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展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.20 展示替え編

美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナーです。

■前回の記事(↓)

■全工程はこちら(↓)をご覧ください。

■年末ですね。今年を振り返ってみませんか?

アドベントカレンダー企画「マイベスト展覧会2023」は、現在(11/28)12名の方が参加予定です。まだ枠が空いているので、よろしければどうぞ。

では、本題いきます。

32. 作品の展示替えを行う

展覧会によっては、会期中に展示替えを行うことがあります。展示作品を交換する作業です。

展示替えをする主な理由は、作品保護のためです。

このnoteでも時折つぶやいていることですが、美術作品を展示することと保護することは真逆の行為です。展示すれば、温度・湿度は変動しますし、照明を浴びることでダメージが蓄積されていきます。

そのため、ひとつの作品を展示する期間には制約をかけるのが基本です。作品を構成する素材によって、強固なもの、脆弱なものと色々あるので、展示可能期間は作品によって変わります。

紙や絹に絵を描く日本画や、染織品などは、長くても1ヶ月の展示を限度とすることが多いです。とは言え、これはあくまで目安のようなもので、作品の所蔵者が問題なしとして常設展示で延々と公開し続けるような例もありますが。

まぁ、このような理由で会期が2〜3ヶ月あるような展覧会では、途中で1度か2度の展示替えを行う必要があるのです。
作品保護以外の理由としては、作品総点数に対し会場が小さく、物理的に一度に展示できないため、展示替えをするという場合もあります。

さて、展示替えと一口に言っても色々です。

一番簡単なのは、冊子やアルバムのような形状の作品のページだけを変えるパターン。似たような例として、絵巻で場面を変えることもあります(巻き替え)。これだけなら、展示替えのための休館期間を設ける必要はなく、通常の休館日にちゃちゃっと実施可能です。

次に展示品の一部を入れ替える、部分的な展示替えがあります。これも一日あれば作業は終わります。

大変なのは、展示品をまるごと入れ替える場合です。これはさすがに、展示替えのための休館期間をあらかじめ設ける必要がありますね。
展示している作品をすべて収蔵庫に片付けて、展示室を空っぽの状態にした上で、必要があれば展示ケースを移動したり、展示室のレイアウトを変更したり。その上で、新しい作品を展示します。

***

展示替えは、見る側のお客さんからしたら少しややこしいものかもしれません。

全作品を見るためには、会期中に2度、3度と会場に足を運ばなくてはいけないわけですからね。
そこまで気合いが入っている人は少ないでしょうが、少なくとも自分がこれだけは見たいという作品が、どの期間に展示されているのかを事前に確認しなくてはいけません。何も考えずに見に来たいですよね。
「この作品を見たくてわざわざ来たのに、なんで展示していないんだ」という苦言を呈して帰る人もいます。
美術館側もなるべく誤解を招かないように、広報には気を使います。チラシやポスターには「展示替えあり!」と大きく表記したり、そこに載せる作品図版のキャプションにも展示期間の情報を入れたり。

もしかしたら、これを読んでいる人の中にも、展示替えに振り回された経験のある人がいるかもしれませんが、展示替えをしなくてはいけない理由はわかっていただけたでしょうか?
比較的、頑丈な油彩画や陶磁器などは長めの会期でも展示替えなしで押し通せるんですけどねぇ。

つづく>>


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