ゲイ描写を減らした是非です 映画『ロープ』(1924)疑似ノーカットは場所は?
◼️実際の事件を基にした戯曲『ロープ』の映画化
実際の事件とは『レオポルドとローブ事件』(1924)。
裕福で知能も高い19歳の学生の2人(レオポルドとローブ)か16歳の男子ボビーを〝完全犯罪〟によって殺害した事件。
2人とも同性愛者だった。
また2人ともニーチェの超人思想な信奉者で、自分たちの優位性を示すためだけに完全犯罪を計画実行(結局失敗)したことで、
当時、全く犯罪を犯す理由のないエリートの彼らが何故?と社会に衝撃が走ったそう。
この事件はすぐに小説、映画、戯曲になり、
この1948年のヒッチコックによる映画『ロープ』は1929年の同名戯曲の映画化。
◼️ニーチェの超人思想
ニーチェの超人思想では、
一般人を人間関係の軋轢におびえ、生活の保証、平安、快適、安楽という幸福を求める「畜群」と呼び、それに対して新しいあり方を体現する人類を超人と呼んでいた。
まぁつまりは自分たちはエリート(元の意味は神に選ばれた者)だと考え、それを証明するために完全犯罪を目論んだ、と。
自分の優位性を証明しなきゃいけなかったってのがなんか虚しいですね。
結局、畜群からの評価が必要だったってことですよね。
これに近い差別意識と承認欲求を持った人が現代でもメディアによく出ていますね。
◼️なんでこれを見たかっつーと
『セルロイド・クローゼット』にこの映画が出ていたんですよ。
で、主人公2人が原作の戯曲では明らかに同性愛者であることがわかる描写があるのに、映画ではそれが消されている、と。
ただ俳優の演技などでそれが表現されているだけ、と。
どういう感じなんだろうと思って観たし、調べました。
そもそも実際の事件があって犯人2人がゲイだった。
ハリウッドにはヘイズコードがあって同性愛描写は禁忌だったから
この映画ではゲイ描写が消されていた、というのが『セルロイド・クローゼット』の論調。
でも実際のレオポルドとローブ事件を調べてみても、彼らが同性愛者であることと殺人願望や超人思想とを結びつけて書かれている文章は出てこないんですよ。
なので、この事件の根本の原因は超人思想にあると考えたのならば、これを元に創作するときに同性愛要素を減らそうとするのは自然では?と思うのです。
むしろゲイ=異常者という偏見を強化してしまうのを避けたとも言える?
そもそも彼らがゲイである雰囲気は演技や演出によって充満しているし、それは自然に見えました。
彼らを明らかに異性愛者に変更したわけではないんだし。
もちろんこんな説は「ヘイズコードにビビってゲイ描写を削除した」と制作者が語っている証拠が出てきたら、サッと吹き飛ぶものなんですが。
先日『セルロイド・クローゼット』を観て、あまりにも大量の映画が羅列してあってそれを「差別によって存在を消された!」という〝説〟ですべてを括っていて、
正直、「ほんと?」「全部がほんと?」とは感じたのです。
そもそも『セルロイド・クローゼット』ではわざわざ呼んでインタビューをした著名人がゲイ差別とも取れる発言をしていて、それを採用しているし、
オールオッケー何の問題もないピカピカのドキュメンタリー!とは言えないくない?と思ってまして、
今回ひっかかった『ロープ』を観てみたら、やっぱり「差別意識や社会の風潮、ヘイズコードという自主規制が理由でゲイ描写を削除した映画のうちの一本」に分類しちゃっていいのかな??とは疑問に思ったよ、という話。
◼️以下、映画自体の感想
映画「ロープ」は、全編ワンカットで撮影され、当時のフィルム技術では10分~15分程度が限界であったため、背中や蓋の大写しカットなどを入れることで、繋がっているように演出しています。映画の本編と実際の時間が同時に進むという、実験的な試みでもあります。
リアルタイムである必要あった?
特にリミットがないんですよ。
上映時間80分で70分目に何かが起こるからそれまでに何とかしないと!
みたいなことが別にないので別にハラハラもしない。
今夜中に2人で別荘に行ければいいわけだし。
そもそも「実際の事件」があり、それを元にした「戯曲」があって
そんなに改変もなく
「擬似全編ワンカット」をやりたい!ってだけで作った感じ?
〝ロープ〟もそんなに効果的ではない?なんか隠喩があったのかな。
ネタバレと疑似ノーカットのシーンのメモは以下に!
【擬似カットポイント】10分目 ブランドンの背中
【擬似カットポイント】27分目 ケネスの背中
【擬似カットポイント】44分目 ブランドンの背中
【擬似カットポイント】59分目 ブランドンの背中
【擬似カットポイント】1時間14分目 チェストの蓋
善良なアメリカ男性は戦場で死ぬ
完全犯罪の被害者が彼にピッタリだ
何を感じた?
殺した時に
殺人は芸術だ
人を殺すのは創作の能力の発揮だ
殺人は特権だ
セントリー夫人は体調悪くて
夫の義姉のアントリー夫人が来た
優れた人間なら殺人を犯してもいいと?
誰なら?
たとえば僕
善悪の概念は凡人を救うものだ
バカどもは全員首吊りだ
文明など偽善だ
ブランドン、まさか殺人でも実行する気か?
あなたはみんなを集めて自分の優位性示したいのよ!
劣った人間の命はどうなったっていい!
善悪の道徳感は知的に優れたものには当てはまらない!
私にはそれ(殺人)を実行させない何かがある
実行を止める何かが!
何の権利で君は、
自分を優れた者だと、
彼を劣った者だと決めつけて殺したのだ!
お前は神か?
貴様はただの殺人者だ
人生も愛も戻らない
2人とも死刑台に送ってやる!
カデルが銃を二発窓外に撃つ。
その銃声でパトカーが来た。
ブランドンが酒を飲む。
フィリップがピアノを弾く。
終わり
