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【コラボ企画桜城市】短編小説・『桜城市をさまよう男その2』

どうも俺はついていないようだ。

黄色いアヒルとホイップたこ焼きの話を聞いて、片っ端からたこ焼き屋を当たったが、ホイップたこ焼きを口にするだけで店主からはバカにしとるんかっ!と罵声を浴びせられたり、呆れられたり、終いには気の毒がられたり…
今朝も熱々たこ焼きを食べて、口のなかをやけどしてしまった…
しかも、もう普通のたこ焼きには飽きてしまった。
ホイップたこ焼き食べてみたいかも…。

とぼとぼと歩いているとまだ午前中だと言うのに占いの館の看板が出ている。

こんなところに占い…
仕事の合間を縫って黄色いアヒル探しを続けているが、休みの日数ももう残ってない。
ここはいっそ神頼みか…
俺は思い切って占いの館の扉を開けた。

明るい外からきたから、館の中は少し薄暗く感じたが、目が慣れると想像していたよりも明るくて清潔感もある。わずかだか甘く優しい香りが漂っている。これはお香だろうか…。
奥からいらっしゃいませの声とともに、いかにもそれらしい衣装を纏った女性占い師が出迎えてくれた。

「お客様、こちらは初めて?
探し物は見つかった…かしら?」

そう言うと女性占い師は、にっこりと笑顔を作った。

「本日は占いの館へようこそ。私はこちらの女主人、万間知恵(まんまともえ)と申します。
早速ですが、お客様、今日は何をみましょうかしら?」

「実は黄色い、黄色いアヒルを探していて…なかなか見つけられなくて、もう休みも無いし、占いで見つけてもらえませんかっ!」

「まぁまぁ、黄色いアヒルを…。わたくしもこの辺、長いですが、黄色いアヒルは会ったことございませんねぇ…。
まぁ、そんなに肩を落としにならないで、今見てみましょう。」

そう言うと、知恵は一旦裏へと消え、しばらくしてハーブティーと水晶玉を手に戻ってきた。

「さぁ、リラックス効果のあるレモングラスとカモミールのハーブティーです。どうぞ。」

俺は勧められるがままハーブティーを一口飲んだ。
ああ、あの香りはこれだったんだな。
温かい飲み物で腹が落ち着く。鼻に抜ける香りで頭もすっきりしてきたようだ。

「では、集中して水晶玉を見て…頭の中で黄色いアヒルを思い浮かべて…」

知恵は、水晶玉の周りをひと撫ですると、呼吸を整え、タロットカードを混ぜはじめた。そして1枚ずつ並べていく。
俺にはカードの意味なんててんでわからないが、知恵はふんふん、あぁあぁ、とかいいながらカードを読み解いているようだった。

「それで…」

「ふんふん…大丈夫よ。アヒルは近くにいるそうよ。頑張らなくてもそのうち会えるわ。
あなたには今は少し休息が必要なようね。
家宝は寝て待て、ゆっくりとした気持ちが吉兆をもたらすわ。
あ、あ、でも待って、女性には気をつけて。
和服の女性は特にね。
でも大丈夫、あなたの願いはきっと叶うわ。」

知恵は水晶玉をひと撫でして、にっこりと笑いかけてくれた。
レースのベールに隠されてはいるが、ゆったりとした大きな福耳に、これまた大きなイヤリングが揺れている。
縁起が良さそうで、触りたくなる。

俺はハーブティーをもう一口飲んで、ほーっとため息をついた。
何かしら心の中に明かりが見えたような気がしてきた。

「知恵さん、ありがとう。
少し前向きになれた気がするよ。」

「あら、ゆっくりしていっていいのよ。」

俺は残りのハーブティーを流し込むと、席を立った。

「ハーブティー、ごちそうさま。おいしかった。アヒルに会えたら、また報告にきます。」


知恵の横顔とあの揺れる福耳に少し後ろ髪引かれながら、俺は占いの館を後にした。

桜の花びらが風に乗ってフワフワと流れていく。こんな晴れた日は川沿いを歩くのもいいかもしれないな。
俺の足取りは知らずと軽くなっていた。


つづく

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今回は、ともえさんのオリジナルキャラクター
万間知恵(まんまともえ) さん
にご出演いただきました。ありがとうございました。

この小説は『桜城市構想』のコラボ企画に参加しています。
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