短編小説:プリン・リターンズ
こんにちは。不屈の屈葬です。
今日もわき目もふらず真面目にふざけます!
実は先日、マイライトさんにこんなコメントをいただきました。
もし、気が向いたら、屈葬さんのプリン大好き記事、また読みたいです✨最近プリンたべてますか?
ほうほう、なるほど・・・よっしゃ!!マイライトさんの願いとあらば、もう叶えざるを得ませんよね!頑張って意味分からない小説的な何かを創作したので、投下しますよ!とうっ!
(本文:1807字)
* * *
🍮プリン・リターンズ🍮
不屈の屈葬
その日、世界はプリンを失った。——プリンだけでなく、その記憶も。
プリンが登場してから地球を一周するのに、コロンブスもマゼランも当然インターネットも必要なかった。プリンがうま過ぎたからだ。易々と国境を超えていく様子は、愛や音楽でも敵わなかった。
プリンは老若男女問わず世界中で愛された。どんなに絶望的な状況に追い込まれた人でも、プリンを一口食べれば元気になり、「頑張ってみよう」と生きる希望が湧いた。学術的研究を待たずして、実感としてプリンを食べることで心のトゲが無くなることは証明され、プリンはあっという間に平和の象徴としての地位を築き上げた。全ては、プリンがうま過ぎたからだ。世にいう「パックス=プリン」(プリンによる平和)時代の到来である。
人類がプリンに熱狂する裏で、下剋上された鳩だけが、「くるっくー」と悲鳴をあげた。
しかし、「プリンによる平和」も長続きしなかった。プリンがうま過ぎたからだ。複数国がよりうまいプリンを求め、他国への侵攻を開始したのだ。悲しいかな、人はどうしても「隣のプリンが黄色く見える」生き物らしい。プリン帝国主義と称されるこの動きは、やがて世界を巻き込む戦争へと発展した。各国首脳たちも、いよいよプリンが「世界一滑らかな諸刃の剣」だという現実を認めざるを得なくなった。
「プリンを、禁止するしかない……」
最初に提唱したのはアメリカであった。国際連合の臨時総会での発言だ。各国代表者たちの表情は険しい。至る所で議論が巻き起こった。
「そんなことをすれば、暴動が起こるぞ!」
「争いなら、既に起きているではないか!」
「そもそもプリンを禁止するなど、今更できるのか?」
こうして、「会議は踊る、されど進まず」な状況がだらだらと続いたが、最終的にプリンをつくることは全面禁止され、そのレシピを公開することも許されない状況となった。人類は、プリン無き時代まで文明のレベルを後退させることを強いられたのだ。
かつて平和の象徴だった鳩だけが、「くるっぽー」と嬉しそうに鳴いた。
だが、実際に平穏が訪れたかといえば、そう単純な話ではなかった。当然であろう。人々は心の拠所を失ってしまったのだから。一度でも口に入れてしまったら最後、プリンを知らない身体には戻れない。隠れてプリンを食べようとして逮捕される人々が相次いだ。こうした隠れプリニストたちを取り締まるため、各国で踏みプリンが行われるようになった。同時に法律も整備され、厳罰化が進んでいった。
最終的に誰もプリンを食べなくなったのは、「プリンという言葉を発しただけで死刑」的な世界宣言が採択されてからだった。
そして、世界はプリンを失った。——プリンだけでなく、その記憶も。
——100年後。
人々は平和に暮らしていたが、常に心と腹にぽっかりと穴が空いた感覚を抱えていた。本来ならその隙間はプリンが埋めてくれるのだが、プリン無きこの世界では、気づきようもない。人類は出口のない迷路と知らず、出口を求めて足掻き続けていた。
そんな中、あるニュースが世間を騒がせた。とある民家から、厳重に封がされたイラスト付古文書が発掘されたというのだ。

人類は「これこそ隙間を満たす答えなのではないか」と直感した。プリンという何かが何かなど、知るはずもないのに。遺伝子に刻まれた記憶が呼び覚まされたのだろう。
「プリン……たべたい……」
こうして、ボロボロになったイラストだけを頼りに、プリンを復活させる研究が急速に進められた。最初は失敗の連続であった。しかし、紆余曲折を経て不屈の研究者が、真のプリンを完成させるに至った。甘く、美味しく、雅で、時に厳しく時に優しい——あのプリンが、遂に復活したのだ。
「これに違いない……!」
何の根拠もないが確信した不屈の研究者は、プリンを口に運んでみた。
一口目。うま過ぎて膝から崩れた。二口目。感動のあまり涙が止まらなくなった。三口目。今度は笑いが止まらなくなった。四口目。もうプリン以外何もいらない、本気でそう思った。五口目。この喜びを人と共有することに生涯を捧げようと、プリンに誓った。
こうして、再び世界にプリンが帰ってきた。さて、これからの世界はどうなるのだろうか。願わくば、今度こそ平和な世とならんことを。
なお、人類は同様のサイクルを既に10セット以上繰り返しているのだが、そのことはプリンだけが知っている——。
(了)
* * *
マイライトさんの希望に沿ってプリン愛を突き詰めて妄想したら、何の話か分からなくなっていました。note界ではよくあることですよね。
なお、この記事の一部の表現は、私の大好きな次の記事に影響を受けていることも、告白しておきます。勝手に影響受けてすみません。
それではまた!最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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