「国かどうか」で終わらせない地図の見方。台湾、コソボ、パレスチナ、プエルトリコ…スポーツで世界の見え方が変わる話
成島です。@freeowner171
前回、社会主義国比較について書きました。
中国。
ベトナム。
キューバ。
ラオス。
北朝鮮。
ベネズエラ。
同じ「社会主義」という言葉の
周辺にいても、中身はまるで違う。
政治体制の話なのか。
経済運用の話なのか。
市場化の話なのか。
資源依存の話なのか。
国外とのつながりの話なのか。
そこを分けないと、
かなり雑な理解になる、という話でした。
で、今回です。
社会主義国を調べている途中で、
また別の違和感に引っかかりました。
地図です。
国の地図。世界地図。ニュースで見る地図。
学校で見た地図。
ネットで見る地図。
国際機関が出している地図。
これ、よく見ると、けっこう違うんです。
ある地図では国境線が引かれている。
別の地図では点線になっている。
ある場所は国名が書かれている。
別の地図では地域名になっている。
ある地図では色が塗られている。
別の地図では白っぽく残されている。
なんだこれ。
と思ったんです。
前回まで、野球からキューバに入り、
社会主義国比較まで来ました。
その流れで、台湾、西サハラ、
コソボ、パレスチナ、プエルトリコ、
香港、グリーンランド、クルディスタン
みたいな名前を見ていると、
「国って、何をもって国なんだろう?」
というところに戻ってきます。
ということで、今回は
未承認地域の地図について書きます。
ただし、最初にひとつだけ補足しておきます。
今回扱う場所は、
全部が同じ種類ではありません。
台湾のように、国際承認が
限定的な事実上の国家に近い場所もある。
西サハラのように、
帰属が未解決の非自治地域もある。
コソボのように、独立を宣言し、
多くの国に承認されているけれど、
承認が割れている国家もある。
パレスチナのように、
国家承認は広がっている一方で、
占領や統治の分断が重くのしかかる場所もある。
プエルトリコのように、
未承認国家ではなく、
アメリカの領域で自治を持つ地域もある。
香港、マカオ、グリーンランドのように、
国ではないけれど独自の制度や主語を持つ場所もある。
つまり、この記事で見たいのは、
「未承認地域」という一つの箱
ではありません。
むしろ、
未承認国家。
承認が割れている国家。
係争地。
非自治地域。
自治領。
特別行政区。
海外領土。
歴史地名。
領土問題。
こういうものを、
できるだけ混ぜずに見ることです。
今回も専門的な国際法の論文ではありません。
あくまで、地図を眺めていて
出てきた違和感をほどく雑記です。
「国なのか、地域なのか、係争地なのか、自治領なのか」
このあたりを、できるだけ
日常の言葉で整理していきます。
まず「国っぽい場所」が多すぎる
世界地図を見ていると、普通はこう思います。
色が塗られている場所が国。
線で区切られているところが国境。
国名が書いてあれば国。
でも、少し調べると、
これが全然単純じゃないことに気づきます。
たとえば台湾。
地図で見ると、
どう見てもひとつのまとまった地域です。
政府がある。
選挙がある。
軍がある。
通貨がある。
パスポートもある。
実際に人々が暮らしている。
経済も動いている。
日常感覚では、かなり「国」に見えます。
でも、国連加盟国ではありません。
多くの国が、中国との関係の中で
台湾を正式な国家として承認していません。
じゃあ台湾は国ではないのか。
ここで話が止まるんです。
実態としては、かなり国家に近い。
でも、国際承認は限定的。
こういう場所が世界にはあります。
西サハラもそうです。
北西アフリカにある地域です。
地図によっては、白く塗られていたり、
点線になっていたり、
モロッコと一体のように見えたりします。
モロッコが大部分を実効支配している。
一方で、ポリサリオ戦線や
サハラ・アラブ民主共和国という
独立を主張する側もある。
国連では非自治地域として扱われています。
つまり、帰属がはっきり決まっていない。
ここもまた、
「地図でどう塗るか」が政治になる場所です。
コソボもそうです。
独立を宣言している。
多くの国が国家として承認している。
現地には政府があり、
国としてかなり機能している。
でも、すべての国が
承認しているわけではありません。
承認が割れている。
パレスチナもそうです。
国家として承認する国は多い。
国連では非加盟オブザーバー国家として扱われている。
でも、領土、主権、占領、境界、統治の
分断が複雑に絡んでいる。
このあたりを見ていると、
「国か、国じゃないか」
の二択で考えるのが、
かなり無理だとわかります。
世界には、
実態として国家に近いけれど、
国際承認が限定的な場所。
国家として名乗っていて、
多くの承認を得ているけれど、
承認が割れている場所。
実効支配している国があるけれど、
帰属が争われている場所。
独立国ではないけれど、
強い自治を持つ場所。
歴史的には国名っぽいけれど、
今は現在進行形の国家ではない場所。
こういうものが、たくさんあるんです。
地図は中立に見えて、中立じゃない
地図って、すごく冷静なものに見えます。
海が青い。
陸が色分けされている。
国境線がある。
首都に印がついている。
なんとなく、客観的な資料に見える。
でも、未承認国家や係争地、
自治領を見ていると、
地図はかなり政治的なものだとわかります。
どこに線を引くか。
線を実線にするか、点線にするか。
国名を書くか、地域名を書くか。
どちらの国の色で塗るか。
そもそも色を塗らずに余白として残すか。
これだけで、
地図のメッセージが変わります。
たとえば、ある地域を
ひとつの国と同じ色で塗れば、
「ここはこの国の一部です」と見える。
点線にすれば、
「ここは争いがあります」と見える。
白く残せば、
「ここは簡単には塗れません」と見える。
地名だけ書いて国境をぼかせば、
「判断を避けています」と見える。
つまり、地図はただの絵ではありません。
地図は、世界を
どう認めるかの表現でもある。
ここが面白い。
そして怖い。
僕たちは地図を見ると、
そこに描かれたものを
「事実」として受け取りがちです。
でも、その地図を作った会社、
国、機関、メディアの立場によって、
表示は変わる。
同じ世界を見ているはずなのに、
地図が違う。
これは、地球の形が
変わったからではありません。
人間の認識と政治が違うからです。
台湾は「事実上の国家」と「承認」のズレが大きい
いちばん日本人にとって
身近なのは台湾かもしれません。
台湾は、日常感覚では
かなり国っぽいです。
台湾旅行に行く。
台湾料理を食べる。
台湾の選挙ニュースを見る。
台湾企業の製品を使う。
台湾代表のスポーツを見る。
普通に生活していると、
台湾は台湾として存在しています。
でも、国際政治の場面では、
一気にややこしくなります。
中国は台湾を
自国の一部と見なしている。
多くの国は、中国との外交関係の中で、
台湾を正式な国家として承認していません。
台湾は国連加盟国でもありません。
でも、台湾には独自の政府がある。
軍がある。
選挙がある。
通貨がある。
司法制度もある。
現実に統治されている社会がある。
ここで出てくるのが、
実態としての国家っぽさ
と
国際承認としての国家
は別だということです。
これ、かなり大事です。
「政府があるから国」
「国連に入っていないから国じゃない」
どちらか一言で言い切ると、
たぶんこぼれるものが多い。
台湾は、まさにそのズレが
見えやすい場所です。
だから台湾について語るときは、
言葉を選ばないといけない。
国なのか。
地域なのか。
事実上の国家なのか。
国際承認が限定的な存在なのか。
中国との関係ではどう表現するのか。
ここに政治が入ります。
地図上の小さな島に見えるのに、
その言い方ひとつで国際関係が揺れる。
地図って、軽くないですね。
西サハラは「塗りにくい理由」がある
台湾が身近な例だとすると、
西サハラは地図の違和感として
わかりやすい場所です。
アフリカ北西部にある地域です。
モロッコの南側あたり。
世界地図で見ると、
ここが微妙な表示になっていることがあります。
モロッコと同じ色に塗られている地図もある。
点線で区切られている地図もある。
白っぽく残されている地図もある。
なぜか。
帰属が未解決だからです。
現在、モロッコが大部分を実効支配しています。
一方で、ポリサリオ戦線や
サハラ・アラブ民主共和国側は
独立を主張しています。
国連では非自治地域として扱われています。
つまり、単純に
「ここはモロッコです」
とも、
「ここは完全に独立国家です」
とも言いにくい。
だから地図が揺れる。
西サハラを見ていると、
地図に塗りにくい場所には、
たいてい理由がある
と思うようになります。
それは単なる空白ではありません。
情報がないから白いのではなく、
政治的に塗りにくいから白い。
ここが面白いところです。
白や点線には、
まだ決着していない歴史がにじんでいる。
コソボは「国としてかなり動いているけど、承認が割れている」
次にコソボです。
コソボは、未承認地域というより、
承認が割れている国家として
見る方が近いかもしれません。
独立を宣言している。
政府がある。
実際に国としてかなり機能している。
多くの国が承認している。
でも、すべての国が
承認しているわけではありません。
セルビアはコソボを自国の一部と見ています。
ロシアや中国など、
承認していない国もあります。
つまり、コソボは、
かなり国として動いている。
でも、国際社会の全員が
国として認めているわけではない。
という場所です。
これもまた、地図で悩む地域です。
国として色を塗るのか。
セルビアの一部のように扱うのか。
点線を入れるのか。
注記を入れるのか。
地図を作る側は、
ただ線を引いているだけではありません。
その線の引き方で、
政治的な立場が出てしまう。
だから地図は難しい。
パレスチナは「承認」と「統治」のズレが重い
パレスチナも、かなり複雑です。
国家として承認している国は多い。
国連では非加盟オブザーバー国家
として扱われています。
でも、
現実の領土や統治を見ようとすると、
一気に難しくなります。
ヨルダン川西岸。
ガザ地区。
イスラエルとの関係。
占領。
入植地。
境界。
自治政府。
武装組織。
国際交渉。
いろんな問題が重なっています。
パレスチナの場合、
国家として承認するかどうか
と
その領土が実際にどう統治されているか
が、かなり複雑に絡んでいます。
だから、ここも
「国か国じゃないか」
の二択では足りません。
承認されている。
でも主権の行使には大きな制約がある。
統治の現実は分断されている。
地図上の線と、現地の生活の線が一致しない。
こういう場所です。
パレスチナを見ていると、
国家というものが、
単なる国名ではないことがわかります。
承認。
領土。
住民。
政府。
軍事。
外交。
移動の自由。
生活の安全。
全部が絡んで、
ようやく「国」という話になる。
地図一枚では、とても収まりません。
プエルトリコは「未承認」ではないけど、国でもない
ここで少し話をずらします。
プエルトリコです。
前回までの野球記事でも出てきました。
WBCではプエルトリコ代表として出ます。
でも、プエルトリコは独立国ではありません。
アメリカの領域です。
では、未承認国家なのか。
違います。
プエルトリコは、
未承認国家ではありません。
アメリカの領域であり、
独自の自治を持つ地域です。
ただ、スポーツでは独自代表として出る。
ここがややこしい。
国ではない。
でも代表はある。
アメリカ市民でもある。
でもプエルトリコとしての
アイデンティティもある。
これを見ると、
未承認国家
係争地
自治領
海外領土
スポーツ上の代表単位
は、それぞれ別の話だとわかります。
ここを混ぜると、かなり混乱します。
プエルトリコは
「国ではないけれど、独自の主語を持つ地域」
として見ると、少し理解しやすい。
このタイプの地域は、
世界にけっこうあります。
香港、マカオ、グリーンランドも「国ではないけど主語がある」
香港も国ではありません。
中国の特別行政区です。
マカオも同じく、
中国の特別行政区です。
ただ、本土とは制度や歴史が違います。
香港には香港の歴史がある。
マカオにはマカオの歴史がある。
通貨や制度や生活感も、
本土とまったく同じではない。
だから、ニュースでも「中国」と
一言でくくらず、
香港やマカオとして語られる場面が多い。
でも、独立国ではない。
ここもまた、
国ではないけど、主語がある地域
です。
グリーンランドもそうです。
デンマーク王国の一部です。
でも、高度な自治を持っています。
地図で見ると巨大です。
北極圏にある大きな島。
独立国ではない。
でも、単なる地方自治体という感じでもない。
自治政府があり、
独自の政治的な存在感があります。
こういう場所を見ていると、
世界は国だけでできていない
ということがよくわかります。
国の中にも、
かなり強い個性を持つ地域がある。
自治領。
特別行政区。
海外領土。
属領。
自由連合。
歴史的な地域名。
地図には、こういう
中間の存在がたくさんあります。
クルディスタンは「地図に国境がない民族の地図」
次にクルディスタンです。
これもまた、かなりややこしい。
クルディスタンという
単一の独立国があるわけではありません。
でも、クルド人が多く暮らす地域として、
トルコ、イラク、イラン、シリアなどに
またがる広い範囲を指すことがあります。
イラクにはクルディスタン地域政府があります。
一定の自治を持つ地域です。
でも、クルディスタン全体が
ひとつの独立国家として
国際承認されているわけではない。
ここでは、国境と民族の分布が
一致していません。
国の地図では、
トルコ、イラク、イラン、シリアと分かれている。
でも、民族の地図を見ると、
クルド人の居住地域が国境をまたいで広がっている。
つまり、見る地図によって世界が違うんです。
政治地図。
民族地図。
言語地図。
宗教地図。
軍事勢力図。
同じ場所でも、
どの地図を見るかでまったく違って見える。
クルディスタンは、
そのことを教えてくれます。
「国がないから存在しない」
ではない。
でも、
「民族がいるから国がある」
とも言えない。
ここが難しい。
チェチェンやサハ共和国は「国っぽい名前」だけど独立国ではない
名前だけ見ると、国っぽい地域もあります。
チェチェン共和国。
サハ共和国。
共和国とついているので、
なんとなく独立国に見えます。
でも、どちらもロシア連邦内の共和国です。
国際的な独立国家ではありません。
チェチェンは、
歴史的にも非常に重い地域です。
ロシアとの戦争、
独立運動、強権的な統治。
そういう文脈があります。
でも、現在の法的な位置づけとしては、
ロシア連邦内の共和国です。
サハ共和国も、
ロシア連邦内の共和国です。
面積はものすごく大きい。
でも、国際承認問題の地域というより、
ロシア国内の連邦構成主体です。
ここでわかるのは、
名前に共和国とついていても、
独立国とは限らない
ということです。
日本語で見ると、
かなり紛らわしい。
共和国と聞くと、つ
い国家を想像してしまいます。
でも、連邦国家の中には
「共和国」という名前の自治単位がある。
ここもまた、地図の罠です。
満洲国や樺太は「歴史の地図」として分けて見る
さらに混乱しやすいのが、歴史地名です。
たとえば満洲国。
満洲国は、
かつて存在した国家です。
ただし、現在の未承認国家ではありません。
歴史的には、日本の影響下に
置かれた傀儡国家として
語られることが多い存在です。
今の地図で言えば、
中国東北部のあたりです。
遼寧省。
吉林省。
黒竜江省。
このあたりの歴史と重なります。
だから、満洲国を現在の未承認国家や
係争地のように扱うと、少しズレます。
これは歴史上の国家であって、
現在進行形の未承認国家ではない。
樺太もそうです。
樺太という日本語は、主にサハリン島、
とくに南サハリンを指す
歴史的な言い方として出てきます。
今の政治単位として
「樺太国」があるわけではありません。
歴史地名。
かつての統治。
戦争。
領土の変化。
住民の移動。
そういう話です。
ここもまた、
現在の地図と歴史の地図を混ぜると混乱します。
今ある国の話なのか。
昔あった国の話なのか。
今も争われている領土なのか。
単なる歴史地名なのか。
ここを分けた方がいい。
北方領土は「未承認国家」ではなく、領土問題
日本人にとって身近な領土問題といえば、
北方領土です。
択捉島。
国後島。
色丹島。
歯舞群島。
日本はこれらを
自国固有の領土と主張しています。
一方で、現在は
ロシアが実効支配しています。
ここで注意したいのは、
北方領土は未承認国家ではないということです。
どこかが独立国家を
名乗っているわけではありません。
日本とロシアの間の領土問題です。
つまり、
未承認国家
承認が割れている国家
係争地
領土問題
は似ているようで違います。
北方領土は、
国家承認の問題というより、
どちらの国に帰属するのかという領土問題。
西サハラとは似ている部分もありますが、
構造は同じではありません。
このように、
地図のややこしさにも種類があります。
全部まとめて
「よくわからない地域」と言うと、
かなり粗くなる。
ここも切り分けが必要です。
地図で見るときの便利な分解
ここまでいろいろ見てくると、
頭がぐちゃぐちゃになります。
なので、僕なりに地図を
見るときの分解を置いておきます。
最初に見るのは、
その場所が独立国として
扱われているのかどうか。
そのうえで、
国連加盟国なのか、
国として承認している国が
どれくらいあるのかを確認する。
さらに、実際に誰が統治しているのか。
住民はどの政府の制度で暮らしているのか。
別の国が領有権を主張しているのか。
自治政府はあるのか。
そして最後に、
それが現在の政治単位なのか、
それとも歴史地名として残っている言葉なのかを見る。
この順番で見ると、少し整理しやすいです。
たとえば台湾は、
独自政府があり、実態としてかなり国家的。
でも国連加盟国ではなく、国際承認は限定的。
西サハラは、
帰属未解決の非自治地域で、
モロッコが大部分を実効支配し、独立を主張する側もある。
コソボは、
独立を宣言し、多くの国が承認しているが、
すべての国が承認しているわけではない。
パレスチナは、
国家承認は広がっているが、
占領や実効支配の分断が重く残る。
プエルトリコは、
未承認国家ではなく、アメリカの領域。
ただし独自の自治や代表性がある。
香港、マカオは、
中国の特別行政区。
グリーンランドは、
デンマーク王国の一部で、高度な自治を持つ地域。
クルディスタンは、
単一国家ではなく、国境をまたぐ
民族的・地域的な概念。イラクには自治地域がある。
チェチェンやサハ共和国は、
ロシア連邦内の共和国。
満洲国は、
過去の傀儡国家であり、現在の未承認国家ではない。
北方領土は、
日本とロシアの領土問題であり、未承認国家ではない。
こうして分けると、
かなり見え方が変わります。
地図の違和感は、
だいたいこのどこかのレイヤーが
混ざっているときに起きます。
スポーツを見ると、また地図がズレる
ここで、また野球の話に戻ります。
WBCでは、国だけでなく
地域も代表として出ることがあります。
プエルトリコがその代表例です。
アメリカ領なのに、
アメリカ代表とは別に出る。
これ、国際政治の地図だけで見ると不思議です。
でも、スポーツの代表単位としては成り立つ。
サッカーでも、イングランド、
スコットランド、ウェールズ、
北アイルランドのように、
国家とは違う単位で代表が存在します。
ここでわかるのは、
政治の地図
スポーツの地図
文化の地図
民族の地図
は、必ずしも一致しないということです。
これが面白い。
政治的には国ではない。
でもスポーツでは代表がある。
国家として承認されていない。
でも人々はその旗や名前に
強い帰属意識を持っている。
国境線は引かれている。
でも民族や言語の分布はまたいでいる。
これを全部ひとつの地図で
説明しようとすると、無理が出る。
だから地図は一枚では足りないんです。
未承認や係争の地図を見ると、「国」は完成品じゃないとわかる
今回、いちばん感じたのはこれです。
国は完成品ではない。
僕たちは普段、
国を完成した箱のように考えています。
日本。
アメリカ。
中国。
フランス。
ブラジル。
こういう国名を見ると、
固定された存在に見える。
でも、国際承認が限定的な場所や、
係争地、自治領、歴史地名を見ていると、
国はもっと流動的なものだとわかります。
国境は歴史の結果です。
戦争で変わる。
植民地支配で変わる。
独立運動で変わる。
住民投票で変わることもある。
大国の都合で変わることもある。
国際承認によって扱いが変わることもある。
つまり、地図は
現在のスナップショットにすぎない。
今の状態を切り取っているだけ。
その下には、
過去の地図が何枚も重なっています。
かつての帝国。
植民地。
自治領。
戦争。
条約。
独立。
分断。
併合。
住民の移動。
そういうものが積み重なって、
今の地図がある。
だから、地図を見ていて
「なんでここだけ点線なんだろう」
と思ったら、そこにはだいたい長い話があります。
点線には歴史がある。
白っぽく見える場所には、
塗り切れない事情がある。
名前だけ国っぽい地域には、
制度の事情がある。
これが、未承認や係争の地図の
面白さだと思います。
雑記としての着地点
今回も、調べれば調べるほど話が広がりました。
台湾から始めると、
中国との関係と国際承認の話になる。
西サハラから始めると、
植民地支配と民族自決の話になる。
コソボから始めると、
ユーゴスラビア解体と承認外交の話になる。
パレスチナから始めると、
国家承認、占領、領土、宗教、戦争の話になる。
プエルトリコから始めると、
アメリカ領と自治とスポーツ代表の話になる。
香港やマカオから始めると、
一国二制度の話になる。
グリーンランドから始めると、
自治と独立の可能性と北極圏の話になる。
クルディスタンから始めると、
国境をまたぐ民族の話になる。
チェチェンやサハ共和国から始めると、
連邦国家の中の共和国という話になる。
北方領土から始めると、
日本とロシアの領土問題になる。
キリがない。
本当にキリがないです。
でも、今回ひとつだけ持ち帰るなら、
「国かどうか」だけで見ない
ということです。
その場所を誰が実効支配しているのか。
誰が領有を主張しているのか。
どれくらい承認されているのか。
住民はどの制度で暮らしているのか。
自治はあるのか。
歴史地名なのか。
スポーツではどう扱われているのか。
このあたりを分けて見る。
そうすると、
地図の線が少し違って見えてきます。
世界地図は、
ただの暗記帳ではない。
国名を覚えるためのものでもない。
そこには、
まだ決着していない歴史がある。
認める人と認めない人がいる。
暮らしている人がいる。
そして、塗り方ひとつで政治がにじむ。
白や点線の場所ほど、
世界が迷っているように見える。
そんな感じがしました。
調べてみてよかった切り口
最後に、今回のメモとして
使えそうな見方を置いておきます。
ひとつ目。
地図を見るときは、
「国か国じゃないか」の二択にしない。
独立国。
国際承認が限定的な事実上の国家。
承認が割れている国家。
係争地。
非自治地域。
自治領。
特別行政区。
海外領土。
歴史地名。
領土問題。
このあたりを分けるだけで、
かなり整理しやすくなります。
ふたつ目。
実効支配と国際承認は別もの。
実際に統治していることと、
世界から国家として認められていることは
一致しない場合があります。
台湾、コソボ、パレスチナ、
西サハラあたりを見ると、
このズレがよくわかります。
みっつ目。
国名っぽい名前に引っ張られない。
チェチェン共和国やサハ共和国のように、
共和国とついていても独立国とは限りません。
クルディスタンのように、
地図上の国名ではなく、
民族や地域の名前として使われるものもあります。
よっつ目。
現在の政治地図と、歴史の地図を混ぜない。
満洲国は、
現在の未承認国家ではなく、
歴史上の国家です。
樺太も、現在の独立国家ではなく、
歴史的な地名として出てくることが多い。
今ある話なのか、
過去の話なのかを分けるだけで、
かなり混乱が減ります。
いつつ目。
スポーツの代表単位と政治上の国家単位は違う。
プエルトリコのように、
独立国ではないけれど
代表として出る地域があります。
スポーツを見ると、
政治地図とは違う帰属意識の地図が見えます。
むっつ目。
地図の白い場所や点線を飛ばさない。
そこにはたいてい、
未解決の歴史や政治があります。
地図で目立たない場所ほど、
調べてみると重い話が入っている。
また変な方向へ散歩したくなったら、
続きを書きます。
次は、北センチネル島やダリエン地峡みたいな
「地図にあるのに近づきにくい場所」
だけで一本書けそうな気もしています。
あるいは、
プエルトリコ、グリーンランド、
香港、マカオみたいな
「国ではないけど主語がある地域」
だけでまとめても面白そうです。
この記事を書いたことで、
普段は出会えない読者の目に止まっていたら、
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