【11】骨のお守りは誰のために
「まあまあ、落ち着いてください。それで、なぜ彼らがあなたに嫌がらせをするんですか?」
「高校の時のことを引きずって、仲違いをしたんじゃないでしょうか。ユウの彼女となってから彼らに疎まれていましたから」
なるほどと年嵩の警察官が頷くと同時に応援に来た警察官が現場入りする。
ナナが話しているのを横目にコウは店を連れ出された。暴れることなくパトカーに乗る。何が起こったのかわからない。ただただ言われるがまま、連れられるがままに動いた。
「名前は?」
「島内、康」
「歳は? 会社はどこ?」
コウは首を横に振った。
「大学院生です。二十六歳」
一緒にパトカーに乗った警察官が形式的な質問をしていく。
途中、窓が叩かれた。パトカーを下りた警察官は少し話をして扉を開ける。
「一緒に来てくれるか?」
お店に戻ったコウは防犯カメラの映像を見せられた。そこには確かに自分の姿があり、ケンを何度もところが映っていた。
悪夢のユウが乗り移ったかのようだ。刺されたのは自分じゃないのに身体が痛む。ケンが動かなくなった。なのに何度も何度も包丁を突き立てる。近くにいた警察官も酷いと言葉を漏らした。しかしそれを聞いても、これはケンが受けるべき罰だとコウは思った。自分を恐怖させる者がいなくなった。少しばかり喜んでいる自分がいる。
「あ、…………」
かかっていた靄が晴れるように記憶が鮮明になっていく。
眠る間際ナナが囁いていた。
復讐が終わる。悪夢を見た。復讐が終わる。ユウの元へ送れる。
嗤い声と共に呪いにも似た言葉を聞きたくないとあの時意識を手離したのだった。
ナナが仕組んだことだ。しかし、防犯カメラには自分の姿しかない。後から入ってきたケンも様子がおかしいが、そこにナナの姿はない。
「言い逃れするか?」
コウは唾を飲みこむ。
「弁護士をお願いします」
黙秘を続ける。それがいい。
「わかった」
警察官はパトカーへとコウを戻した。
