見なくていいけど見てほしい展覧会あいさつ文
私は展覧会を見る人に「会場入り口のあいさつ文から真面目に読まなくてもいいですよ。疲れちゃうから」とアドバイスすることがあるのですが、あいさつ文が重要じゃないかと言えばもちろん違います。
あいさつ文というのは、あらためて説明すると(説明しなくても分かるとは思いますが)展覧会会場の最初にパネルなどで掲げられている文章のことです。
あいさつ文の最後には、主催者名が入ります。おそらく皆さん見たことがあるでしょう。美術館名、会社名、寺院名などの組織名である場合と、その組織の代表者名の場合があります。
代表者名があるとは言え、実際にその代表者があいさつ文を執筆するということはまれです。例外としては、学芸員あがりの館長の場合に限り、自らあいさつ文を書くことがあるかな、といった感じです。
(世田谷美術館の酒井館長がこれまでのあいさつ文を1冊にまとめた『展覧会の挨拶』なんていう本もありますね)
だいたいの場合は、あいさつ文を執筆するのは学芸員の仕事です。美術館や博物館の館長と言っても、行政職などの畑違いの分野からそのポストに就くことが多々あるので、そういう人があいさつ文を考えるというのは現実的ではありません。
学芸員の方であいさつ文の下案を作った上で、代表者に目を通してもらいます(私はこれまで経験したことがないのですが、美術館によってはこの段階でものすごく大量の赤字が入って戻されて、じゃあ最初から自分で書けと思わず言いたくなることもあるとか無いとか)。
そもそも展覧会を開催するにあたっては、開催要項というものを作ります。この開催要項には、会期や料金、展示替えなどの基本情報に加えて、その展覧会の内容を端的にまとめた概要文を記載します。開催要項は、広報物のもとにもなりますし、メディアに配布するプレスリリースにも使います。
この開催要項の概要文は、そのまま、もしくは多少アレンジした形で、展覧会チラシにも載り、そして会場のあいさつ文にも使われるというわけです。
あまり長たらしく書いても読んでもらえないし、かと言って短すぎると何だか内容の薄い展覧会に思われてしまう。
ちょうどいい文字量に整えつつ、展覧会の見どころや興味を引くキーワードを的確に入れ込んでいく、ここがなかなか難しいのです。名前こそ出ませんが、学芸員の腕の見せ所のひとつと言えます。
個人的には、どうも締めくくりが「皆さまにとって○○の魅力を再発見する機会になれば幸いです」という紋切り型(またはこれに近い形)になりがちなので、もう少しバリエーションを増やさないなぁと反省しています。
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