【シャンパンコール】第1話「この一輪の薔薇、いくら払えば永遠になりますか?」

「この一輪の薔薇、
いくら払えば永遠になりますか?」
——
きらびやかなシャンパンタワー。鳴り止まないコール。指名、売上、No.1ー。この世界は、夢を見せる場所。
きらびやかな夜の世界で、愛も価値も数字で測られていく。
『シャンパンコール』は、ホストクラブを舞台に、承認欲求、孤独、欲望、そして"本当に欲しかった愛”を描く物語です。華やかさの裏で、人は何を求め、何を差し出してしまうのか。
その裏で、誰かが壊れ、誰かが依存し、誰かが本気で恋をする。甘くはない。最後に残るのは希望?それとも......

『シャンパンコール』は、文章・音楽・イラストを組み合わせた、没入型の恋愛小説です。
ぜひ、BGMを再生しながらお楽しみください✨

愛されたいだけだった。
なのにこの街では、その気持ちさえ数字に変わる。
寂しさも、承認も、欲望も、傷も……
きらびやかな夜の裏で、人は数字では測れないものを求め続ける。
「じゃあ、愛の大きさも数字で決まるの?」
これは、わたしが本当に欲しかった愛にたどり着くまでの話。
——
✨
Welcome to the party tonight~!!!
C卓の〜
姫様より〜ッ✨
シャンパンいただきましたぁー!!
ありがとうございまあーーす!!!

いつも可愛い✨
天使ちゃんに捧げる~
シャンパンコーール!!!
い く ぜ!!!!
シャンパン〜!!
シャ〜ンパン〜!!
そ〜れっ それっ それっ それ!!
今夜は姫とのHAPPY NIGHT!
よいしょーー!!!!
ぽん!!✨🍾
カンパーイ!!!!🥂✨
キラキラのシャンデリア、
ムーディーに照らすネオン……
その光を受けて眩いほどに
グラスの中で揺れるシャンパン……
マイクを通した威勢のいい声が響く中、一斉にホストたちの視線がわたしに集まった。
ポンっと、コルクが弾けると、白い冷気とともに、あたりに芳醇なブドウの香りが充満した。
シャンパンタワーに注がれた黄金色の液体からは、細かな泡が星屑のように昇っていく
——

その輝きを夢心地で見つめるわたしの隣には、
ホストの「如月ユキ」がいる。
カレは、わたしにひとときの夢を与えてくれる。
隣で誘うように香るシトラスの香りが、わたしを更に酔わせる
——
ここは花舞伎町 ——
“二番街にあるホストクラブ
『ETERNAL KING』
一年前……。
友達とノリで行ったホストクラブにハマってしまった。
ほんの出来心だった。
初回はあまりお金はかからないって聞いたし……
少しだけ、その華やかな場所に興味があったから……。
でも、あの夜……わたしはズブズブにハマってしまった……。
抜け出せなくなってしまうほどに……。
——
今日はわたしと担当のホストが出会った1周年記念日。
如月ユキこと、"ユキぴ"
ETERNAL KINGの絶対的王者……

この一年間。カレからもらったかけがえのない時間と甘い夢……それらはどれもわたしの特別だ。
だから……今日っていう日に、特別なシャンパンを入れたかったんだ……。

「リコ、今日で出会って1年になるね。
いつも側にいてくれて感謝してるし、
リコの笑顔にはいつも癒やされてるよ?
これからも俺の姫でいてくれますか?

「ユキぴ、わたしの方こそユキぴがいてくれるから毎日が楽しくて、今日もがんばれてます♡
一生ユキぴのこと、大好き!
これからもユキぴのためにがんばります!
よいしょ♡」
彼の笑顔を独り占めできるこの数分間のために、わたしはどれだけの時間を削って働いただろう。
その見返りが「愛」じゃなくても、かまわなかった。
通帳の数字が減っていく不安よりも、彼に「必要とされている」という高揚感が勝ってしまう。お金なら、また稼げばいい。この「特別」は、お金でしか買えないのだから。
……
ちょっと大変だったけど……
後悔はない!!
幸せ……今はそれだけでいい。
…………
「リコ、サプライズめちゃくちゃ嬉しい。
ありがとね」
「んーん♡こちらこそだよ♡
わたし細客なのに、いつもいっぱい話しに来てくれるから……
そのお礼もしたくて……」
「ん……
細客とかそんなこと言わないで?
そんなこと関係ないよ。
リコ、たくさん俺に会いに来てくれたじゃん?
俺だって純粋にリコと話したいと思ってココ、
来てるんだからさ。
本当に……嬉しいよ。いつもありがとう」
「あ……そうだ。実は俺からもプレゼントあるんだよね……はい、どうぞ」

黒服の男がテーブルに近づき、可愛らしく装飾されたシャンパンボトルが乗せられたトレーをテーブルに置くと、
ユキぴは、高級そうな箱から1輪の薔薇を取り出した……
真紅の薔薇が、ネオンの光を吸い込んでキラキラと輝いている……
「わぁ!!キレイ✨」
カレはそれをわたしに差し出すと、わたしの耳元近くにそっと唇を寄せた……
「リコ。これからもよろしくね?
ずっと俺のことだけ好きでいて?」

……
カレの口から紡がれる甘い言葉とシャンパンの香りは、じわじわとわたしを酔わせていく……
ふわふわと浮き上がりそうなくらいに麻痺していく感覚……
(あ……だめだ……
ドキドキ止まらないや……)
うん……でも……
大丈夫。ちゃんとわかってる……。
わたしは夢を見てるんだ……
お金で繋がる関係が良くないことも、これは私が"買った"夢だということも……
でも……自分の中からユキぴを消すことは考えられないわたしは、この先もずっと同じことを繰り返すのだろう……
例えお金の上に成立する愛でも、わたしを幸せにしてくれるのはユキぴ以外考えられない……
本命になれなくてもいい……
今が幸せなら……それでいい……
今夜だけでも……ユキぴの1番でいられたら……
それがわたしの幸せだから……

※『シャンパンコール』は、2025年2月に原案を作成し、2026年2月に本文を執筆したオリジナル作品です。過去にAmebaブログで個人的に記録していた創作メモをもとに、一部再構成のうえ公開しています。
