学芸員を敬遠する学生たち
前々回、学芸員を目指す人に向けて記事を書いてみました。
こんな記事を書いておいてなんですが、最近肌で感じている変化が、学芸員になりたいと思う人の減少です。
公募を出した時の反応が弱くなっている。応募してくる人が思ったよりも少ない。そういった話を、あちこちの美術館で聞きます。私がいる美術館でも同じです。
私が思うに、学芸員という職業が「なんとなくスタイリッシュでかっこいい仕事」というイメージから、「薄給で多忙な、ブラックな仕事」というイメージに変わってきているようです。
ついにバレたか(笑)。
ま、それは冗談として、学芸員に限らず、たとえば学校の先生なんかも今はなり手不足が社会問題として取り上げられるようになっていますよね。キラキライメージが通用しなくなったという意味ではちょっと似てるかな、と。
たしかに学芸員は、別にお洒落な仕事でもないし、結構肉体労働だし(肉体労働が悪いという意味ではもちろんなく、イメージとは違うという話)、世間一般でいうところの高給取りになるのも難しいです。
そういう意味では、今の学生はなかなか現実が見えているな、と思います。
ただ、逆にそこまでブラックな働き方をさせられることもありませんよ。
残業してヒィヒィ働いているように見えても、実際は本人が良い展覧会にしたくて、納得できるまでやっている、やりたくてたまらずやっている、ということも少なくありません。
学園祭の準備で放課後いつまでも学校に残って作業をしていた、そんな思い出がある人もいるかもしれませんが、その時って苦しいとかつらいとかではなく楽しかったでしょう? それと同じです。
だから、定時きっかりに帰る人も多いですし、時短やフレックスやテレワークを導入している美術館も珍しくありません。私も残業全然しない派です。
ようするに過度に理想化するのも困るけど、必要以上にブラックだとおびえることもないよ、ということです。
まぁそんな状況なので、今の学芸員の就職事情は二極化しています。
地方の美術館、私立の小規模美術館などは、公募を出しても全然応募がなく弱っています。だから、選り好みをしなければ学芸員になるなんて簡単です。
その手の美術館は全体的な傾向として(全部ではない)、雑務が多く、企画展の準備や調査研究に専念できない。そのため学芸員としての誇りがもてない。給与も低い(繰り返しますが、そうではないところもあります)。
なので、たとえ就職したとしても1、2年したら他で働きたくなってしまう。離職率が高いという現実があります。
逆に、首都圏の名の知れた美術館には依然として応募がたくさんきます。
こちらは先ほどの反対で、学芸員は学芸員業務に専念させてもらえる。そのため担当展覧会や論文など実績を重ねていける。給与などの待遇もなかなかよい。こうしたメリットがあるからですね。
というわけで、ここではやはり学芸員は非常に狭き門のままです。
この状況は、今後もしばらく続くことでしょう。
ご意見・ご感想はコメントでどうぞ。
