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舞台「ポルノ」を観てみた

今月の観劇、第一弾はこちら。

ちょっと久々にガツン!と頭を殴られたような感覚があった。それなりに色々観てきて耐性は出来てると思ってたけど(笑)まだこんなに新鮮に愕然と出来るんだという新たな発見がありました。

坂の多い坂上町で議員選挙に立候補する国旗は公約として「この町に住む弱者の為に町内の全ての坂をエスカレーターにする」と掲げて選挙活動をしているんだけどどうにも支持率が伸び悩んでいて、そこで妻の美和子と共に支持率を上げる為にとんでもない行動に出る…というのが大きな流れでそこに色んな男女が絡んでくる話なんだけど、何作か観た長塚圭史の作品で抱いた印象の全てが詰まっているというか、なるほどこれが原初だったんだなーと思った。
元は阿佐ヶ谷スパイダースの旗揚げ公演でやった作品を換骨奪胎してリライトした作品らしく、それでも28歳で書いた戯曲らしい。で、それを今度は松居大悟が24年?振りに上演すると。

概要だけ書くと何だか物々しいというかとんでもない感じがあるけど、内容はそれ以上だった(笑)
情報が出た時には気になったけどチケットを取る程じゃないかな…と思ってて、そもそも主演の玉置玲央って全然知らないし、阿佐ヶ谷スパイダースも本公演は観た事無いし、松居大悟も映画の監督作しか観てないし、タイトルがなんかもうインディーズというかアングラっぽいし、気になるポイントが長塚圭史と前田敦子ぐらいしかなく(笑)でも私の中の好奇心という厄介なアンテナが本能的に反応しちゃったもんで「外れてもいいや」と1枚だけかな、応募したらまさかの当選したという、しかも初日。

でも観られて良かった。玉置玲央という(私の中では)新しい才能に出会えたし、作品の持つ猥雑で熱いエネルギーに触れてこんなに刺激されるとは思ってなかった。とんでもなくネタバレ厳禁な内容だったので(笑)誰が読むか分からないここでは下手な事は書けないけど、話の展開も凄いし演出上の仕掛けもびっくりだし…これは書いても大丈夫かな、もし公演を観に行かれる方がいたらここはすっ飛ばして欲しいんだけど、この公演ではカーテンコールが無くてある意味それが1番びっくりした(笑)最後の台詞があって暗転してしばらくして、普通なら舞台の照明が点いて演者が出てきて…って流れだけど、これに関しては暗転から客席の照明が点いて場内アナウンスが流れたから、拍手してる観客も「え?」って戸惑いつつ「…カーテンコールやるんだよね?」と思ってるのが伝わって、でも出入り口の扉をスタッフが開けるのが見えて「あ、マジか」みたいな(笑)
でもそれがむしろこの物語には似合ってる気がした。あれだけのとんでもない話をあの熱演で見せられて、急に真っ白なライトの下で役者達がにこにこしててもちょっとシラケるというか…敢えて「はい、終わりました!」って線引をされない事で生々しさを引きずる感覚があって、それはもしかしたら現実でも起き得る事かもしれないっていう恐怖なのかな…それとも登場人物達の狂気が自分の中にもあると気付いてしまった恐怖なのかも。

玉置玲央がとても良かった。ちょっと大倉孝二を思わせるような風貌で、自分の信じる正義に狂信的に邁進していく様が清潔感のある見た目とのギャップでより生々しく立ち上がってきて怖くもあり哀しくもあり、これから名前を見たら注目した役者になった。
美和子を演じた前田敦子、普通(って言い方が合ってるか分からないけど)の女性もいいんだけどちょっと狂気的な役がいいんだよね、キーが上がった時の声質とよく似合ってる。最近は結構攻めた役もこなして深化してるなーとは思ってたけど、でもこれは…演じさせたくなる気持ちは分かるけど、よくこのオファーを受けたなと。俳優としての覚悟のようなものを感じて私は嬉しい(笑)
他の役者さん達は全く分からないんだけど、実力者なんだろうなーと思った。偏見だと言われても構わないけど、やっぱり板の上で芝居をやってる人達は足腰の強さが違うと思う。フィジカルな話もだけど演技のね。もうホントにお願いだから「役者やってます」って顔芸だけで生き延びてるもどきの方達には撤退して頂きたい。

ケラの作劇でこういう類の衝撃は散々味わったと思ってたけど、本当に…長塚もそういやこういう感じだったわーと再確認しましたわ。やっぱり芝居はいいね。


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