カッコウの鳴く季節――カッコウは小鳥か?
私は、カッコウの声が好きである。
唱歌「静かな湖畔」
緑の湖畔の森の陰から
もう起きちゃいかがと、カッコウが啼く
カッコウ、カッコウ――
あの歌の通り、カッコウは静かな森の奥から呼びかけるように鳴く。
皐月の空。
萌え始めた緑の梢。
微かな風に乗って届くその声には、どこか少し孤独な響きがある。
私は、あの声を聞くと、いつも北アルプスの麓の初夏を思い出す。
そして、なぜか同時に、一つの小さな記憶が蘇る。
小学一年だったか、二年だったか。
理科のテスト問題である。
「カッコウは小鳥である。○か×か」
そんな問いだった。
考えた。
スズメ、シジュウカラ、ツバメ、
そして当時人気のあったカナリア。
それらはいかにも“小鳥”である。
では、鳩は?
カッコウは?
カッコウは鳩ほどではないにしても、そこそこ大きい。
しかも、あの少し物悲しい声。
どうも、小鳥という感じがしない。
子ども心に考えた末、私は**「×」**をつけた。
採点は、バツだった。
つまり正解は、「○」。
しかし――
私は腑に落ちない、説明が欲しかったのだと思う。
その違和感だけが、妙に長く残った。
後になって調べてみると、「小鳥」という言葉には、思ったほど明確な定義がないらしい。
一般には体の小さな鳥を指すが、厳密な線引きは曖昧である。
そう知るとなお、カッコウは小鳥と中型のはざまに位置しているようである。
そういえば、当時の小学校には今のような中間テストや期末テストはなかった気がする。
その代わり、定期的に印刷されたテストが配られていた。
先生のガリ版ズリの小テストではなかった。
最近になって思う。
教科書会社か教材会社の既製のテストだったのかもしれない。
子どもに○×で答えさせるには、少々微妙な問題だったのでは、
――などと、今更ながらに思うのである。
この季節になると、森のどこかでカッコウが鳴いている。
そして私は、あの時の小さな「×」を、ふと思い出す。
一般には体の小さな鳥を指すが、
「小鳥」という言葉に厳密な線引きはないらしい
そう知ってなお思う。
カッコウは、いかにも“小鳥”というには少し大きく、かといって鳩ほどでもない。
どこか、そのはざまにいる鳥のように思えるのである。
子どもに○×で答えさせるには、少々微妙な問題だったのでは、
などと、自分を笑う。
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📚 シリーズ「北アルプスの麓の子ども時代」
👉 https://note.com/fresh_hippo3165/m/ma84f9a039b36
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第1話|ヨーイト線ナメクジ号
https://note.com/fresh_hippo3165/n/n5a0ff6135961
第2話|四月なのに ― 入学式の雪 ―
https://note.com/fresh_hippo3165/n/nc1a51707e6b4
第3話|水色のリボン
https://note.com/fresh_hippo3165/n/n117bb195791e
第4話|早春譜から
https://note.com/fresh_hippo3165/n/nd699711d5b8b
第5話|北帰行の記憶
https://note.com/fresh_hippo3165/n/nca02c3c05a90
第6話|カッコウの鳴く季節――カッコウは小鳥か? (▶︎いまここ)
https://note.com/fresh_hippo3165/n/n78047bf26cfe
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