インディゲーム作家はリリース直後をどう過ごすか
2026/1/8にDungeon Antiqua 2(ダンティカ2)というPC用ゲームをSteamで発売しました。
スーファミ風なハクスラRPGです。
この記事では「リリース直後の1週間くらい、開発者は何をしているのか」を記したものです。
何本売れた!とか、どういう成功/失敗があった!というのはよく見るのですが、他の作家さんのそういう話をまとまって聞いたことがないなぁと思いましたので。(自分が見つけてないだけの可能性も大。)
ちなみに自分はたかだかこれまで2作をSteamで販売しただけの実績なので、これが他の方にとってもベストプラクティスなどと言うつもりは全然ないです。
これから初めてリリースする方や、他の人はどうしているのかなと思った方の参考になれば嬉しいです。
前提:時間が限られている
1つ前提を書いておくと、自分は専業作家ではなく、リモートワークでWebエンジニアとしてフリーランス的に働いています。
平日リアル出社の会社員とかではないので、それに比べればかなり柔軟に行動できますが、それでもフォローに突っ込める時間には限りがあるので、ある程度の取捨選択が必要になってきます。
1)エゴサする
想像に難くないと思いますが、基本はエゴサです。
僕の場合はXが主な活動の場なので、サーチ対象は主にXで、noteや個人ブログで言及いただけることもあるのでWeb検索もちょくちょくやります。
エゴサの目的としては「俺のゲーム楽しんでもらえてるぜ!ひゃっほう!」とか、熱心に遊んでくれている人にお礼(せめていいね)したい、とかもあるんですが、最大の目的はバグおよびクレームを発見することです。
知り合いの方とか親切な方だとDMで連絡をいただけることもあるのですが(誇張ではなくこれは神、本当にありがたい)、なんやねんこれ、みたいなトーンでポストいただいているケースもよくあり、これもまた貴重な情報源になります。
2)Steamのコミュニティをのぞく
Steamライトユーザーの方だと知らなかったり日頃まったく意識しなかったりもするかもしれませんが、Steamでストアページを作るとコミュニティのページが自動で開設されます。
Dungeon Antiqua 2だとこれになります。
Dungeon Antiqua 2は日本語と英語だけ対応しているのですが、自分はXで都度英語でもポストするほど丁寧に運用していなかったり、そもそものXの利用割合も違ったりするのか、英語圏の方がこのコミュニティをよく利用してくださっている印象です。
(実際、前述のリンク先のスレッドも8割くらいが英語圏の方によるものです。)
コミュニティは公式の連絡手段であることもあり、Xより直接的に「要望」を挙げていただくことも多いので、自分は発売後数日の間は1日2回、以降も1日1回はチェックするようにしていました。
3)問い合わせに対応する
1, 2と実質同じですが、自分の場合は自社(実質一人なのですが建前上合同会社名義なので)としての問い合わせフォーム経由で「バグです」とか「これバグですか?仕様ですか?」みたいな問い合わせをいただくことがあるので、これも当然ケア対象です。
たぶん公式ホームページの最下部の問い合わせアイコンから来ていただいているのかと思いますが、海外の方は前述のように2のコミュニティに書いてくださる方が多いので、日本人の方でXをやっていない方が連絡先に困ってここから来てくださるようでした。
そう考えると、多くの開発者さんがやっているように不具合報告が気軽にできるDiscordコミュニティを設けたり、「不具合連絡はSteam内の掲示板から!」と目立つように書くとかするべきでしたね・・と今さら気づく。

4)Steamのレビューをチェックする
これも当然ですが、書いていただいたレビューもチェックします。
私としては「レビューはプレイヤーの方がこれから遊ぶかどうか判断するためのもの」という受け取り方をしていることもあり、チェックの優先度は1や2に比べて少し下げていますが、特に不評レビューは直接的にクレームポイントが書かれていることが多いので冷静に読むべきですね。
そもそものコンセプトが〜、とか、プレイ感が〜、のような、根本的な対応が難しいものは意見として心に留めておく程度で、修正が効くものは対応します。
(未プレイの方はここは読み飛ばしてください)
本作で一番大きかったのは、ゲームのシナリオが途中で分岐するのですが、その分岐が非常に気づきにくい上で、通常ルートで進めるとクリア後コンテンツの一部が解放されない&アイテムコンプもできない初期仕様になっていた点でした。
これは「基本的に気づかなくてよい、ごく一部の人が偶然気づけば良い」という私のエゴによる仕様だったのですが、別ルートに気づく人が現れる始めると情報がすぐに広がり、「気づきにくい上に、クリア後に気づいても時すでに遅しで2週目を強要するデザインになっている」とかなり不評でした。
そのため1/15のアップデートで「シナリオ分岐自体は残すが、クリア後コンテンツには平等にアクセスできるようにする」という対策を実施しました。
レビューに対する返信は不用意にしないほうがいい、という説をちらほら聞くので、直接の返信は1や2と違ってあまりしないようにしていますが、たとえば「xxの点が不満だ」とレビューで言及されていた場合で、そのxxをその後のアップデートで修正したときにはコメントを入れています。
これはレビューしてくださった方に「頼む、評価を考え直してくれ!」と訴える目的ではなくて、その不評レビューを見て「これは嫌だな、買うのやーめた」と思う人も出てくると思うので、現在のゲームの状況を正確に把握してもらうことが目的です。
僕自身も好評率90%〜くらいのゲームだと「基本的に評判よさげだけど、嫌なひとは何が嫌なのかな」と思って数少ない不評のほう(特に「参考になった」が多いもの)を見に行くので、けっこう影響大きいのでは、と思っていいますがどうなんでしょう。
5)バグレポートを見る
以上である程度バグや致命的なクレームの要因は検知できるのですが、あとは感情論抜きにした情報源として、ゲーム内にバグレポートを自動アップする仕組みを設けました。
仕組みは単純で、プログラム実行中に例外が発生したら(本作はPyxel=Pythonでコードを書けるゲームエンジンで作成しているので、tracebackという標準モジュールを使っています)、クラウド(Firebaseを使っています)に例外情報を自動でアップするというものです。
ゲーム自体はそのまま落ちてしまいますが、ソースコードのどこで落ちた、という情報が明確にわかるので、こっそり検知して修正することができます。
ちなみにゲームをリリースする3日前くらいにふとひらめいて突っ込んだ仕組みでした。
実際に見ていると「こんなに落ちてるのか、申し訳ない…」とまずは思うのですが、中には発生要因が面白いものもあって「訓練場(ゲーム内の施設)に入って次のフレーム(1/30秒)にでボタンを押すと落ちるバグ」とか、まあなかなかセルフプレイで気づかないわなぁ…と思うものもありました。
(しかもその方、納得がいかなかったのか素で神速のプレイヤーなのか、何回も同じ操作をトライされていた。)
これは非常に大きくて、前作より早くバグ修正対応ができるようになったんじゃないかなと思っています。
オススメです。
6)可能なら配信を観る
配信ももちろんフィードバックとして極めて有用です。
ただ「リリース直後で時間が限られている」という状況のもとでは、配信を観に行くのは現実的にかなり厳しいものがあります。
Dungeon Antiqua 2では以下のおふたりのYoutuber様に前作に引き続きPR案件配信をご依頼したので、そちらにはもちろんお邪魔させていただきましたが、以外は「以前からの知り合いの配信者さんを中心に、隙間時間があるときなどにチラッと」程度しか拝見できていないのが現実です。
心寧はなさん(コンセプトが妖精の方なので本シリーズにぴったり?)
みみぴさん(オタクに優しいバニーギャルって本当に存在するんですね)
どちらかというと(配信ではないですが)プレイ動画はリリース前によく観るようにしていまして、イベント出展時に目の前でプレイしている様子、Discordで接続しての1:1プレイ、ベータ版プレイヤーの方から提供いただいた動画 などは新鮮なフィードバックとして大いに参考にさせていただきました。
7)軽率にアップデートしていく
主に1~5で修正すべき点が明らかになっていくので、軽率にアップデートしていきます。
アップデートが原因でバグを起こさないよう気をつけよう!(前作と合わせて通算10敗くらいしている模様)
Dungeon Antiqua 2 アップデートしました⚔️
— frenchbread(ふれんち) (@frenchbread1222) January 15, 2026
先日転生機能を追加したばかりですが、シナリオ分岐によってアイテムコンプができないことがある仕様に不満が多く見られたため、分岐によらず全ての敵と戦えてアイテムコンプも可能となるようにしました
慌ただしくすみませんがよろしくお願いいたします🙏 pic.twitter.com/4x0mXFyIB6
基本的にはプレイヤー不利になるようなアップデートは行わないのが鉄則と思いますが、今作は獲得経験値が2倍になるアイテムが誤って4倍になっていたとか、スキルポイントを大量に落とすレアモンスターと短時間で簡単に遭遇できるようになっていたとかゲームバランスが崩壊しかねいレベルのお恥ずかしいミスも多く、そういうのは恥を忍んでそそくさと修正してしまいました。
こういうやらかしをしても対処が困難な昔のゲームを作っていた人たちは本当に偉大だなと改めて思います。
というわけで、リリースから10日ほど経ってようやくnoteを書くくらいには落ち着きました。
そして新年度初のnote記事でした。
ダンティカ2も無事リリースできたので少しだけ記事アップのペースも上げられればいいな、と思います!
