「島の学校」を、娘たちと見にいった
【効率の学び】広島県立叡智学園リサーチ | Future Family Project 航海ログ
全寮制の中高一貫校がある。
瀬戸内海の島の上に。
「成績だけでなく、何かが好きでそれを突き詰めている人が集まる」と言う、広島叡智学園(HiGA)だ。ずっと気になっていた。6月下旬、長女(小6)と次女(小5)を連れて、オープンスクールに参加してきた。
パパと娘たちは、別々のプログラムにいた
長女・次女は体験授業へ。パパは保護者向けの校長説明と、DP生(高校生)6名のトークセッションへ。
娘たちが体験したこと:
在校生と出身地クイズや偏見ゲームで交流した後、グループワークへ。テーマは「地域の人が笑顔になれる新しいスポーツを考える」。進行も生徒が担当していた。娘から聞いた感想は、「みんないろんな意見があって、まとめるのが大変だったけど面白かった」というものだった。
パパが聞いたこと:
吉村校長から学校の全体像、IBプログラム、英語教育、入試の考え方。そしてDP生6名が登壇し、寮生活・課外活動・進路について自分の言葉で話した。
トークセッションで印象に残った話がある。「寮で寛容になった。言葉の使い方にも影響した」。その事例として話してくれたのが、エアコンの温度だった。
「2人部屋のメンバーと揉めた。でも誰も介入しなかったから、自分たちで解決するしかなかった」
最後に「この学校の魅力は?」という問いへの答えも残った。
「みんな自分の好きを突き詰めている。それが出せる。本気でやっている仲間がいる」
シンプルな言葉だったけど、その裏にあるものを想像した。勉強はハードだし、自立して暮らすのはこの年齢には簡単ではない。ゲームも娯楽も限られた中で、自分と向き合って、他者に寄りかかりすぎず、責任を取る。そういう日々が、あの子たちを育てているんだと思った。
寮は個室だった。杉の香りがした
10名が1ユニットで生活する。基本は個室、一部に2人部屋もある。半年に一度ユニットが変わり、中1から中3が縦割りで混在する構成だ。
部屋に入ると、杉の香りがした。静かで、過ごしやすそうだった。お風呂は大浴場。娘たちはそれを見て、顔がほころんだ。
週末の過ごし方もそれぞれだという。スポーツをする子、地域ボランティアに取り組む子、街に出かける子。誰かに決めてもらうのではなく、自分で選ぶ。その小さな積み重ねも、この学校の設計の一部なんだと思った。
ビジョンと日常がつながっていた
この学校のMissionは「学びの力で平和と持続可能な未来をつくる」だ。最初に聞いたとき、壮大な言葉だと思った。でも、エアコンの話を聞いて腑に落ちた。
同じエアコンでも、寒いと感じる人もいれば、暑いと感じる人もいる。自分の感覚が正しいのではなく、相手にも相手の感じ方がある。そこに気づいて、相手の立場から想像しようとする。その一歩が寛容さになる。身近な日常の中に、平和への回路が埋め込まれていた。
パパ自身も、寮で過ごした時期がある。自主自立を掲げる自治学生寮で、寮母さんはいない。大学に入りたての頃は自分のことで精いっぱいだった。地域のお祭りの開催や自治運営会議への参加を重ねるうちに、コミュニティの一員としての自覚が生まれていった。
親から離れて、自分たちの生活に自分たちで責任を取る。その行動の積み重ねが、少しずつ自分を変えていった。
あのDP生たちを見て、その記憶が戻ってきた。
800年後の子孫へ
2026年、ある家族が島の学校を見にいった。
杉の香りがした部屋で、長女は何かを考えていた。
【シリーズ案内】
このnoteは「Future Family Project」──800年後の子孫に届けるタイムカプセルの航海ログです。
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