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兼業・副業の労務管理とは?労働時間通算や就業規則の対応方法


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「国が副業を推進しているけれど、会社としてはどうやって労務管理をすればいいのだろう……」

「労働時間の通算や残業代の計算が複雑すぎて、どこから手をつければいいのか分からない……」

企業の経営者様や人事・労務担当者様の中で、今そんな風に頭を悩ませていませんか?

かつて手取り18万円の事務職として働いていた私ですが、ある日突然、会社が「働き方改革の一環として副業を解禁します」と発表したときのことを今でも鮮明に覚えています。

当時は「わあ、嬉しい!」と純粋に喜びましたが、その裏で人事担当者さんたちが「就業規則はどう変えればいい?」「もし他社で働きすぎて倒れたら労災はどうなるの?」と、毎日のように頭を抱えて激論を交わしていたのを知ったのは、ずっと後になってからのことでした。

現在は副業アドバイザーとして多くの企業様や個人の方の相談に乗る中で、当時の人事担当者さんたちが抱えていた不安がどれほど深く、そして責任重大なものだったのかが本当によく分かります。

法律のルールは複雑で、一歩間違えれば企業としての労務リスクにつながってしまうからこそ、慎重になるのは当然のことですよね。

でも、安心してください。

厚生労働省のガイドラインを正しく読み解き、必要な就業規則の改定や申請の仕組みをしっかりと整えれば、会社のリスクを最小限に抑えつつ、従業員が安心して能力を発揮できる環境を作ることができます。

この記事では、専門用語が多くて難しく感じてしまう「兼業・副業の労務管理」について、労働時間の通算ルールや就業規則の変更ポイント、さらには労災や社会保険の注意点まで、分かりやすく丁寧にひも解いていきます。

会社と従業員の双方が笑顔になれる安心の制度作りに向けて、客観的で信頼できる情報をお届けしますね。

まずは肩の力を抜いて、実務のヒントとしてゆっくり読み進めてみてください。

従業員の副業を上手に管理しつつ、社内全体の生産性や個人のスキルを高めていくためには、
現代の多様なビジネスモデルのリアルな実態をあらかじめ把握しておくことが非常に有効です。
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兼業・副業の労務管理が必要とされる背景と現在のトレンド



そもそも、なぜ今これほどまでに「兼業・副業の労務管理」が企業にとって重要なテーマになっているのでしょうか。

それは、厚生労働省が策定した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定を重ね、企業に対して「副業を原則容認する方向で就業規則を整備すること」や「副業に関する情報開示」を強く求めるようになったからです。

かつての日本では「副業は原則禁止」が当たり前で、就業規則のモデルケースにもそう書かれていました。

しかし現在では、労働者がオープンに、かつ安全に副業を行えるように環境を整えることが、企業の社会的責任(コンプライアンス)としても重視されています。

企業が適切な労務管理を行わずに、従業員の副業を「見ないふり」をして放置してしまうと、過重労働による健康障害や、思わぬ残業代の支払いトラブル、情報漏洩といった大きなリスクを背負うことになりかねません。

逆に、ルールを明確にして正しく管理ができれば、従業員は社外で新しいスキルや視野を獲得し、それを本業に還元してくれるという大きなメリットも生まれます。

私が見てきた中でも、副業を上手に仕組み化できている企業様は、従業員との信頼関係がとても深く、離職率が低いという共通点があります。

まずは「リスクを恐れて一律で禁止にする」のではなく、「正しいルールで管理して、お互いの安心を守る」という視点を持つことから始めてみましょう。


人事担当者を悩ませる「労働時間通算」と「割増賃金」の仕組み



副業の労務管理において、人事の皆様が最も「難しい」と感じるのが、労働時間の通算と割増賃金(残業代)の計算ではないでしょうか。

ここを曖昧にしておくと、思わぬところで労働基準法違反を指摘されてしまう可能性がありますので、ポイントを分かりやすく整理しておきますね。

労働時間通算の原則(労働基準法第38条)

日本の労働基準法では、「事業主を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定められています。

つまり、自社での勤務時間と、他社(副業先)での勤務時間をすべて足し算して管理しなければならない、というのが大原則です。

例えば、自社で1日7時間働いた従業員が、その日の夜に副業先で2時間働いた場合、合計の労働時間は9時間となります。

法定労働時間は「1日8時間」ですから、超えてしまった1時間分は「時間外労働(残業)」として扱われることになるのです。

割増賃金(残業代)はどちらの企業が支払う?

では、その発生した残業代は、本業の会社と副業先の会社のどちらが支払うべきなのでしょうか。

厚生労働省の通達によると、原則として「後から労働契約を締結した会社」が割増賃金を支払う義務を負うことになっています。

一般的には本業の会社が先に契約を結んでいることが多いですから、従業員が後から契約した「副業先の会社」が割増賃金を支払うのが基本です。

ただし、「自社での所定労働時間」と「副業先での所定労働時間」をあらかじめ合計した時点で、すでに1日8時間または週40時間を超えているような場合は、本業の会社側も残業代の支払い義務や時間の調整が必要になるケースがあり、実務は非常に複雑になります。

負担を軽減する「管理モデル」の活用

このように毎日の労働時間を厳密に会社間で集計するのは、現実的にはとても大変ですよね。

そこで厚生労働省は、実務の負担を減らすための「簡便的な管理モデル」を提示しています。

これは、あらかじめ自社での労働時間と副業先での労働時間の上限を設定しておき(例:自社は週40時間まで、副業先は週計時間に余裕を持たせるなど)、その範囲内であれば、個別の労働時間の通算管理を免除し、割増賃金の支払い義務の所在をシンプルにする仕組みです。

実務の手間を減らすためにも、こうした国の制度やモデルを上手にとり入れていくのが賢いアプローチと言えます。

なお、これらの労働時間通算のルールは、従業員が他社に「雇用される場合(パート・アルバイトなど)」に適用されます。

従業員が「個人事業主」としてブログを運営したり、業務委託で動いたりする場合は、原則として労働時間の通算対象外となるため、企業側の管理負担は大幅に軽減されます。

労働時間管理のいらない『雇用されない副業』には、具体的にどのような種類や実態があるのでしょうか?
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トラブルを防ぐ就業規則(副業規程)の改定と申請書の設計


会社を守り、かつ従業員に安心して働いてもらうための具体的なステップとして、就業規則(副業規程)の改定と、しっかりとした「申請書」の作成を進めていきましょう。

ここをしっかりと設計しておくことが、のちのトラブルを未然に防ぐ最強の盾になります。

就業規則・副業規程の変更ポイント

従来の就業規則にある「許可なく他の会社の業務に従事しないこと」という文言のままでは、現在のガイドラインの趣旨に沿わない場合があります。

そのため、以下のような内容を含んだ独立した「副業・兼業規程」を新設することをお勧めします。

  • 副業・兼業は、原則として事前の届出(または許可)によって認めること

  • 会社が副業を禁止、または制限できる具体的な4つの条件(本業への支障、秘密漏洩、競業避止、信用失墜)を明記すること

  • 副業の状況(労働時間や健康状態)について、会社から定期的な報告を求めることができる規定を入れること

条件を明確にしておくことで、万が一「本業中に居眠りが増えた」「ライバル企業を手伝っている形跡がある」といった問題が発生した際に、会社として正当に注意・指導や差し止めができるようになります。

兼業・副業申請書に必要な項目

従業員から出してもらう「申請書」には、労務管理に必要な情報をしっかりと盛り込みましょう。

具体的には、以下の項目を網羅したフォーマットを用意します。

| 申請書に必要な主な項目 | なぜ必要なのか?(企業側の目的) |

| 副業先の名称と業務内容 | 同業他社(競業)への該当性や、会社の信用を損なう仕事でないかを確認するため。 |
| 契約の形態(雇用か業務委託か) | 労働時間の通算管理が必要な対象(雇用契約)であるかどうかを判断するため。 |
| 副業を行う予定日時・時間数 | 本業の時間帯と重複していないか、また過重労働(過度の長時間)にならないかを確認するため。 |
| 健康状態の自己申告チェック | 従業員の体調に問題がないか、あらかじめ本人の自覚を確認しておくため。 |

これらを事前に書類として提出してもらい、人事や上司が面談などで「本業は大丈夫そう?」と優しくコミュニケーションを取ることで、隠れて無理な副業をしてしまうリスクを大幅に減らすことができますよ。


36協定・労災・社会保険における注意点

【挿絵|下のプロンプトで生成し、生成後はこの枠を画像に差し替え】
次の画像を生成してください:大きな傘が複数の人を優しく雨から守っているイラスト。包括的な保護とセーフティネットのイメージ。画風:優しく温かみのあるタッチの水彩画風イラスト。パステルカラーを基調とした色調。画像内に文字は入れない。

実務において、人事担当者様が「これってどうなるの?」と迷いやすい3つの法律上の注意点(36協定・労災・社会保険)について解説します。

36協定と時間外労働の上限

他社に雇用される形で副業をする場合、通算した労働時間が法定労働時間を超える部分については、自社の36協定(時間外・休日労働に関する協定)の延長時間の範囲内である必要があります。

特に、法律で定められた「時間外労働の絶対的な上限(単月100時間未満、複数月平均80時間以内など)」のカウントには、他社で通算された労働時間も含まれるため、従業員が副業先で何時間残業しているかを把握しておくことが極めて重要になります。

労災保険の適用(複数事業労働者への対応)

万が一、従業員が副業に関連して怪我をしたり体調を崩したりした場合の労災(労働災害)についてです。

以前は「本業の会社だけの労働負荷」で労災が認定されるかどうかが判断されていましたが、法改正により、現在は「複数の会社での労働負荷(労働時間やストレスなど)を合算して」労災認定の判断が行われるようになりました(複数事業労働者災害補償保険制度)。

また、本業のオフィスから副業先の職場へと移動する途中の事故についても、「就業地間移動」として通勤災害の補償対象となっています。

国全体のセーフティネットが広がったことで、企業単体で過度に労災のリスクを背負い込む心配は少なくなりましたが、やはり日頃からの健康状態の把握は欠かせません。

社会保険(健康保険・厚生年金)の加入条件

社会保険の加入義務は、基本的には「それぞれの会社ごと」に判定します。

自社での週の所定労働時間や月の賃金が加入要件を満たしていれば自社で加入し、副業先でも加入要件を満たしていれば副業先でも加入することになります。

もし両方の会社で加入要件を満たした場合は、従業員自身が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出し、両方の会社の給与を合算した額をベースに保険料が計算され、それぞれの会社で按分して支払う手続きが必要になります。


兼業・副業の労務管理に関するよくあるQ&A



企業の人事労務の現場で、実際によく挙がる疑問をQ&A形式でまとめました。

Q1. 従業員が勝手に(無断で)副業をしていた場合、ペナルティを科すことはできますか?

就業規則で「事前の届出や許可が必要」と定めているにもかかわらず、無断で副業を行っていた場合は、就業規則違反として注意や訓戒などの処分を検討することは可能です。

ただし、過去の裁判例では「実質的に本業に支障が出ていない場合」や「会社に損害を与えていない場合」は、解雇などの重い処分は無効とされるケースがほとんどです。

感情的に咎めるのではなく、まずは「なぜ無断で行ったのか」をヒアリングし、健康面や業務への影響がないかを確認した上で、正規の手続きを踏むよう優しく促すのが実務上は最もスムーズです。

Q2. 副業先での労働時間を正確に把握する良い方法はありますか?

従業員からの「自己申告」をベースにするのが現実的かつ一般的です。

申請時や、月に1回などの定期報告の際に、他社での勤務シフト表やタイムカードの写し、あるいは本人のサインを入れた労働時間報告書を提出してもらう仕組みを作ると良いでしょう。

ガイドラインでも、労働者本人が正確に報告を行う義務があることが示されていますので、会社だけで抱え込まず、従業員にも協力を求める体制を作ることが大切です。

Q3. 「副業を全面禁止」にし続けることは、法律上問題がありますか?

現在の法律(労働基準法など)において、「副業を禁止している企業に対して直接的な罰則を科す」という規定はありません。

そのため、企業の判断で全面禁止を維持すること自体が即座に違法になるわけではありません。

しかし、厚生労働省のガイドラインは「原則容認」を強く求めており、裁判例でも「就業時間外は個人の自由」という判断が定着しています。

合理的な理由(安全や機密保持など)がないまま一律で全面禁止をし続けることは、優秀な人材の獲得競争(採用)や従業員のモチベーション低下という観点から、企業にとって長期的なデメリットになるリスクが高いと言えます。


まとめ:従業員も会社も安心できる環境づくりを目指して



ここまで、企業の皆様に向けて「兼業・副業の労務管理」の具体的なポイントや法律のルールについて解説してきました。

労働時間の通算や割増賃金、就業規則の改定など、やらなければいけない実務の手続きが多くて、最初は少し気が重くなってしまうかもしれません。

しかし、これらの仕組みをひとつずつ丁寧に整えることは、従業員の健康と安心を守るだけでなく、結果として会社を思わぬ法的なトラブルから守るための最大の防衛策になります。

かつて事務職をしていた私が、会社の副業解禁によって自分の未来に希望を持てたように、あなたが整えるその制度は、きっと多くの従業員の方々にとって「この会社で安心して働き続けたい」と思える大きな光になるはずです。

焦る必要はありません。まずは自社の現在の就業規則を見直すところから、一歩ずつ進めていきましょう。

会社と従業員の双方が信頼で結ばれ、共に成長していける素晴らしい環境が整うことを、心から応援しています。

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情報ソース一覧

本記事は、厚生労働省が公表している以下の公的な指針および解説資料に基づき、中立かつ客観的な事実に基づいて作成されています。より詳細な実務の文面や最新の通達内容については、以下の実在する公式情報源をご確認ください。



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