ん?展覧会の広報も学芸員の仕事なの?
以前、美術館はなんだかんだで入館者数という数字を無視できないんだよなぁ、という話をしました。
でも待ってください。そもそも、そうした集客うんぬんを考えるのは、誰の仕事でしょうか。学芸員でしょうか、事務でしょうか。あなたはどう思いますか?
なかには広報を専門に行う部署がある美術館もあります。
「広報」。うーん、あこがれる響きです。
ちょっと調べた限りでは
森美術館
国立新美術館
東京都現代美術館
横浜美術館
岡田美術館
などがそうですね(たぶんもう少しあるとは思います)。相当な資本力があるところに限られますね。広報を任せられる人がいるなんて、うらやましい限りです。
他に、全国を巡回するような大型企画展の場合は、その展覧会専用の事務局が結成されて、そこが広報活動を行います。そうした事務局の実態は、以前ご紹介した新聞社の文化事業部である場合がほとんどです。期間限定の精鋭チームのようなものですね。
いずれにしても、広報を専門で担ってくれる人がいるなんているのは、相当なレアケースだと思ってください。日本に数百ある美術館の大半は、学芸員を含む職員・スタッフたちが頭をひねりながら広報活動を行っているというのが現実です。
学芸員は、当然マーケティングなんて学んだことがありません。だから効果的な施策がすぐに打てるわけもなく、日々実践を通してできる範囲での最適解を探るほかありません。
餅は餅屋と言いますし、正直付け焼き刃で広報をやるのも限界があると思っています。効率が悪いよなぁとも思います。
とは言え、展覧会の内容について誰よりも詳しいのは学芸員です。作家や作品に強い思い入れがあるのも学芸員です。
だから、訳もわからない人が闇雲に広報活動を行うよりは、まだ学芸員自らが動いた方がましだとも思っています。
いや、色々言ってみましたが、せっかく苦労して開催した展覧会を、なるべく多くの人に観てもらいたいと思うのは学芸員なら当然ですよね。
よし、じゃあ、広報活動やったるか!
と気合いを入れるのはいいのですが、ここから話が一気に小学生レベルに落ちます…。繰り返しになりますが、広報のやり方とかマーケティングとか習ってないもの…。
小学生(レベルの学芸員)が考えた効果的広報ベスト3!
いまのところ一定の効果があるかなぁと思っている方法をご紹介します。
第3位 美術誌に広告を出す
美術専門誌というものがあります。『芸術新潮』『美術手帖』『月刊ギャラリー』『美術の窓』『月刊アートコレクター』などなど。
こうした本を手に取るのは、美術に興味のある人なので、潜在的な顧客の掘り起こしにつながります。ただし、発行部数の多い雑誌になると、広告出稿価格がエグいです。予算があるならオススメの方法と言えるでしょう。
第2位 プレスリリースを出す
展覧会開催前に、展覧会の概要や見所、主な出品作品などをまとめたプレスリリース(PR)を作ります。これを各種メディアに送りつけます。弱小美術館だとスルーされる確率が高いですが、企画内容に興味をもってもらえたら取材してもらえる可能性もあります。第3位であげた美術誌が記事にして取り上げてくれると、広告費用がかからないのでやってみる価値はあると思ってます。
第1位 新聞記者とつながっておく
新聞がオールドメディアと呼ばれる昨今ですが、その影響力は正直ネットニュースとはまだまだ比較にならないぐらい大きいというのが私の実感です。たぶん美術館に足を運んでくれる中心層は、ネットよりも新聞を読む人たちだからでしょう。
各新聞社には、地域担当の記者さんがいます。そうした人と顔なじみになっておいて、その人宛てに展覧会の案内を出すと、タイミングが合えば取材に来てくれて地方欄に載せてくれることがあります。新聞の地方欄とあなどるなかれ。掲載数日は来館者数が跳ね上がります。
選外 SNSやブログで発信する
これから大事なのはこっちでしょ、と言いたくなるのはわかります。たしかにネットを介せば、情報が全国の人たちに届きます。フォロワーが増えれば影響力がついたとうれしくなるでしょう。でも全国に届いても、県をまたいで、電車や飛行機に乗ってわざわざ美術館まで来る人がどれだけいるでしょうか。つまりリーチ数だけ考えても仕方がないのです。
美術館の認知度をあげていく努力としては、もちろん意味はありますけどね。
ふぅ、書いてみてあらためて思いましたが、我ながら普通のことしか書いてないですね。お恥ずかしい。でもこんなもんなんですよ、だいたいの美術館は。そんな内情も知ってもらえれば、と思います。
当たり前ですが、どんなにいい企画展をしたとしても、美術館の中に足を踏み入れてもらえなければ、その内容は伝わりません。黙っていても、展示のすばらしさを嗅ぎ取ってお客さんが集まってくれるなら楽ですけどね。ま、そんなわけはないので、美術館として、学芸員として、知ってもらう努力は続けるしかないのです。
何かいい打ち手があったら教えてくださいませ。
というか、本職の広報さんて何してるんだろ?
バックナンバーはここで一覧できます(我ながら結構たくさん書いてるなぁ)。
