入館者数から逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ
学芸員が日々の仕事の中で抱く葛藤を、つつみ隠さずおとどけするこのnote。
今日は、美術館で展覧会をやるなら、避けては通れない入館者数について語ります。
展覧会は、何をもって評価されるか。
はい、入館者数です。
公立の美術館、私立の美術館。大きな美術館、小さな美術館。
企画展、所蔵品展、常設展、巡回展。
展覧会と一口に言っても、美術館の規模も企画内容も無数の種類があります。でも、いずれにしても終わった後に残るのは入館者数という結果です。
もちろん良い展覧会というのは、入館者の数だけでは計れません。
これまで知られていなかった作家の、新たな一面を見せることができた展覧会。
社会的なメッセージを深く考えさせる展覧会。
堅実な作品研究の成果をみせる展覧会。
知られざる作家を掘り起こした展覧会。
このように意義深い展覧会は、たくさんあります。だから「入館者数で評価するなんて浅はかすぎる!」と思う人もいるでしょう。
「たとえ1日に1人しかお客さんが来なくても、その1人の心に深く訴えるような展覧会ができたらそれで十分じゃないか!」と思う人もいるかもしれません。
ただ、長い目で見た時に、それでは美術館が存続していかないのです。
美術館の運営にはお金がかかる、という話を前にしました。
入館者数を増やして入館料を稼がなければ、という話ではありません。どれだけお客が入っても、入館料で美術館運営費用がペイすることはありませんから。
公立の美術館でも、私立の美術館でも、存続するためには予算をつけ続けてもらう必要があるわけですが、その時に入館者数という実績は大きな意味をもちます。
これだけの人たちから愛されている、必要とされている、という証明を目に見える形で提示しなければいけないとしたら、それは入館者数しかないですよね。
というわけで、美術館のKPI(目標を達成するために重視すべき指標)は入館者数である、と言わざるを得ないわけです。
一介の学芸員が考えることではない?
じゃあ、誰が考える?
前にも触れたことがありますが、学芸員の主な仕事は次のように博物館法で規定されています。
学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる。
これで言えば、入館者うんぬんを考えるのは、学芸員の仕事ではありません。
でも、美術館とともに働き続けるのは、学芸員しかいないのもまた事実です。
そう、専門職である学芸員以外のポストは、人事異動によって人が変わっていきます。つまり長期的な視点で、美術館のことを考えることができるのは、学芸員しかいないのです。
だから学芸員自身が「わかる奴だけ展覧会を見に来れば良い」というスタンスでは、いつかじり貧になりますし、企画内容にこだわるのはもちろん、どうしたら多くの人に来てもらえるか、という視点も必要だと私は考えています。
では具体的にどんな施策があるか、については、長くなったのでまたあらためて。
バックナンバーはここで一覧できます(我ながら結構たくさん書いてるなぁ)。
