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第三話「不思議な出会い」

前回のお話はこちら


…どのくらい眠っていたのでしょうか。
とても長い時間だったような気もするし、ほんの一瞬だったような気もします。

でも、こまは少しだけ覚えていました。
あの雨の日。ゴミステーションの隅っこで、袋の中にうずくまっていた自分を、不思議なおじさんが見つけてくれたこと。
自転車のかごの中で、少しだけ安心して眠ってしまったこと。
ふわふわした泡の中で、うっすら目を覚ましたこと。
くるくると目が回る場所に入れられて、気を失ったこと…。
それらの記憶が、夢だったのか、本当だったのか。

こまは、目を覚ましたばかりの頭で、ぼんやりと考えていました。
そして、周りを見渡したとき——
こまは、思わず息を呑みました。
部屋の中には、たくさんの時計。
人形たち。古いラジオ。音の出る機械。
壁には、赤い機関車が描かれた絵も飾られていました。
でも、何よりも不思議だったのは——
すべての時計が、違う時間を刻んでいたことです。
チッチッチッチッチ……
それぞれが、まるで別々の世界の時間を生きているように、静かに動いていました。

「ここは……どこなんだろう?」
「……あのおじさんは、どこに行ったのかな?」
こまがそうつぶやいたとき、人形たちの丸い目が、じっとこちらを見ているような気がして、胸がきゅっと縮こまりました。

そのとき——
遠くから、誰かの声が聞こえたような気がしました。
「お〜い、お〜い。誰か、助けてくれ〜」
こまは、怖い気持ちをなんとか押し込めて、声のする方へ向かって歩き始めました。
廊下にも、いろいろなものが飾られていました。
地図。古い鍵。瓶。小さな肖像画。
人形たちとは目を合わせないように、できるだけ下を見ながら、そっと歩いていきました。
声は、だんだん近づいてきます。
「お〜い、お〜い。誰か〜」
廊下の角を曲がると、違う部屋がありました。
どうやら、その部屋から声が聞こえているようです。
こまは、勇気を出して、そっとその部屋に入りました。
そこもまた、最初の部屋と同じように、たくさんのものが並んでいました。
壁には、見たことのない国のかたちの地図が掛けられていました。
机の上には、インク瓶とノート。何かが書かれているようでした。
そして、ふと上を見たとき——

「わぁ……!」
こまは、思わず声をあげてしまいました。
そこには、こまと同じくらいの大きさの、白いアライグマのぬいぐるみが吊るされていて、困った顔で、じっとこちらを見ていたのです。

そのぬいぐるみは、吊るされたまま、静かにこまを見つめていました。
困ったような顔。でも、どこか安心しているようにも見えました。
こまは、なぜかその視線から目をそらすことができませんでした。
「助かった……」
そのぬいぐるみは、そう言って、少しだけ笑いました。

こまは、あまりにも驚いて、しばらく言葉を失ってしまいました。
そして、少しだけ時間が経ったあと——
「……君、だあれ?」
そう、こまは言いました。


これが、こまとたんたんが初めて出会ったお話です。
この不思議な家で、これからどんなことが起こるのか——
それはまた、今度。
少しずつ、綴っていこうと思います。

この作品をYouTubeでも見ることができます。
手描きのイラストを追加し、さらにBGMや効果音で臨場感ある、大人のための動く絵本となっております。
ぜひご覧ください。
▼YouTube動画はこちらから


第四話はこちらから読むことができます。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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