったら、リノベーションはどうか。

そう思い見積もりを出してみたのですが、実際の契約は家主でないとできないとのことで、さらに特養に入っている祖父では契約ができないと言われてしまいました。

そうなると、やっぱり親族間売買に挑戦するのが一番いい。
親族間売買をして私が家主になれば、リノベーションができる。
リノベーションすれば安心した環境で家族みんな暮らすことができる。


そうして私は、親族間売買に挑戦することにしたのです。


親族間売買への挑戦

第一の壁 「売買能力」

銀行の人から親族間売買を教えてもらった時点で、こう言われていました。

「そもそもお祖父様に意思決定能力がなければ売買はできません。売買をするには成年後見人を立てないといけませんが、これは時間がかかります。特養に入られているとのことでいつどうなるかわからないので、やるなら急いだ方がいいと思います。意思決定能力があるかどうかは第三者に判断してもらわないといけないですよ。」

祖父は要介護5で、右半身不随で字も書けないし言葉もうまく話せないけど、頭はしっかりしていました。こちらの話すことに喜怒哀楽をつけて返事してくれるのです。

でも、いつどうなるかわからない。それは確かにそうだと思いました。

銀行の人が言う「第三者に判断してもらわないといけない」というのは、具体的には売買契約の直前に司法書士の人に判断してもらう必要があったのですが、そこでNGとなってしまったら成年後見人を立てないといけなくなります。
その間は借金を返済し続けないといけないのでますます生活は苦しくなる。

だから私たちは急ぐ必要があったのです。


第二の壁 「売買価格」

親族間売買では、「みなし贈与(※)」にならないよう、売買価格を慎重に決める必要があります。
※相場より極端に安い金額で売買すると「贈与」とみなされ、贈与税の対象になる可能性があるからです

ありがたいことに、この辺りは不動産業界に勤めている友人に丁寧にサポートしてもらえたのでやるべきことは明確でした。

まずは土地と建物の査定や手続きを進めるために必要書類を準備してほしいとのことでしたが、正直ここが一番大変でした。
片付いてない実家から書類を探し出すことがどれだけ大変なことか…。

書類がない場合は役所や法務局に行けば取り寄せられたり、不動産会社の方で代行して作成してもらえると教えてもらえましたが、平日フルタイムで働きながらの対応がどれだけ大変なことか…。

とかなんとかで毎日がめまぐるしく過ぎ去っていきましたが、なんとか査定を終え、売買価格を決めることができました。


第三の壁 「住宅ローン」

最後に住宅ローンです。

親族間売買は一般的な不動産売買とは違うため、住宅ローンの審査が厳しくなることは事前に聞いていました。
銀行や住宅ローンの種類によっても条件が異なり、「親族間売買では利用できない」「金利が高くなる」など、調べれば調べるほど難しさを感じました。

けど、まずは事前審査を出してみないことには始まらない。
逆に、事前審査が通れば本審査も通る可能性が高いと、不動産会社や銀行の方からも聞いていたので、とにかく前に進むしかありませんでした。

ところが、ここで一つ問題が発覚します。

当初は、土地・建物に加えてリノベーション費用もまとめて住宅ローンを組む予定でしたが、リノベーション費用は住宅ローンには含められないことがわかったのです。

住宅ローンは住宅を購入するためのもの。
リノベーション費用は、別途リフォームローンを組む必要があるとのことでした。

予定していた計画は少し変わってしまいましたが、「まずは土地と建物だけで進めよう」と方針を変更し、事前審査を受けることにしました。

そして――

事前審査は無事に通過。


「ここまで来たら、あとは本審査だけ。」

そう安心したのも束の間。
並行して本審査に向けた書類の準備をしてくれていた不動産会社の友人から、連絡が入ったのです。

「ちょっと嫌な予感がする」


思わぬ落とし穴

話を聞くと、取り寄せた書類と、実際の家の状態が一致していないというのです。

実は、以前間取り図を作成するために家を見てもらった時、「昔、増築している」という話はしていました。
でも、取り寄せた書類には、その増築の記録が見当たりませんでした。

本来、増築をする場合は必要な手続きを行い、その記録が残ります。
でも、その記録がないということは、必要な手続きが行われたことを確認できないということ。
つまり、実家は違法建築物として扱われる状態だったのです。

そしてその結果、必要な書類を揃えることができず、本審査には進めないという判断になってしまいました。


こうして、親族間売買への挑戦は終わってしまったのです。


立ち止まっている時間はない


ここまで何ヶ月もかけて前に進めてきたつもりでしたが、一瞬で白紙に戻ってしまいました。

正直この時、祖父に怒りさえ感じました。
でも、そんな感情を持ったところで何ひとつ解決しません。

・祖父に意思決定能力があるうちに、売買をしないといけないこと
・母の生活を守るために、新しい住まいを決めなければいけないこと

残された選択肢は一つ。第三者に実家を売却をすることでした。


そうして私は、実家の売却と、新しい暮らしを探すために、また一歩踏み出すことになったのです。



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