「みんなで頑張ろう」が、チームを弱くするのかもしれない
チームで仕事をしていると、「みんなで頑張りましょう!」という言葉を聞くことがあります。
もちろん、私もチームで協力することは大切だと思っています。
一人ではできないことも、チームならできる。
困ったときには助け合える。
同じ目標に向かって進むことで、大きな成果を出せる。
それは間違いなく、チームで働く良さだと思います。
ただ、最近ふと思うことがあります。
「みんなで頑張ろう」と言うだけで、本当にチームの力は最大化するのだろうか?
むしろ、全員に「頑張ろう」と呼びかけることで、一人ひとりの責任が少しずつ曖昧になってしまうこともあるのではないか。
今回は、そんなことを考えてみたいと思います。
5人でやれば、5人分の成果になるわけではない
例えば、5人のチームで一つの仕事をするとします。
単純に考えれば、「5人いるのだから、1人でやるより5倍の成果が出る」と思いたくなります。
でも、実際にはそうならないことがあります。
会議では、「誰かこの仕事やっておいてください」となり、誰も手を挙げない。
あるいは、「○○さんがやってくれるだろう」
と、少しずつ他人に任せてしまう。
結果として、一部の人に仕事が偏ってしまう。
こうした現象を説明する考え方の一つに、リンゲルマン効果があります。
マクシミリアン・リンゲルマンが行った綱引きなどの実験から知られるもので、集団の人数が増えるほど、個人あたりのパフォーマンスが低下する傾向を指します。
もちろん、すべてのチームで必ず起こるという話ではありません。
ただ、「人数を増やせば、その分だけ成果が増えるわけではない」という視点は、マネジメントを考えるうえで面白いと思います。
「みんなの仕事」になると、「自分の仕事」がなくなる
では、なぜこうしたことが起こるのでしょうか。
私の考える理由の一つは、責任の所在が曖昧になることだと思います。
例えば、「今期のエンゲージメントを高めよう」という目標があったとしても、「じゃあ、自分は何をするのか?」が決まっていなければ、行動にはつながりにくい。
逆に、
「私はこの部分を担当する」
「この成果を出す」
などと、自分の役割が明確になれば、仕事は自分ごとになりやすいのではないでしょうか?
私は、チームワークというのは、全員が同じことを頑張ることではなく、一人ひとりが違う役割を担いながら、同じ方向を向くことなのではないかと思っています。
マネージャーに必要なのは「頑張らせること」ではない
ここで、マネージャーの役割について考えてみたいと思います。
マネージャーになると、
「メンバーのモチベーションを上げる」
「チームを盛り上げる」
ことが仕事だと思ってしまうことがあります。
私自身も、以前はそう考えていました。
でも、マネージャーの役割は、単純にメンバーを頑張らせることではないのかもしれません。
むしろ、「このチームで、誰が、何を担えば、一番大きな価値を生み出せるのか」を考えることなのではないでしょうか。
メンバーそれぞれの強みを知り、得意なことを任せたり、必要なところで権限を渡す。
そして、それぞれの仕事をチームの目的につなげていく。
そう考えると、マネージャーは「みんなを頑張らせる人」ではなく、「一人ひとりの力がチームの成果につながる状態をつくる人」なのかもしれません。
「みんなで頑張る」から「一人ひとりが力を発揮する」へ
ただ、前述もしましたが、決して「みんなで頑張ろう」ということ自体が悪いわけではないとも思います。
問題なのは、「みんなで頑張る」ことが目的になってしまうことなのではないでしょうか。
チームとして目指す方向は一つ。
でも、そこに向かう方法や役割は一人ひとり違う。
Aさんは企画が得意。
Bさんは人を巻き込むのが得意。
Cさんは数字を見るのが得意。
Dさんは最後までやり切るのが得意。
そんな違いを活かしながら、一人ひとりが自分の役割に責任を持つ。
その結果として、チーム全体の成果が大きくなる。
私は、これが「チームで成果を出す」ということなのではないかと思っています。
おわりに
チームで働く以上、誰かと協力することは避けられません。
だからこそ、私は「みんなで頑張る」という言葉を否定したいわけではありません。
ただ、人数が増えれば増えるほど、自然とチームが強くなるわけではない。
これは、マネージャーとして覚えておきたいことの一つなのだと思います。
大切なのは、全員を同じ方向に向かわせることだけではなく、一人ひとりが自分の役割を持ち、自分の力を発揮し、それがチームの成果につながっていく状態をつくること。
みんなで頑張ろうから、
その人個人を見て、そして、それをどうチームの力につなげるか?へ。
そんな問いを持てるマネージャーになりたいな、と最近思っています。
