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SNSで減量発信すると継続率が上がる説

〖プロローグ〗

SNSで体重や食事や運動を発信すると、減量は続きやすくなる。

かなりもっともらしく聞こえる説である。

人に見られているほうがサボりにくい。
応援されると頑張れる。
公開すれば逃げにくい。

たしかに、そういう場面はある。

ただ、この説には大きな雑さがある。

続いた人がSNSを使っていただけで、
SNSが継続を生んだとは限らない。

しかもSNSは、記録装置にもなるが、比較装置にもなる。

支えにもなるし、ノイズ源にもなる。

この両面を無視して
「発信すれば続く」と言い切るのは雑である。

〖結論〗

この説は嘘である。

SNSで減量発信すると継続率が上がる、とは言えない。

正確には、
継続しやすくなる人もいるが、崩れやすくなる人もいる
である。

効いているのはSNSそのものではない。

自己監視、記録の可視化、仲間からの支援、行動の言語化。
そうした要素がうまく噛み合った時だけ、補助輪として機能する。

逆に、反応数、比較、見栄、停滞時の羞恥が前に出るなら、
むしろ継続を壊す側に回る

つまり、
SNS発信それ自体が継続率を上げる説は嘘であり、
正しくは「運用次第でプラスにもマイナスにもなる」である。

〖エビデンス〗

行動変容の研究では、食事や運動や体重の自己監視は、体重管理における重要な要素として一貫して示されている。

一方で、オンラインのソーシャルネットワークを使った健康行動介入については、系統的レビューでも効果は一貫していない。
有効だった研究もあるが、全体としては「SNSだから効く」とまでは言えない。

さらに、SNS利用は外見比較や気分低下、身体不満足感と関連することも報告されている。
つまり、SNSは支援資源であると同時に、比較疲れを生む環境でもある

ここから言えるのは単純である。

継続に効いている本体は「公開」ではなく、
自己監視と支援の設計である。

SNSはそれを載せる容器にすぎない。

容器が合えば助かる。
合わなければ壊れる。

それだけである。

〖研究から分かること〗

SNSが減量継続に効く場合があるのは事実である。

ただし、それは
記録が残る、
人とのつながりができる、
励ましが返ってくる、
という条件が整った時に限られる。

逆に不安定になるのは、
反応数が自己評価に直結する時、
他人の進捗と比べる時、
停滞や増量を「見られる失敗」と感じる時である。
この方向では、発信は継続の支えではなくプレッシャーになる。

減量は、数日単位では普通に止まる。
むしろブレる。

そこで必要なのは、
停滞を読めること、
ノイズに耐えられること、
続ける仕組みを持つことである。

SNSがそこを肩代わりしてくれるわけではない。

〖なぜこの説が広まったのか〗

公開宣言には、確かに即効性があるからである。

「明日からやります」
「今日はこれ食べました」
「運動してきました」

こうした投稿は、その瞬間の行動を押す力になる。

しかもSNSでは、応援も承認もすぐ返ってくる。

だから、体感としてはかなり効いているように見える。

ただし、それは短期の着火の話である。

長期継続で重要なのは、
反応が少ない日も続けられるか、
数字が止まった日も壊れないか、
投稿しない日でも崩れないかである。

ここを支えているのがSNSだけなら、かなり脆い

発信が止まった瞬間に、行動まで止まるからである。

〖制御ダイエット理論視点〗

制御の観点で見ると、SNSは外部フィードバックである。

使い方によっては役に立つ。

ただし、主制御をそこに置くのは危うい。

なぜなら、SNSの反応は
自分の脂肪量そのものではなく、
他人の気分、タイミング、アルゴリズム、文脈に左右される
ノイズの大きい信号だからである。

そんなものを主制御に使うと、系は不安定になる。

反応が良ければやる。
反応が悪ければ止まる。
増えた日は出しにくい。
停滞すると黙る。

これでは、減量の制御対象が
自分の体ではなく他人の反応にすり替わる。

安定する運用は逆である。

まず自分の観測系を持つ。
体重、食事、行動を自分で追う。
継続の仕組みを内部に作る。

その上で、SNSは補助輪として使う

つまり、

記録の本体は自分。
公開はおまけ。

この順番ならまだ安定する。

〖まとめ〗

SNSで減量発信すると継続率が上がる説は、嘘である。

発信それ自体に魔法の力はない。

継続に効くのは、自己監視、支援、記録の可視化、行動設計である。
SNSはそれを助けることもあるが、比較や承認依存の入口にもなる。

だから、発信は万能薬ではない。

使うなら補助装置として使うべきである。

継続の本体は、
他人の反応ではなく、
自分の観測と仕組みに置く。

そのほうが、長く強い。

〖参考文献〗

Burke LE, Wang J, Sevick MA. Self-monitoring in weight loss: a systematic review of the literature. J Am Diet Assoc. 2011.

Maher CA, Lewis LK, Ferrar K, et al. Are Health Behavior Change Interventions That Use Online Social Networks Effective? A Systematic Review. J Med Internet Res. 2014.

Shiyab W, Falconer CL, Ndzi DL, et al. The Impact of Social Media Interventions on Weight Reduction and Physical Activity Improvement Among Healthy Adults: Systematic Review. J Med Internet Res. 2023.

Fardouly J, Diedrichs PC, Vartanian LR, Halliwell E. Social comparisons on social media: the impact of Facebook on young women’s body image concerns and mood. Body Image. 2015.

Holland G, Tiggemann M. A systematic review of the impact of the use of social networking sites on body image and disordered eating outcomes. Body Image. 2016.

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このシリーズは、
知識を単発で増やすためだけのものではない。

減量を
“思いつき”ではなく”構造”として捉えるために書いている。

気になるところから辿ってもらえたらうれしい。

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