「空はなぜ青いの?」——五月病の三女と、毎朝8時の路上授業
【五人娘の日常】青い空と五月病 | Future Family Project 航海ログ
毎朝8時、三女と二人で歩いている。
今日も学校まで送っていく。
【現場】置いてきぼりの朝から始まった
4月、クラス替えがあった。
五女が大好きだった先生と、別のクラスになった。朝、保育園の門の前で泣くようになった。
その空気が、三女に伝染した。
三女は小1になって、お姉ちゃんたちと一緒に登校することを楽しみにしていた。でもお姉ちゃんたちには友達がいる。委員会がある。自分のペースがある。三女は置いてきぼりにされる朝が続いた。
「学校、行きたくない」
五月病だ。
今週は毎日、パパが学校まで送っていっている。妻は保育園へ。パパは小学校へ。朝の分担が固定された。いつまで続くかはわからない。
【発見】8時の路上で始まる授業
歩きながら、三女がいろんなことを聞いてくる。
天気がいい日は空を見上げながら「今日は晴れ?」と聞いてくる。
「雲が空全体の10%以下だったら快晴、それ以上だと晴れ、もっと多いと曇りになるんだよ」
「じゃあ今日は?」
二人で空を見上げて、雲の量を数える。
「……晴れかな」
「そうだね」
別の日、三女が聞いた。
「空はなぜ青いの?」
パパは少し考えた。
「レイリー散乱っていってね、太陽の光はいろんな色が混ざってるんだけど、空気の中を通るときに青い光が一番散らばりやすいから、空が青く見えるんだよ」
「……ふーん」
「夕焼けが赤いのも同じ理由でね、太陽が地平線に近くなると光が空気をたくさん通るから、青い光は全部散らばって、散らばりにくい赤い光だけ残るんだ」
「へー」
へー、で終わった。伝わったかどうかはわからない。でも三女は次の日も空を見上げた。
【考察】置いてきぼりと、二人の時間
お姉ちゃんたちが三女を置いていくのは、悪意じゃない。
友達と行きたい。委員会がある。それぞれの理由がある。でも三女にとっては、毎朝の「置いてきぼり」が積み重なっていった。
期待していたものが、思っていた形じゃなかった。 それが五月病の正体かもしれない。
でも皮肉なことに、その「置いてきぼり」がパパとの毎朝の時間を作った。
学校まで歩いて10分。レイリー散乱の話をして、雲の量を数えて、花の名前を話しながら歩く。それだけの時間だ。でもその10分に、三女は少しずつ「今日も行けた」を積み上げている気がする。
妻は保育園へ。パパは小学校へ。この生活がいつまで続くかはわからない。
でも今朝も二人で空を見上げた。
【余韻】
800年後の子孫へ。
2026年の5月、ある小1の娘は毎朝学校に行きたくなかった。
パパと二人で空を見上げながら、それでも毎日歩いた。
空が青い理由は、レイリー散乱だ。
【シリーズ案内】
「五人娘の日常」シリーズでは、7人家族のドタバタと発見を記録しています。
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