気づきの種#09_『無為の境地(ムイノキョウチ)』 ~出来るとは無意識で何かを実行できること~
人生を楽しく生きるための『気づきの種』を“短い物語”にしてみました。
「投資」「習慣」「幸福」「考え方」などが中心ですので楽しんでもらえましたら何よりです!
『無為の境地(ムイノキョウチ)』 ~出来るとは無意識で何かを実行できること~
古都の片隅に住む福助(ふくすけ)は、若い頃から武道の鍛錬に励んでいた。
竹刀を握る彼の目は真剣そのものだったが、その動きはどこかぎこちなく、常に意識が先行しているようだった。
「力を抜け、もっと無心で」師範は何度もそう諭したが、福助にはその意味が掴めなかった。
日々の鍛錬は苦痛の連続だった。
一つ一つの動作、呼吸、体勢、全てを頭で理解し、意識的にコントロールしようとする。
しかし、意識すればするほど体は思うように動かず、焦燥感だけが募っていった。
「出来る」とは無意識の領域で体が勝手に動くことだと師範は言う。
今の自分は「出来そう」なだけで、「出来る」には程遠い。
ましてや「出来ない」者と大差ないと感じる日々だった。
ある日、福助は稽古場で大敗を喫した。
相手は入門して間もない若者だったが、その動きには無駄がなく、まるで水が流れるように自然だった。
福助は愕然とした。
意識の海で必死にもがいていた自分と、無意識の境地で舞う相手。
その差は歴然だった。
失意の中、福助は稽古場を飛び出し、近くの山へと分け入った。
鬱蒼(うっそう)とした木々の中を彷徨い歩くうち、彼は疲労困憊し、大きな木の根元に腰を下ろした。
しばらくすると、周囲の音が意識に入ってきた。
風の音、鳥のさえずり、木々のざわめき。
それらは全て、何の抵抗もなく、ただそこにある。
福助はふと、自分の呼吸に意識を向けた。
吸って、吐いて。
ただそれだけの行為が、今はやけに心地よく感じられた。
その時、一匹の猿が目の前を通り過ぎた。
猿は木から木へと、何の迷いもなく、流れるように飛び移っていく。
その動きは完璧で、一切の淀みがなかった。
福助は息を呑んだ。
猿は、意識してその動きをしているのだろうか?
いや、きっと違う。
長年の経験と本能が、彼らを無意識の動きへと導いているのだ。
その光景を見た瞬間、福助の心に何かが閃いた。
「有意識の苦の先にある無意識の域」師範の言葉の意味が、ようやく腹落ちした気がした。
意識的に何かを極めようと苦しみ抜いた先に、思考すら介在しない、無意識の境地があるのではないか。
福助はゆっくりと立ち上がった。
山を下り、再び稽古場へと向かう彼の足取りは、以前よりも幾分か軽やかだった。
竹刀を握る彼の目は、以前のような焦燥感ではなく、静かな決意を宿していた。
そして数年後、福助は誰もが認める武道の達人となった。
彼の動きは無駄がなく、相手はまるで幻影と戦っているかのように翻弄された。
数年前の福助を知るある弟子が福助に尋ねた。
「先生、あの時、山で何があったのですか?」
福助は静かに微笑み、遠い目をして言った。
「ああ、あのときは…ただ考え事をしに行っただけだよ。無意識で帰ってきたから、帰り道は何を考えていたか覚えていないけれどね」と。
【あとがき】

↓単なる私の感想などなど…↓
出来るとはどういうことかについて、YouTube講演家の鴨頭嘉人さんが話しており、それがまさに腑に落ちたため、私の人生に役立っていますので「出来る」について少し話をしたいと思います。
「出来る」ということが、どのようなステップで「出来ない」から「出来る」になって行くかを体系的に理解できると面白いと思います!
出来るとは以下のステップで出来ないから出来るになる…
1.無意識/無能 → 知らないから出来ていない
(何もしていないので気分は快楽)
2.有意識/無能 → 知っているけど出来ていない
(やりたいが出来ないので苦痛)
3.有意識/有能 → 考えながらなら出来る
(やろうと思わなければ出来ないので苦痛)
4.無意識/有能 → 考えなくても出来る
(何も考えなくても出来るので快楽)
何かを成し遂げようとしたときに途中で辞めてしまう原因は、2と3の状態の時が苦痛に感じるからであり、何もしない1は快楽であるから残念ながらすぐに戻り易いのだと思います…。
また、4の無意識/有能になるためには、ある程度習慣化した上で習得しないと難しいことも容易に想像できます…。
例えば、ダイエットが分かり易いかと…
1. ダイエットしたいと思っていない[快楽]
2. ダイエットしなければとは思ってはいるが実行出来ていない[苦痛]
3. 頑張ってダイエットしているが食べたい誘惑に負けそうになる[苦痛]
4. 既にダイエットが習慣化されており特に頑張らずに体型がキープされている[快楽]
このように、ダイエットを達成出来た人(ダイエットをそもそも必要としない人)と、ダイエットを挫折してしまう人がなぜいるかは、このような流れを見るとよくわかります。
別の例ですとゴルフも分かり易いかと…
私は趣味でゴルフをしていますが、ゴルフではよく「上半身はこう動かす…」「ボールのここを見る…」「手打ちはしない…」などの考えながらスイングをするような教えが、そこら中で飛び交っています…。
練習場で考えることは良いことかもしれませんが、ラウンド中に考えながらスイングしている時は、たいしてスコアは良くありません…。
独特なスイングだとしても、反復練習して「無意識/有能」で動くスイングを出来た人が良いスコアになっているような気がします。
まとめると…
「無意識/有能」になるには「苦痛」が付きものではありますが、習慣化されてしまえば「快楽(無)」なので、歩みを止めず進んで行きたいものですね。
ゼロよりイチ!
今日の一歩が幸福を複利で増やす原動力です!
みんなで幸せになりましょう!
ではまたっ!!
#01-#20(全20話)
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