ヨルダン人のフリをして、ヨルダンに入国してみた
あらすじ
ヨルダンにあった素敵な本屋に「ここで働かせてください!」とアタックし、いろんな国のスタッフと本屋に住み込みしていた。(第1話はこちら)
●ヨルダン入国の、ある「気づき」
ヨルダンの空港に着くと、いろいろな国の人が列を作っていた。どうやら、"外国人"は空港の出口で6000円払わないとヨルダンに入国できないらしい。
念のため鏡を見ると私はヨルダン人ではなさそうだったため、一応並ぶことに。

やっと私の番になり、スタッフの質問を受けた。
「国籍は?」
「日本人です。フウと申します」
「・・・・・。行きな」
「はにゃ?」
まさか!?
ネットで噂には聞いていたが、日本はヨルダンに多大な援助をしているため、日本人という理由だけで入国費用が免除される規則があるようだ。
「え?私、なんのためにこの大行列に並んでたんだ…」と早速絶望し、もはや6000円払った方が報われる気持ちさえしたが、彼の気が変わらぬ内ににっこりスマイルでその場を去る。
●タクシーで、空港から本屋へ
旅をするとき、海外でタクシーに乗ると、運転手と他愛も無い会話をすることが多いと思う。「どこから来たの?」「旅行かい?」とか。しかしヨルダンは違った。

「きみ・・・めっちゃ疲れてるよ!?顔!」と言われてしまったのだ。
そりゃ昨日まで散々バイトして今なぜかヨルダンなのだから、たぶんそうなのであろう。
「とにかく着いたらまず、寝なさい。いいね。」
「承知致しました。」
(バイトの話はこちら)
●30分で本屋に到着

しばらくタクシーに乗っていると…本屋が見えた!もう、すごい勢いでタクシーから飛び降りる。「雨だから向こうの道から回って行きな〜!」と運転手が後ろから叫んでくれたのが聞こえたけれど、一刻も早く行きたくて、一ヶ月分の大荷物を抱えたまま、ぬかるんだ直線を駆け抜けた。
いよいよ夢にまで見た門をくぐる。店のドアに入ると。。。
パアアアア。
それはもう、夢が叶ったときの感情だった。言葉なんかでは表せない、ほんとうに、、あの本屋にいる!!眠気など吹き飛んだ。
一生寝たくないぐらい幸せである。

本屋に着くと、あのヒゲモジャの店長が出迎えてくれた。ハグしようとしたけど、「あれっ?イスラムの国って、男女ハグしていいのかな」とためらってやめてしまった。
店長は「長旅本当にお疲れさま。今日は何もしなくていいからね」とニッコリ言ってくれた。はは〜んなるほど。「今日以外は仕事してね」ということですね?
●「レッツゴー」は日本語で何か

「よし、次は併設カフェを案内するよ。ところでフウ、『レッツゴー』は日本語で、なに?」
なんと・・・入国早々、いきなりの試練である。なぜなら店長の性格をまだ知らないまま、言葉遣いごと訳すのは至難の技なのだ。「行きましょう」か。「行こうよ」なのか…。
しかしきっと彼は、”我が道を行くオレオレ系”だと咄嗟に判断し、「行くぞ!」を伝授した。「フムフム。『い〜ぐぞ〜』ね。あってる?」「うん、あってあってる!」
●「カフェにいぐぞ」
店長の「OK!フウ!い〜ぐぞ!」の号令で併設カフェへ。イラク人のバリスタが淹れてくれた美味しいラテを頂きながら、岩のゴツゴツした魅惑のカフェのソファーに腰掛け、店長と色々話した。私の人生とか、この本屋のこととか。

話していて興味深かったのだが、アラビア語で「本屋」を表す言葉には「文房具屋」という意味もあるらしい。そしてこの町の「本屋」と呼ばれる店にはすべて文房具しか売っておらず、それに疑問を抱いた店長が、文字通り「本を売る本屋」をこの町で初めてオープンしたとのことだ。なんともシビレるエピソードである。
「うちの店には日本語の本も何冊かあった気がするな〜。そういえば日本語は昔、縦書きだったよね?どうして現代は横書きになったの?」あれっ。私、大学で日本語を専攻してたはずなのにな。なんだっけ。。「西洋化、みたいな?」と、それっぽいことを言ってニッコリしておいた。
●フラフラの自己紹介
次に、本屋のいろいろな人に自己紹介した。しかし困ったことに、スタッフには制服も名札も無いため、誰が客で、誰がスタッフなのかよく分からない。
さらに、「頭フラフラ・心ウキウキ」というカオスなコンディション in ヨルダン(さっき着いた)という、さすがの私でも意味不明なこの状況で、「私はアリスです、よろしく」「俺はガイス。ちなみに彼はカイス」と口々に言われても、誰が誰なんだかさっぱり覚えられなかった。
私はもう、「いい人が...沢山なのね...」という情報で、ついに頭がエラーになってしまった。
運転手さん、私、寝ます・・・。

●初回の従業員ミーティング
店長による本屋のツアーと、挨拶回りがひと通り終わった夜。「さて、新メンバーも来たことだし、今晩ミーティングをやろうか」となった。それまで少しだけ、部屋で一休みすることに。
・・・しかし私はジャパニーズガール。
アラブの魔力にあらがえず、朝まで爆睡してしまった。
ああ、初会議を寝過ごすなんて、何たる失態か。。自分という人間に絶望した。「私はこれからこの店で、どんな顔して過ごせばいいんだ。。」翌朝、そんな面持ちで本屋に顔を出す。お、はようございます、、。
キッチンにいたスタッフに「あの〜…昨日はごめんなさい!ミーティングでどんなこと話した…?」恐る恐る聞いたところ、「あ〜!フウ寝てたし、延期になったよ。『あの子も疲れてるだろうし明日にしようか』って!」とのこと。
そうしてどこかにフラフラ行ってしまった。

あれ、あれれ。
罪悪感いっぱいで出勤してすぐに謝って回ったもの、誰も全く気にしていないのか、『ごめんね』と真剣に伝えてもなんだか話が全然噛み合わない。のれんに腕押しとは、ヨルダンのことわざだったことをここに記す。それにしても私のこの胸いっぱいの罪悪感は、どのように処理すればいいのかしら?
なるほど…。これが未知の国・ヨルダンか。
冒険はまだ、始まったばかり・・・。
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●次回:同じ歳スタッフと、運命の出会い
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