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潰れる管理職と生き残る管理職の決定的な違いは「自責の使い方」だった

▶ まずこの一文を読んでほしい

動き始めた現場を一番止めるのは上司の正論だ。

前回、「聞く」ことで現場が変わり始めた話を書いた。

部下が少しずつ報告してくれるようになった。
改善提案が出てきた。
「この現場、変われるかもしれない」と初めて思えた瞬間だった。

その直後に、また私はやらかした。

品質数値がまだ目標に届いていないのを見て、こう言ってしまった。

「もっと効率よくやって欲しい。」
「数字が足りない。」

言っていることは全部正しかったと思う。

でも翌日から、現場が静かになってしまった。
報告が止まり、改善提案が消えた。

なぜ正しいことを言ったのに、現場が閉じてしまったのか。

答えは私の「思考の向き」にあった。


■ あなたは今、こんな状況にないか?

海外赴任した管理職が1〜2年目に必ずぶつかる
三重苦がある。

「何度指示しても動かない」
「品質問題が繰り返される」
「本社からのプレッシャーで追い詰められる」

こういう状況に陥ると、多くの管理職は自然とこう考え始める。

「タイ人は責任感が薄い」
「うちの会社の環境が悪い」
「本社の方針が現場に合っていない」
「前任者がめちゃくちゃにしていった」

そして気づかないうちに「他責」の沼にはまっていく。

そこで潰れた管理職を何人も見てきた。

そのどれもが実は一つの根っこにつながっている。

「思考の向き」が間違っているのだ。

■ 潰れる管理職と生き残る管理職、「思考の向き」の違い

潰れる管理職と生き残る管理職の差を整理するとこうなる。

潰れる管理職の共通点は「自分が正しい」を起点に動くこと。

生き残る管理職は「相手が何を感じているか」を起点に動く。

この「思考の向き」の差が、時間とともに決定的な差になる。

■協力者ゼロの現場で、気づいた転換点

タイで転職した直後のこと。

前任者からの引き継ぎはほぼなかった。

事業部を任されてすぐに顧客の品質監査があった。

監査の対応は私一人。
協力者ゼロ。
現場のタイ人管理職は私を遠巻きに見ていた。

組織全体に「他責の空気」が染みついていた。

問題が出たら誰かのせいにしてその場を収める。
原因は特定されない。
また同じことが起きる。
誰も何も言わない。
また収める。

そして最も恐ろしいのは、それに慣れた組織は問題に気づく力そのものを失っていくということだった。

その頃はいつも一人で資料を作りながらこう考えていた。

「なぜ誰も助けてくれないのか」
「なぜ前任者はこうしたのか」
「なぜ本社は人を増やさないのか」

気づけば全部、他人のせいにしてしまっていた。

そんな折、次の言葉を思い出した。
他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来だけ。

そして私は「思考の向き」を変えた。

「なぜ助けてくれないのか」ではなく、「どうしたら一人でも味方ができるか」。

「なぜ動かないのか」ではなく、「何が怖くて動けないのか」。

「他責から自責へ」の転換は、精神論ではなく、思考の起点を変えることだった。

■ 「自責」という言葉を、ずっと勘違いしていた

私は長い間、「自責」という言葉を誤解していた。

自責とは「全部自分のせいだと責め立てること」だと思っていた。

「なぜうまくマネジメントできないのか」
「なぜ指示が通らないのか」と。

でも、それは自責ではなく、自虐だった。

思考の転換を経て気づいた。

本当の自責とは、「自分に何ができるかを探すこと」だ。

誰が悪いかを決めることではなく、自分が動かせる範囲の改善点を見つけること。

他責は問題解決を止める。
自責は気づきを生む。

■ 「生き残る思考」3つの切り替え

では「思考の向き」を変えるために、具体的に何をするのか。

3つだけ覚えてほしい。

① 正しさより「相手の安心」を先に作る

潰れる管理職は「正しいことを言えば動く」と信じている。
生き残る管理職は「安心がない場所では正論は届かない」と知っている。

部下が動かない時、まず問うべきは「この部下は今、安心しているか」だ。

安心のない場所では、どんなに正しい指示も防御反応を起こす。

冒頭の失敗がまさにそれだった。

動き始めた現場に正論をぶつけた瞬間、部下の安心が崩れた。

② 常識は「守るもの」から「毎日更新するもの」に変える

潰れる管理職は「日本ではこうだった」を根拠に動く。

生き残る管理職は「ここではどうすべきか」を毎日問い直す。

「日本ではこうだった」という常識は、海外ではただの偏見のコレクション。

タイに来て14年、私がいくつもの「普通」を更新し続けてきた。

③ 孤立した時ほど「一人のタイ人」との関係に集中する

潰れる管理職は、孤立すると日本人同士で固まる。
生き残る管理職は、孤立した時ほど一対一でタイ人に話しかける。

固まれば固まるほど孤立は深まる。

一人だけでいい。

現場で一番話しかけやすい人間に、タイ語で、一対一で話す。

そこから変化は始まる。

■ 明日できる小さな一歩

難しく考えなくていい。
明日から3つのうち先ずは1つだけ試してほしい。

① 部下に「何が一番やりにくいか」と一対一で聞く。

評価でも指示でもなく、純粋に聞くだけでいい。
それだけで「思考の向き」が変わり始める。

② 「日本ではこうだ」と言いそうになったら、一呼吸おく。

その一呼吸が「ここではどうすべきか」という問いを生む。

③ 現場に降りて五感で空気を確認する。

数字の前に、自分の肌で感じた空気が最も正直な情報だ。

■ まとめ・行動提案

海外で潰れる管理職に共通するのは、能力でも経験でもない。

「思考の向きが自分に向いたまま固まっている」ことだ。

「なぜできない」と問い続ける限り答えは外にしか見つからない。
「自分に何ができるか」と問い直した瞬間に初めて変えられるものが見え始める。

そしてもう一つ。

自責で「思考の向き」を変えるだけではまだ足りない。

思考が変わっても、仕組みがなければ現場は個人の頑張りに依存したままだ。

あなたが休んだ日に、また現場は止まる。

信頼を「仕組み」に変えて初めて組織は再現性を持つ。

部下を変えようとする前に自分の思考の向きを疑う。
それだけで、現場の空気が変わり始める。

■ 明日使える一言

誰が悪いかより、次に同じことを起こさないために私たちに何ができるかを考えよう

この一言を、次に問題が発生した時に使ってみてほしい。

責める雰囲気ではなく、解決する空気に変わる。
思考の向きが変わるとは、こういうことだ。

▶▶ 次回予告|この記事を読んだあなたへ

「思考の向き」を変えた。
自責で動けるようになった。
現場が少しずつ動き始めた。

では次は何をすべきか。

思考が変わっても、仕組みがなければ再現性はない。
でも仕組みを作る前に、私はまた一つ大きな失敗をした。

それが「人前で叱る」という失敗だ。

正しいことを言えば人は動く。
そう信じていた私が、最も正論を言った瞬間に現場が崩れた。

静かになっていった。

静かというのは、穏やかになったのではない。
誰も話さなくなったのだ。

なぜ正しい指摘が現場を壊すのか。
そしてどうやって取り戻したのか。
そこに「信頼を仕組みに変える」ための、最初の鍵があった。


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タイで14年、300人の部下と泥だらけになりながら
現場マネジメントを学んできたガクです。

3期連続赤字の事業を1年半でV字回復させた経験が
ありますが、最初からうまくできたわけでは
ありません。

信頼を失い、現場に背を向けられ、そこから
学び直してきた話をこのnoteに書いています。

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次回も、現場で油まみれになりながら
学んだことを、できる限り具体的に届けます。



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